まずは2022年12月初旬に来日公演を行うLRDLことLa Rappresentante di Lista(ラ・ラップレゼンタンテ・ディ・リスタ)のミニ特集。
la Rappresentante di Lista

来日公演情報:

LRDLは2011年にシチリア州パレルモで結成された男女デュオ。奇妙なグループ名は“リストの代理人”という意味。

2011年に日本で発生した東日本大震災によって原発のメルトダウン事故が発生した際、イタリアでは地球の裏側で起きたこの未曾有の大事故に敏感に&迅速に反応して、原発撤廃運動が勃発。その声は原発撤廃の是非を問う国民投票を行うという事態となり、原発撤廃派が圧勝して、実際に国内の原発が閉鎖&撤廃に追い込んだ。その国民投票が行われる為の署名活動&行政との交渉という活動を通して知り合った2人が意気投合して結成したのがLRDL。見た目と曲調に反して中身は硬派な社会派の顔を持っていると言えよう。

イタリア国内で全国区の知名度を得るようになったのは、2021年のサンレモ音楽祭に出場してからなので、今回は直近のアルバム『My mamma(マイ・マンマ)』(2021/2022)収録曲から紹介。アルバムジャケットは、ちょっと日本では発禁になりかねない図案だ。。。。
LRDL - My Mamma

最新シングル曲は「Diva(意:歌姫)」(2022)

サンレモ音楽祭2022出場曲「Ciao ciao(チャオ・チャオ)」(2022)は、能天気に“チャオ・チャオ”と歌っているように聴こえているものの、COP26(2021年11月に締結された世界的な気候変動対策条約)への抗議の想いを乗せているところに、LRDLが社会派としての主張が込められている。

つまりこの“Ciao ciao”は人同士が出会った時に交わされる“チャオ”ではなく、別れの際に2回繰り返して使われる“チャオ・チャオ”であって、この条約と決別する意志が込められている。歌詞中の「Ma non so cosa salvare(意:何を守るべきなのか私には判らない)」がその想いを代弁している。

2022年はロシアがウクライナ侵攻が発生した年であり、LRDLはイタリア音楽界でいち早くこの事変に対して警鐘を鳴らし、ウクライナの戦災孤児たちへの基金を集めるための大規模なチャリティコンサートの主催者となったのも特筆するところ。
第197回イタリアPOPSフェスタ(2022年4月)レポート(その2:Tocca a Noi - Musica per la pace)

そしてサンレモ音楽祭2021に初出場して披露した楽曲にして、LRDLの名を全国区に広めるきっかけとなった「Amare(意:愛すること)」。ヒットメーカーのプロデューサーDardust(ダルダスト)との共作&プロデュース作品でもある。LRDLの2人はもともと黒髪であることが判るMVだ。


そして11月Festaのメイン演目となるPooh(プー)の『Viva tour(ヴィーヴァ・ツアー)』(1979)映像をまるまる紹介。本映像は近年イタリアの公共放送RAIがライブラリーの中から発掘して公開したものだが、日本から視聴制限が施されているため、日本人ファンにはなおさら貴重な映像という位置付けだ。※現時点では、YouTube上に低解像度のものがUPされているが、公式アカウントではないため、ここで引用するのは控えておく。
Pooh - Viva(1979)

Poohの公式セル映像作品は1983年以降のみとなっているので、それ以前の映像作品は基本的に業務用のみしか存在しない。一時期は発掘映像のアンソロジーが発売されたものの、その中にも含まれていなかった貴重な代物。イタリア国内で正式にカラー放送が始まったのが1977年なので、当時はまだまだ高価だった業務用ヴィデオテープはTV局でも保存されることなく、上書き運用されていたので、映像アーカイヴが失われていることが多い時代だった、ということも合わせてその貴重さを感じて欲しい。

なんといってもPoohの面々がまだ28歳〜という若々しさであることと、後のライヴでは演奏されなくなった楽曲のライヴパフォーマンスがあるのも見どころ。
Pooh - Viva Tour 1979

【セットリスト】

  1. オープニング〜BGM:「コンサート(Pronto, Buongiorno e` la sveglia)」 (1978)
  2. 「ヴィーヴァ(Viva)
  3. 「追跡の果てに(L'ultima notte di caccia)」
  4. 「島は僕らのもの(Rubiamo un isola)」
  5. 「全ては、この時の為に(Tutto adesso)」
  6. 「夜、突然に(Notte a sorpresa)」
  7. 「イン・コンチェルト(...in concerto)」
  8. 「コンサート(Pronto, Buongiorno e` la sveglia)」(1978)
  9. 「歓びのプレリュード(Io sono vivo)」〜エンディング(inst.)「パルシファル(Parsifal)」(1973)〜「燃え立つ青春(Ancora tra un anno)」(1977)

1970年代前半は生のオーケストラに合わせたパフォーマンスで一世を風靡していたPoohだが、70年代中頃からは自分たちの演奏だけで聴かせるスタイルに一新。すなわちライヴバンド、ツアーバンドとしての経験を積み重ねていった頃の貴重な映像でもある。イントロはツアーに明け暮れる生活を歌った楽曲として、この時代のPoohのライヴで必ずオープニングに使われていたし、エンディング曲の最後のインスト部分はその後もずっとライヴのエンディングに使われ続けていたお馴染みの楽曲だ。※原題の“1年後にまた”という意味の通り、“また来年、この町に戻ってくるよ”というPoohから来場者への挨拶の言葉代わりになっているのだ。