その2はコチラ


 

FESTA第3部では、ベテランの域に達しつつあるアラウンドフィフティのカンタウトリーチェを2人ピックアップしました。イタリアでは貴重な存在の自作自演タイプの女性歌手で、偶然にも2人ともRoma出身です。

1人目はPaola Turci(パオラ・トゥルチ/45歳/Roma出身)。1986年にデビューするや5年連続でサンレモ音楽祭に出場。その後も5回ほど出場し、計10回出場、ゲスト出演1回という、80年代〜90年代のサンレモ音楽祭の常連出演者となっていました。

売り出し当時のキャッチコピーは『Ragazza con la chittarra(ギターを持った女の子)』で、その後も一貫してギター(アコースティック&エレクトリック)を弾きながら歌うスタイルを続けています。

4年ぶりのアルバム「attraversami il cuore(私の心を横切って)」(2009)を10月2日に発売。

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FESTAでは、第2弾シングルとなったアルバムタイトル曲"attraversami il cuore"をPVで紹介しました。深まる秋によく似合う、落ち着いた雰囲気の中にほんのりとノスタルジーが漂う楽曲です。

2曲目はアルバムに先行して6月19日にリリースされたシングル曲"La mangiatrice di uomini(男喰い女)"。オルタナRockバンドのBaustelle(バウステッレ)のリーダー&ヴォーカルFrancesco Bianconi(フランチェスコ・ビアンコーニ/36歳/Toscana州Siena近郊出身)のペンになる、奇抜なタイトルをつけられた楽曲ですが、その曲調はおだやかで、聴いていて気持ち良い楽曲です。

3'50"あたりからの2曲目が"La mangiatrice di uomini"。
ちなみに1曲目は、"Dimentichiamo tutto"(2005)。
3曲目は”Saigon”(1989/Francesco De Gregori作品)


3曲目は、1989年にPaola Turciがブレイクするきっかけとなった楽曲で、その後も彼女の代表作として輝き続ける"Bambini(子供たち)"(1989)をPVで紹介しました。

1989年のサンレモ音楽祭の注目株部門で1位に輝き、批評家賞までも受賞。明るいPOPS調の楽曲でありながらも、軍事政権崩壊後の不安定な情勢が続いていたアルゼンチンの子供たちのことを歌った社会派の作品。(※この楽曲は自作ではありません)

少年兵やストリートチルドレンの有様を歌いあげたこの人道的な作品は、その後もPaola Turciの代表作として強烈なイメージを持ち続け、イタリアでは子供支援チャリティのテーマソングに取り上げられたり、Paola自身がメッセージを述べる事も良くあるようです。

サンレモでの栄冠の直後に実施された『サンレモ・ワールドツアー』のメンバーとして来日も果たし、ほのかにアンニュイな雰囲気漂う素敵なステージをみせてくれました。

"Bambini"のPVには、そのワールドツアーの映像が挿入されており、東京のステージも垣間見ることができます。時にPaola Turci25歳。

こうして新しい時代の担い手として注目されたPaola Turciですが、1993年、不幸にも大きな自動車事故にあい、生死が危ぶまれ、再起不能という噂が流れるほどの深刻な状態に陥り、数年ほどシーンから遠ざかる事になってしまします。

その時期はちょうど、Laura Pausini(ラウラ・パウズィーニ)やGiorgia(ジォルジァ)といったその後のイタリアの女性歌手を代表するディーヴァたちが誕生した時期と重なってしまったせいか、復帰後のPaola Turciはデビュー当時の勢いを少々欠くようになってしまったのが残念なところでしょうか。

さて、新作アルバム「attraversami il cuore」に戻り、収録されたカバー曲を紹介してPaola Turciのコーナーを終えました。

カバー曲は意外なことに故Domenico Modugno(ドメニコ・モドゥーニョ)作で、1966年のサンレモ音楽祭でModugno自身とGigliola Cinquetti(ジリオラ・チンクエッティ)によって歌われ、優勝に輝いた名曲"Dio come ti amo(あぁ、なんとあなたを愛していることか/邦題:愛は限りなく)。

カンツォーネブームまっただ中だった1966年当時の日本でもヒットし、伊東ゆかりさんも日本語でカバーしていたお馴染みの作品ですね。




FESTA第3部2人目のカンタウトリーチェはGrazia Di Michele(グラツィア・ディ・ミケーレ/54歳/Roma出身)。

カンタウトリーチェとして自作自演する活動よりもむしろ、作曲家として他のアーティストに提供した楽曲の方が多いと言える、これまた希有な存在の女性アーティストと言えるでしょう。

また人気TVオーディション番組『Amici(アミーチ)』では、2003年より歌唱指導を務めるという、既に師範格の音楽家の位置づけのようです。

10代の頃からバンド活動を始め、やがて伝説のライブスポット『Folkstudio』(Antonello VendittiやFrancesco De Gregoriの古巣)でソロのステージを披露するようになり、1978年にソロデビュー。以後、数年に1枚の新作アルバムをリリースする堅実な活動を続けています。

前作から3年ぶりにアルバム「Passaggi segreti(秘密の通路)」(2009)がリリースされましたので、11月FESTAで紹介いたしました。
なお、このアルバムは、日本のiTunesストア Grazia Di Michele - Passaggi segreti でダウンロード販売中です。

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このアルバムはCDながらPCで再生できるPVが2つ収められておりましたので、FESTAではまずアニメ版PVの"Anja del settimo cielo(セヴンスヘヴンのアーニャ)"から。

『セヴンスヘヴン』とは、キリスト教の概念で七階層ある天国の頂点に位置する世界の事。Graziaの歌の内容は反戦歌のようです。

2曲目はシングルカット曲"Il Mare In Una Stanza(部屋の中の海)"。1960年代初頭にGino Paoli(ジーノ・パオリ)が作曲し、Mina(ミーナ)の歌唱で世界的に大ヒットした名曲"Il cielo in una stanza(部屋の中の空/邦題:しあわせがいっぱい)"をモチーフに作ったと、インタビューの中でGraziaは解説しています。

そういえばやはり1960年代初頭には、"Il mare nel cassetto(引き出しの中の海)"というMilva(ミルヴァ)の歌唱でヒットした歌がありますので、両方の歌からインスピレーションを受けているのかもしれません。

FESTAではTVライヴの映像で紹介しました。ジョニ・ミッチェルを彷彿させる、Graziaの洗練されたパフォーマンスが楽しめます。それにしても素敵な女性ですよね、Grazia Di Michele。


3曲目はCDに収められたもう1曲のPVで"Il diritto di amare(愛の表側)"。娑婆に残してきた娘を想う、収監されている母親の切ない想いを歌いあげています。

CDに収録された2曲には、どちらも子供と、その子供たちに不幸を味あわせてしまった親が登場しますので、大人たちの身勝手な振る舞いに子供たちが直接影響を受けるという、ある種のメッセージなのかもしれません。

Grazia Di Micheleの最後の曲はMassimo Ranieri(マッスィモ・ラニエリ)とのデュエットで"L'Amore Va In Scena(愛が上演される)"。抜群の歌唱力を誇るMassimo Ranieriは、眼をつぶって聴いていてもすぐに彼とわかる第一級の存在感がありますが、Graziaの歌唱を邪魔することのない絶妙なパフォーマンスを魅せてくれます。2人のデュエットは哀愁が漂い、とても素晴らしい作品となっています。


注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2009年に達する年齢で表記しています。

Continua alla prossima puntata.(続く)