実力派カンタウトーレのGatto Panceri(ガット・パンチェーリ/48歳/Monza出身)が2010年に来日し、Almaz社15周年記念パーティ出演した時の模様をレポートします。

※当サイトでのGatto Panceriの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Gatto_Panceri

Gatto Panceriの今回の来日の主目的は、2005年に彼の来日招聘に尽力されたイベント企画会社・Almaz社の創立15周年記念パーティの特別ゲストとして出演する事でした。

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gatto e yoshio2さらにはプライベートな時間を取って、来日スケジュールのほとんどを憧れの京都観光にあてた関係もあり、ギターを持って来ておらず、当初はパーティ出演者のクラシックギターを借りて歌う予定だったとか。

ところが前日のFESTAで、Gattoが普段愛用しているGodin A6と全く同じものを手にしたら、やっぱりこのギターで本番も歌いたいと希望されたのです。

このGodin A6は、2005年のGatto Panceriの来日ステージを見た筆者が、Gattoのステージに魅了されつつも、Gattoが奏でるギターのパフォーマンスの高さにも取りつかれてしまい、その後、迷った末、かなり苦労して入手したモデルなのです。

というのは、その2005年時点では既にGattoが使っているサンバーストカラーは製造中止になっており、ナチュラルとブラックの2種類しか市場に流通していなかったのです。どうせならGattoと同じカラーが欲しいな・・・と中古市場を熱心に探して、状態の良いものに奇跡的に巡り合って買い求めたものなのです。

さらにその後、このA6モデル自体が大幅にバージョンアップされ、もはやこのA6というシンプルなモデル自体が製造中止となっているのです。

Gattoには詳しくは説明しませんでしたが、同じモデルを入手する事の大変さを充分理解していたようで、

僕のモデルと異なるのは、フレットのポジションマークのデザインだけだね。

って言ってくれました。

今回の15周年パーティ会場は、銀座の和光時計台が大きな窓越しに映るという素敵なリストランテ『ポルトファーロ』。しかも11月末は既にクリスマスの素敵なイルミネーションが時計台に施されているという絶好のタイミング!

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PAもきちんと入るということなので、前日のFESTAでの簡易なサウンドとは異なることが期待できるぞ!とワクワクしながら会場セッティングの時間帯に伺いました。

本職の音響さんではないと言いながらも、本格的な機材と経験値をお持ちの美鶴さんが素晴らしいセッティングとミキシングをしてくれました。さらにご本人もフレンチカフェという、楽しいデュオとして出演もされるというのですから脱帽です。

そしてGattoのリハーサル。バンド演奏トラックに乗せて、きちんとした音響から響くGattoのギターと声。あぁ、やっぱり昨夜のFESTAの簡易アンプと肉声とは明らかに異なります。昨夜は昨夜で、本当のアコースティック感と本当に目と鼻の先という距離感が楽しかったのですが、音響面と背景のロケーションは、明らかにこちらに軍配が上がります。

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それじゃぁ、今夜は観客目線で充分楽しんじゃお! 凝った撮影もしちゃおう! なんて目論んでいたのですが、バックミュージックのキュー係も務めることになり、急遽、Gattoとセットリストの打合せ。リストランテというロケーションだったので、身近ににあった紙ナプキンにセットリストを書き込むという、まさに直前&急遽感の漂う代物。

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写真にあるように:

1曲目:E' solo musica

2曲目:Mia

3曲目:Vivo per lei

4曲目:Di te

5曲目:S.O.S.

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アンコール1曲目:Madre mia

アンコール2曲目:Le tue mani

というセットリストで、右端にはそれぞれのバックミュージックのトラックを記しています。

最右端の記号は、ステージ上のGattoからPAへの手振りのサインの決めごとです。
殴り書きなので、明快な絵にはなっていませんが、親指アップがVocalマイクの音量アップ。手のひらアップがバック音源の音量アップといった具合。

といった事で、いつの間にやら、完全にGattoのローディー扱いとなってしましました筆者です。(笑)

Gattoはサウンド面にはシビアで、リバーヴの設定や音量にはかなり細かなオーダーがあり、さすがに多くのステージをこなしてきただけあって、プロミュージシャン魂を垣間見ることができました。

リハーサルが無事済んで、いよいよ本番。フレンチカフェのお二人による和やかなお出迎え演奏パーフォーマンスが始まり、ご来賓の方々も続々とお越しになり、、Almaz社の15年を支えてくださった方々の層の厚さをしみじみと感じさせてくれる光景でした。

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フランス青年の小粋な手品師がテーブルマジックを披露し、外国人ジャグラーが陽気なパフォーマンスを魅せてくれたり、日本在住のイタリア人ミュージシャンPaolo Laduのユニット『10 corde』らが、パーティを華やかに盛り上げてくれました。

