実に40年ぶりにオリジナルメンバー4人が揃った姿をサンレモ音楽祭2020のスーパーゲストとして魅せてくれたRicchi e Poveri(リッキ・エ・ポーヴェリ/意:金持ち組と貧乏組)は、1970年代から1980年代にかけて国境を越えてヨーロッパ中で大フィーバーを博し、スウェーデンのABBA(アバ)がお手本としたグループ。世界中で2千万枚のセールス実績を持っていると言われている。

前身バンドJetsには後にNew Trolls(ニュー・トロルス)のドラマーになるGianni Belleno(ジァンニ・ベッレーノ)が在籍していたことも特筆するところ。男女2組のヴォーカル・グループながら、男性陣2人は様々な楽器を演奏するマルチプレイヤーでもある。そして彼らを最初に見出したのは、あのイタリアを代表するカンタウトーレFabrizio De Andre'(ファブリティオ・デ・アンドレ)。その後、名作詞家でもあるカンタウトーレ&プロデューサーのFranco Califano(フランコ・カリファーノ)が育て上げたグループでもある。

1980年に“Bionda(金髪女性)”ことMarina(マリーナ/71歳)が脱退して40年、“Baffo(口髭)”こと最年長のFranco(フランコ/79歳)が健康上の理由で脱退して4年。直近まで“Biondo(金髪男性)”ことAngelo(アンジェロ/75歳)と“Brunetta(黒髪女性)”のAngela(アンジェラ/74歳)の2人組になってしまっていたのだから、このオリジナルメンバー4人が揃ったことはイタリア中で大歓迎されたのは言うまでもない。

再結成を記念したアルバム『Reunion(再結成)』(2021)も満を持して発売され、TV特番『Che sara` sara`(意:どうにかなるさ)』が2021年2月23日に放映された。オーケストラ指揮&音楽監督はPFMでも活動するマルチプレイヤーにして名プロデューサーのLucio Fabbri(ルチォ・ファッブリ)。
Ricchi e Poveri - ReuniON(2021)

オープニングは彼らのデビュー曲でカンタジーロ参加曲「L'ultimo amore(意:最後の恋)」(1968)。これは英語曲「Everlasting Love」(1967)のイタリア語カヴァーで、イタリア語詞はMogol(モゴール)が書いている。原曲はRobert Knight(ロバート・ナイト)がオリジナルだが、Love Affaire(ラヴ・アフェア)のヴァージョンの方が知られているかも。
https://www.youtube.com/embed/UcYnR7fcDyE

「La prima cosa bella(意:初めての美しいもの/邦題:愛の贈り物)」は、サンレモ音楽祭1970で2位となった美しい楽曲で、当時のサンレモ音楽祭は同じ楽曲をもう1人の歌手が歌う“パートナー制”を取っていたため、もう一人のオリジナル歌手は、同曲の作詞者でもあるNicola Di Bari(ニコラ・ディ・バリ)で、両者の歌詞は微妙に異なっている。

2010年には同名の映画『初めての大切なもの』が製作され、作中で母と子供たちが様々なシーンで口ずさむ重要なテーマ曲となっていたのが印象的だった。この映画を見た人なら、この曲を聴くと胸が締め付けられるような想いがするはずだ。
https://www.youtube.com/embed/7b_KQ0196bU

この時代のイタリア音楽界の中で重要な役割を担っていたReverberi(レベルベリ)兄弟のひとりGian Franco Reverberi(ジァン・フランコ・レヴェルベリ)が作曲・編曲・アートディレクションを行っている。ちなみに当初は、作者のNicola Di BariとGianni Morandi(ジァンニ・モランディ)の2人で歌い分けられる予定だったとか。

そして翌1971年のサンレモ音楽祭でまたしても惜しくも2位となったのは「Che sara`(意:どうにかなるさ/邦題:ケ・サラ)」。パートナー歌手はプエルトリコ出身の歌手Jose' Feliciano(ホセ・フェリシアーノ)。アルバム『Reunion』には、同曲の50周年を記念してホセ・フェリシアーノとの共演ヴァージョンが収録された。

「Coriandoli su di noi(意:私たちの上のコリアンダー)」(1975)はTV番組『Di nuovo tante scuse(意:もう一度たくさんの許しを)』のテーマ曲。
https://www.youtube.com/embed/f1RWDyQ2wJo

「Come vorrei(意:いかに私が欲しがっているか)」はTV番組『Portobello(意:美しいものの入れもの)』のテーマ曲。Gian Piero Reverberi(ジァン・ピエロ・レヴェルベリ)が編曲&アートディレクションを手掛けている。彼はFabrizio De Andre'、New Trolls、Rondo’Veneziano(ロンド・ヴェネツィアーノ)などを手掛けていた辣腕音楽家。
https://www.youtube.com/watch?v=dA9urztPExU

