急遽4月FESTAの演目に追加した『Tocca a noi, Musica per la pace(意:私たちの番、平和のための音楽)』(2022)は、2022/4/5に開催されたウクライナの戦災孤児たちへの基金を集めるためのチャリティコンサート。開催地はBolognaのPiazza Maggiore。
Tocca-a-noi-Musica-per-la-pace

発起人はla Rappresentante di Lista(ラ・ラップレゼンタンテ・ディ・リスタ)の2人。
la Rappresentante di Lista

登壇するアーティストたちは何らかのメッセージを感じさせる楽曲を選んで披露しているのもポイント。それにしても既にイタリアでは9割を超す観客がノーマスクで、密集して集まり、大きな声援を上げるわ、ステージと一緒に歌うわ、アーティストも煽って歌わせるという、すっかりコロナ前のイタリアに戻っている様子が見て取れる。これがウイズ・コロナの覚悟を決めたイタリア社会の姿なのかも。

最初の音楽パフォーマンスを務めるのは、サンレモ音楽祭出場歴もあるZen Circus(ゼン・チルクス)で「Catene(意:鎖)」(2018)

続いて、Diodato(ディオダート/41歳)が「Alveari(意:ミツバチの巣箱=集合住宅)」(2020)を披露。冒頭の映像の中で、戦災を受けたウクライナの集合住宅が両方向の壁が崩れ落ちて、まさにミツバチの巣のようになっていたのと重なって感じられる。そしてサンレモ優勝曲「Fai rumore(意:音を立ててくれ)」(2020)。

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タレント発掘番組アミーチで優勝してシーンに躍り出たGaia(ガイア/25歳)が「Alma(意:魂)」(2021)を歌う。

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インディーロックバンドFast Animals and Slow Kidsは「Cosa ci direbbe(意:僕らに何を言うのか)」(2021)を披露。同曲のオリジナルはWillie Peyote(ヴィリー・ペヨーテ)とのコラボでリリースされたテイク。

Noemi(ノエミ/40歳)は意図をもって過去の楽曲「Acciaio(意:鋼鉄)」(2014)を捧げる。そして開催地のボローニャに捧げて「Vuoto a perdere(意:使い捨ての瓶)」(2011)、そしてサンレモ音楽祭出場曲「Glicine(意:藤)」(2021)と3曲続けて披露。

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渋いカンタウトーレBrunori Sas(ブルノリ・サス/45歳)は「Canzone contro la paura(意:恐れに対する歌)」(2017)を。

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Elisa(エリーザ/45歳)は最新のサンレモ音楽祭出場曲「O forse sei tu(意:あなたかもしれない)」(2022)と英語曲「No hero」(2016)の2曲。

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重鎮カンタウトーレになりつつあるPaolo Benvegnu`(パオロ・ベンヴェニュ/57歳)は「Pietre(意:石)」(2020)。

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Rancore(ランコーレ/33歳)「S.U.N.S.H.I.N.E」(2015)

スーパーモデル級のルックスを持つElodie(エロディー)は「Bagno a mezzanotte(意:深夜のバスルーム)」(2022)

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そしてコンサートの発起人la Rappresentante di Listaは「Resistere(意:抵抗すること)」(2021)を。途中みんなで叫んでいるのは、「No armi! No guerra! No violenza!(意:武器はいらない!戦争反対!!暴力反対!)」。そしてサンレモ音楽祭出場曲「Ciao ciao(チャオ・チャオ)」(2022)。この“Ciao”は出会いの時ではなく、別れる時の言い方なので、戦争に別れを告げるの意図。

そしてオオトリは“もうひとりのボローニャ市長”という枕詞を付けて紹介されるレジェンドGianni Morandi(ジャンニ・モランディ/78歳)で、サンレモ音楽祭出場曲「Apri tutte le porte(意:すべての扉を開け)」(2022)

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大団円はお約束の出演者全員での大合唱。歌われる楽曲は、イタリアの反戦歌の代表格「C'era un ragazzo che come me amava i Beatles e i Rolling Stones(意:僕のようにビートルズとローリング・ストーンズを愛していた青年がいた)」(1966)。オリジナル歌手はGianni Morandiで作曲したのはカンタウトーレMauro Lusini(マウロ・ルジーニ)。

この楽曲に歌われている青年とはアメリカ人で、ギターを抱えて世界を放浪する旅をしていたが、ある日そのギターをあげる、と言ってくる。彼は国に呼び戻されてヴェトナム戦争に行かされることになったのだ。曲の途中で軽快に歌われる♪タタン・タッタンタン♪の部分は、ギターのリズムと、ヴェトナムで持たされた小銃の発射音の擬音だ。

その大団円が終わったというのに、Gianni Morandiはなかなかハケずに、ステージに残り、自身のヒット曲をアカペラで歌いつなぐという神対応を見せる。歌われるのは「Scende la pioggia(意:雨が降る)」〜「Fatti mandare dalla mamma a prendere il latte(意:ママにお乳を貰いに行っといで)」〜「Bella signora(意:美しいご婦人)」〜「Uno su mille(意:千にひとつ)」。ほぼ今から50年以上前の曲なのに、会場に集まった中心層の若い世代もが一緒に歌っているところが、まさにイタリアらしい。


注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2022年に達する年齢で表記。