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そしてオオトリはもちろん、スペシャルゲストのGatto Panceriの登場です。

最初にAlmaz代表の湯峰さんが、Gatto Panceriを日本語で紹介してくれて、Gatto Panceriのステージがスタート!
1曲目の"E' solo musica(それは音楽だけ)"が終わり、次の曲の準備をしようと思ったら、ステージからGattoが筆者を呼びました。

メッセージを通訳してくれって、いきなり言い出すので、戸惑いながらもステージへ。

僕が日本語でしゃべる時の声は、Yoshioの声になるんだ。

と何だか訳のわからない冗談を言いながら、Gattoはとっても機嫌が良い状態。

ということで、筆者はさらにはステージ通訳者としての役目を果たすこととなり、とっても緊張しましたし、曲の頭出し係との兼任状態だったので、ビデオ撮影も写真撮影も出来ませんでしたが、とても思い出に残る楽しい体験となりました。

2曲目の"Mia(僕のもの)"の時には、

今日、イタリア人なのに日本語で歌う素晴らしい歌手と出会った

と、改めてPaolo Laduを紹介したGattoは、

僕も次回は、この"Mia"という曲を日本語で歌えるようにしておくよ

というコメントをくれました。実はこの曲に日本語詞を乗せたバージョンが、次のアルバムに収録される予定だとか。

そして次の楽曲に行く前にGattoが発したメッセージは、本日一番の決めどころでしたね。

イタリアには、世界的に有名な楽曲が3曲ある。

1曲目は、"O' sole mio(オー・ソレ・ミオ)"

2曲目は、"Volare!(ヴォラーレ)"

そして3曲目は、僕が書きました。

Andrea Bocelliが歌った"Vivo per lei"です。

この曲は、デュエット曲として有名で、

数々のデュエットバージョンが存在していますが、

今夜は、僕の声とギターだけでお届けします。

と、見事なMCぶりです。通訳する筆者も誇らしげに伝える事が出来ました。

前日のFESTAは、イタリア語を理解する方が多かったので、Gattoが話した瞬間に、ドッと笑いが起きたり、拍手や声援が飛びだしたりしていましたが、さすがに本日は、普通の東京の夜ですから、通訳してから歓声が出る状態でした。

なので通訳とは別に少々丁寧に解説を加える事にしました。

"Vivo per lei"とは、直訳すると"彼女のために生きる"っていう意味で、もちろん女性に対しての気持ちを歌っているように聞こえるのですが、この『彼女』とは、同時に『音楽』を意図していて、『音楽のために生きる』というニュアンスなんですよ。イタリア語には名詞に性別があり、『musica(音楽)』は女性名詞だからこそ使えるダブルミーニングなんです、と説明しました。

この曲がおそらくは一般的な日本人が最も聴いた事がある確率の高いGatto Panceri絡みの楽曲となりますので、一番盛り上がりどころ。そこにこのようなカッコいい決め台詞を当てはめるのは、さすがですね。

しかしながらこの後、Gattoは直前に決めたセットリストを変更するのです。これももうあせっちゃいましたね。急遽、"Madre mia(僕の母)"を演る、ということになり、頭出しをし直そうとしたところ、再びGattoがステージに筆者を呼び寄せようとしますので、

Aspetta un momento, un attimo!!! (ちょっと待ってくれ〜)

と言いながら時間稼ぎをし、曲の頭出しをし直して、ステージへ。

するとやはり"Madre mia"という楽曲の背景を伝えたいとGattoが説明を始めます。ここはほぼ前日のFESTAと同様の解説でしたので、より詳細に訳す事ができました。

聴いた事がなくても、歌詞が判らなくても、その真の物語を語る迫力と、クラシックギター風のいかしたギターリフが合わさると、誰もが聴き入ってしまう、不思議な求心力を持った楽曲です。

会場にプロのダンサーがいると聞いたGattoは、ならばダンサブルな楽曲を演ろうと、またしてもセットリストを変更(苦笑)。急遽"Troppo tutto(あまりにも全部)"を演奏し始めます。

なるほど、確かにこの楽曲のギターリフは、Deep Purpleの"Smoke on the water"を彷彿するものがありますもの。

黒人ダンサーのStevenは、まさに水を得た魚のように踊り出し、会場はフィナーレに相応しい盛り上がりを魅せる事に成功いたしました。

こうして、Gatto Panceriの演奏を身近で味わえる体験が2日間連続で味わえたうえ、非力ながらもステージのお手伝いができたことは、筆者にとっても良い経験になりましたし、貴重な体験として思い出に残るものとなりました。

Almazの皆さま、15周年おめでとうございました。
またGatto Panceriをお連れいただいてありがとうございました。
20周年の期待も込めて、これからも末永く応援いたしますね!

そしてGatto Panceriには、次回こそフルバンドを引き連れてのステージを見せてもらえるよう、大いに期待したいところです。