そして1981年、金髪のMarinaが脱退し3人編成となった彼らは、サンレモ音楽祭で「Sara` perche' ti amo(意:それはあなたを愛しているからだろうね/邦題:サラ・ペルケ・ティ・アモ)」を歌い、5位に留まるものの、国境を越えてヨーロッパ中で大ヒットを記録。国内チャートではその後10年間に渡ってチャートインを続ける驚異のロングセラーも記録し、間違いなく彼らの代表曲中の代表曲となり、80年代を代表するイタリアのヒット曲にもなった。

同曲はカンタウトーレのPupo(プーポ)と売れっ子作詞作曲家Daniele Pace(ダニエレ・パーチェ)が判り易くキャッチ―な歌詞を書き、名匠Dario Farina(ダリオ・ファリーナ)が作曲。そして編曲&アートディレクターにはまたしてもGian Piero Reverberiが担当。作家陣の顔ぶれを見れば、売れるべくして売れた楽曲とも言えるだろう。

※当サイトでのPupoの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Pupo

番組にはゲストにAl Bano(アル・バーノ)が登場。同じく1980年代に国境を越えて大ヒット曲を連発してヨーロッパ中でスターとなった者同士によるAl Bano & Romina Power(ロミナ・パワー)のヒット曲メドレー「Ci sara`(意:あるだろう)」(サンレモ音楽祭1984優勝曲)〜「Felicita`(意:幸福)」(サンレモ音楽祭1982準優勝曲)。
https://www.youtube.com/embed/AabatzarTMM

※当サイトでのAl Banoの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Al_Bano

「M'innamoro di te(意:私はあなたに恋をする)」(フェスティヴァルバール1981・3位)。編曲&アートディレクターはすっかりお馴染みとなったGian Piero Reverberiが担当。
https://www.youtube.com/watch?v=YNDGVtLNnDA

スウェーデンのABBAは母国語ではなく主に英語で歌ったことで世界中で大ヒットしたのだが、先に述べた通り彼らはRicchi e Poveriをお手本にしていたことが判るのは、彼らの1975年のヒット曲「マンマ・ミーア(Mamma Mia)」。もろにイタリア語をタイトルに、楽曲内のキーワードにも多用しているのだ。番組内では面白い試みが成され、ABBAの「マンマ・ミーア」とRicchi e Poveriの「Mamma Maria(意:聖母マリア)」(1982)をマッシュアップして披露して魅せた。アレンジの辣腕をふるったのはもちろんアートディレクターを務めるLucio Fabbriだ。

改めてRicchi e Poveriのオリジナルヒット曲「Mamma Maria」をフルで。編曲&アートディレクターはGian Piero Reverberi。
https://www.youtube.com/embed/9TwriKvZR2A

そしてこの「Mamma Maria」を結婚式の儀式に取り入れている神父さまも登場!
https://www.youtube.com/embed/0-N00C2wB6w

「Voulez-vous danser(意:あなたは踊りたいの?)」(1983)これも編曲&アートディレクターはGian Piero Reverberi。
https://www.youtube.com/embed/1cyruv5CvsU

そして1985年。「Se m'innamoro(意:もし私が恋をするなら)」で彼らは遂にサンレモ音楽祭の優勝を勝ち取る。編曲&アートディレクターはFio Zanotti(フィオ・ザノッティ)に代わる。FioはPooh(プー)のアレンジャーとしても活動していた人物。

「Canzone d'amore(意:愛の歌)」はサンレモ音楽祭1987で7位に入った楽曲で、カンタウトーレのToto Cutugno(トト・クトゥーニョ)が提供した楽曲。実は同年のサンレモには彼が書いた楽曲が実に4曲もエントリーされ、自身が歌った「Figli(意:子供たち)」が2位となった以下、4位にはFausto Leali(ファウスト・レアーリ)が歌った「Io amo(意:僕は愛する)」、5位にPeppino Di Capri(ペッピーノ・ディ・カプリ)が歌った「Il sognatore(意:夢を見る者)」と24組も出場した中で7位以内に全4曲が入ったという、長きに渡るサンレモ史にも残る快挙を実現した。
https://www.youtube.com/embed/WV7SmF2C5oI

※当サイトでのToto Cutugnoの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Toto_Cutugno

そして最後のゲストに大御所カンタウトーレRoberto Vecchioni(ロベルト・ヴェッキォーニ)が登場。彼の初期の代表曲「Samarcanda(意:サマルカンド/ウズベキスタンの首都名)」をRicchie Poveriと共演。Ricchi e Poveriが1985年に同曲をカヴァーした、という関係だ。中東の雰囲気を醸し出す特徴的なヴァイオリンはもちろん、この番組を仕切るLucio Fabbriが演奏している。
https://www.youtube.com/embed/cBe14lvXu-w

※当サイトでのRoberto Vecchioniの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Roberto_Vecchioni

番組のフィナーレはRicchi e Poveriだけで改めて歌う「Che sara`」だ。
https://www.youtube.com/embed/v_KsmxvXcp8

※当サイトでのRicchi e Poveriの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Ricchi_e_Poveri


第185回イタリアPOPSフェスタ(2021年4月)紹介曲PlayList(カヴァー曲はオリジナルヴァージョンも収録)


注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2021年に達する年齢で表記。