第2部
第1部に引き続き、Zucchero特集。来日ステージで披露された楽曲を綴った第1部に対し、第2部では貴重なブレイク前のZuccheroや隠れた名曲をチョイス。
まずはZucchero初のサンレモ音楽祭出場曲「Una notte che vola via(意:飛び去るある夜)」(1982)。映像を見れば、現在のZuccheroから想像もできない"誰?"という感じ。Zucchero27歳。
その翌年もサンレモ音楽祭に「Nuvola(意:雲)」で出場するも、両曲ともヒットせず、アーティストとしても大きな注目されることもなく。。。という事実は、きっと現在のZuccheroにとって消したい過去なのかもしれない。
しかし両曲が収められたZuccheroのデビューアルバム『Un po' di Zucchero(意:ズッケロ/砂糖をほんの少し)』(1983)の参加ミュージシャンのクレジットを見れば、へヴィーなイタリア音楽ファンやプログレファンならきっと大きな歓声を上げる事だろう。
アレンジ&キーボード:Vince Tempera(ヴィンチェ・テンペラ/元Il Volo、他)
ベース:Ares Tavolazzi(アレス・タヴォラッツィ/Area、他)
ドラム:Lele Melotti(レレ・メロッティ/売れっ子スタジオ・ミュージシャン)
ギター:Massimo Luca(マッスィモ・ルーカ/元Lucio Battistiのバックバンド、他)
新人登竜門カストロカーロ音楽祭からサンレモ音楽祭出場という、1960年代から王道とされる道筋を辿ったZuccheroであったが、泣かず飛ばずだったこともあり、敷かれたレールにそのまま乗ることを拒んで、アメリカに渡り武者修行を始める。
当時既に米国に渡り、 Aretha FranklinやWhitney Houston、 Herbie Hancockらのプロデューサーとして活躍していたCorrado Rustici(コッラド・ルスティチ/元Cervello、元Nova)を頼り、彼の人脈を通じて、様々な国際的なビッグ・ネームたちとの交流しながら自分のアイデンティティとなる音楽スタイルを模索する。
そして1985年、米国からRandy Jackson(ランディ・ジャクソン/ベーシスト&音楽プロデューサー/後に人気TV番組『アメリカン・アイドル』の審査員としても有名)を連れてイタリアに戻り、Zucchero & The Randy Jackson Bandとしてサンレモ音楽祭に楽曲「Donne(意:女たち)」で出場、審査結果は最後から2番目という結果に終わったものの、その後、楽曲自体は大ヒット、自らの初めてのヒット曲となる。
サンレモ出場時の映像を見ると、ZuccheroとRandy Jacksonの他、ギターにCorrado Rustici、サックスにElio D'Anna(エリオ・ダンナ/元Osanna)、ドラムにLele Melottiらが確認できる。
初ヒット曲「Donne」を収めたアルバム『Zucchero & The Randy Jackson Band』(1985)は、アレンジ&プロデュースをZucchero自身の他、Fio Zanotti(フィオ・ザノッティ)、Elio D'Anna、Corrado Rusticiという夢の面々。
さらに参加ミュージシャンの中には、ギターにPaolo Gianolio(Claudio Baglioniのギタリスト)、コーラスにRossana Casale(ロッサナ・カザーレ/後述)の名も。
こうしたクレジット名を見ると、いかにZuccheroの人選が優れていたかを感じ取ることができる。
また、アルバムジャケットに写るRandy Jacksonが抱いているのは、当時まだ1歳ぐらいのIrene Fornaciari(イレーネ・フォルナチァーリ/Zuccheroの娘で歌手/1983年生まれ)。
裏ジャケットは逆にRandy Jacksonの子を抱くZuccheroの写真だ。
さて、同アルバムには隠れた名曲「Un piccolo aiuto(意:小さな手助け)」が収録されている。後に発売されるZuccheroのベスト盤にも収録されることもなく、ライヴでもあまり披露されることの少ない同曲であるが、その切ないバラードは逸品だ。
Pavarotti & Friends 1996で披露されたEric Claptonとの共演映像で。
同曲の秀逸さに目を付け、すぐにカヴァーを発表したのが、Loretta Goggi(ロレッタ・ゴッジ/66歳/当時36歳/Roma出身)だ。Zuccheroとのデュエットでアルバム『C'e` poesia(意:詩が有る)』(1986)に収録された。

※当サイトでのLoretta Goggiの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Loretta_Goggi
またZuccheroのアルバムのコーラスを担当していたRossana Casale(57歳/当時27歳/New Ytork生まれ)も同時期に同曲をZuccheroとデュエットしているが、アルバムに収録されるのは1989年の『Frammenti(意:断片)』となる。
Rossana Casaleは、1982年にソロデビューだが、1970年代にコーラスガールとして、Riccardo Cocciante(リッカルド・コッチャンテ)、Mina(ミーナ)、Vasco Rossi(ヴァスコ・ロッシ)、Al Bano e Romina Power(アル・バーノ・エ・ロミナ・パワー)、Mia Martini(ミア・マルティーニ)、Loredana Berte`(ロレダーナ・ベルテ)らとコラボしていた実力者で、1stアルバムはPFMがプロデュースする鳴り物入りでシーンに登場し、後に女性ジャズヴォーカリストの第一人者となって大成する。
※当サイトでのRossana Casaleの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Rossana_Casale
Zuccheroは実娘のIreneと2011年のTV番組内で同曲をデュエットしたこともある。同曲が書かれた時期と歌詞の内容から想像するに、これは生まれたばかりのIreneに捧げられた楽曲だと想像できる。
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さて、もう1曲お勧めしたいZuccheroの美しいバラードは「Diamante(意:ダイアモンド)」。1989年に発表された同曲はFrancesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴーリ/65歳/Roma出身)との共作で話題となり、ベスト盤にも収録されるZuccheroの代表曲のひとつ。Zuccheroの祖母に捧げられた楽曲で、祖母の名前がずばり"Diamante"とのこと。
世界第二次大戦が終わり、無事故郷に帰還した祖父と祖母の物語で、戦後の瓦礫の撤去などの力仕事に明け暮れていた頃の回想とZuccheroがまだ幼い少年だったころの想い出を織り込んで作られている。特徴的なセリフは"Soldati e spose(兵隊たちと花嫁たち)"。これは物資の乏しい終戦直後の結婚式は、ハレの正装がまだ軍服しかなかったため、"Soldati e spose"状態になってしまっていた事を歌っている。
また楽曲途中で囁かれるコーラス
Fai piano i bimbi grandi non piangono(意:静かに、大きな子は泣かないのよ)
や、最後に収められた祖母の呼び声
"Delmo, Delmo vin a'ca`!"(意:アデルモ、アデルモ、家に帰っておいで!)
は、まさにZucchero少年と祖母Diamanteの想い出の一コマが見事に切り取られている。
後者はZuccheroの生家の前にある協会に入り浸り、オルガンを弾くことに没頭していたZucchero少年に対して、実家の窓から夕ご飯を知らせる祖母の掛け声だったそうだ。(注:AdelmoはZuccheroの本名)
共作者Francesco De Gregoriはかなり後の2004年になってセルフカヴァーを録音し、ベスト盤『Tra un manifesto e lo specchio』(2006)に収録して発表した。
※当サイトでのFrancesco De Gregoriの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Francesco_De_Gregori
同曲はさらにMia Martini(ミア・マルティーニ/1947-1995/47歳没/Calabria州Bagnara Calabra出身)にもカヴァーされ、最後のアルバムとなった『La musica che mi gira intorno(意:私の周りを回る音楽)』(1994)に収録された。
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※当サイトでのZuccheroの紹介記事はコチラ
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注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2016年に達する年齢で表記。
Continua alla prossima puntata.(続く)








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