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第4部

10月FESTAのフィナーレはClaudia Mori(クラウディア・モーリ/65歳/Roma出身)。
自身の女優＆歌手としての活躍もさることながら、イタリアのスーパースターAdriano Celentano(アドリアーノ・チェレンターノ/71歳/Milano出身)夫人としてよく知られています。

1959年(15歳)映画デビューし、1964年(20歳)には歌手としてもデビュー。

ところがその前年の1963年にAdriano Celentanoと出会ってしまいます。Celentanoは当時交際していた女性と突然別れ、Claudia Moriに求婚。そして1964年彼らは密かに結婚します。時にCelentano26歳、Claudia20歳。

翌1965年には長女のRosita(ロズィータ)、1966年には長男Giacomo(ジァコモ)、1968年にはRodalinda(ロザリンダ)と3人の子供が生まれますが、その間、彼らは世間に結婚も出産も隠し続ける生活をしていたそうです。

※ちなみに三人の子供たちも後に芸能界に入り、
長女は女優Rosita Celentano(ロズィータ・チェレンターノ/44歳)、
長男は歌手Giacomo Celentano(ジァコモ・チェレンターノ/43歳)、
次女も女優Rosalinda Celentano(ロザリンダ・チェレンターノ/41歳)
と、既に中堅芸能人として活躍しています。

若くして成功したロックスターと20歳になったばかりの美少女との電撃結婚生活は、往々にして長く続かない例が多いものですが、彼らはその後も夫婦それぞれ別々の活動しながらも、時には映画や歌で仲睦ましく共演する姿を見せ、互いに助け合いながら良い夫婦関係を築き上げ、いつしかイタリア芸能界随一のオシドリ夫婦として象徴的な存在になります。

Celentanoは反逆精神を売り物にしてきたロックスターですから、これまでイタリア社会で様々な摩擦を起こしてきています。

そのたびに壁を乗り越えて大きく成長し、いつしか人気＆実力ともイタリア芸能界のトップに立ち、現在もその地位を後進に譲らない王者であり続けるのは、Celentano自身のズバ抜けた才能によるのはもちろんですが、Claudiaの存在も非常大きい事は容易に想像できると思います。

そんなことから想像するに、Claudia Moriは単に容姿が美しいだけの女性ではなく、きっと気立ても良いし頭も良い女性ではないかと思います。

img160そんなClaudia Moriの歌手活動をパッケージしたCD+DVDの2枚組「Claudia Mori Collection」(2009)が発売になりました。CDにはこれまでの主なヒット曲を中心に2009年Remixヴァージョンを2曲追加し、DVDにはプライベート映像とも言える未発表映像が満載されています。

Claudia Moriが放った最大のヒット曲と言えるのが"Non succederà più(もう起こらないわ)"。1982年のヒット曲で、後半には夫君Adrianoのヴォーカルが加わるご機嫌なナンバー。Claudia自身が作詞に挑み、名匠Giancarlo Bigazziが補作詞と作曲でバックアップしています。

FESTAではまず『DJ remix 2009』のNewヴァージョンで聴いていただきました。もちろんバックにはDVDの未発表映像を流しながら。家族でリゾート休暇を楽しむCelentano一家。三児の母とはいえ、20代のClaudiaの美しい肢体がまぶしく、まさしく浜辺のビーナスのよう。

そして同曲の発表当時(1982年)の映像で、オリジナルバージョンの"Non succederà più(もう起こらないわ)"をご覧頂きました。38歳のClaudia Moriですが、とても初々しい姿でびっくり。

そして同アルバムに収録されたもう1曲の2009年リメイク曲"Nata per me(私のために生まれた)"。1961年のCanzonissimaで2位に輝いたAdriano Celentanoのヒット曲のカバー曲です。作曲もCelentano自身が手掛けました。

そして1984年のClaudiaのパフォーマンスを映像で。当時40歳のClaudia。間奏でAdrianoがコミカルなヴァイオリン奏者を演じるのが見もの！背後でおしゃべりのパフォーマンスを見せるのは、サンレモ音楽祭の司会などでお馴染みのPippo Baudo(ピッポ・バウド)の若き日の姿。

Claudiaの浮遊ヴォーカルが楽しめる"Buonasera dottore(先生、こんばんは)"（1974）は、Claudia30歳の時のヒット曲。作曲者はイタリアで活躍するイギリス人Shel Shapiro(シェル・シャピロ)。

1985年のサンレモ音楽祭に出場した"Un'Altra Volta Chiudi La Porta(もう一度　扉を閉めて) "(1985)は、DVDに唯一収められたClaudiaのステージ映像。作曲は夫君Celentanoで、作詞は名作詞家の故Vito Pallavicini（ヴィトー・パッラヴィチーニ）。ちょっと大人の世界観のある楽曲。Clauia41歳。

そしてここで、2009年にClaudia Moriのコレクションアルバムがリリースされた背景を紹介しました。

image 1121975年に公開された映画『Yuppi du 』は、Adriano Celentano監督作品の2作目であり、制作・指揮・監督・脚本・音楽・主演をAdriano自身が努めた大作。

当時大ヒットを記録し、翌1976年にカンヌ映画祭に出品され、音楽面で『銀のリボン賞』を受賞しながらも、その後、Celentanoの希望により『非公開』化され、映像作品として生産＆販売されることがありませんでした。

そんな幻の名作だった『Yuppi du 』が、30数年経過して修復され、2008年のヴェネツィア国際映画祭で公開され、さらには待望のDVD作品としても発売され、再びイタリア社会で大きな話題を集めたのです。

もちろんこの映画にはClaudia Moriも共演していましたし、人気オーディション番組『X Factor』の第3シーズン(2009)の審査員にClaudia Moriが登場することになったなど、Claudia Moriに再び大きな注目が集まる事となったのが、今回の「Claudia Mori Collection」(2009)の発売につながったようです。

もちろん1970年のサンレモ音楽祭で、夫君Celentanoをパートナーに歌って優勝に輝いた"Chi non lavora non fa l'amore（働かない者は恋するな）"も収録されています。

当時のサンレモ音楽祭は、ダブルキャスト制を取っていたので、同じ曲を2人の歌手が歌い分ける形で『作品を評価する』という、この音楽祭の元々の主旨を取っていましたので、収録曲はデュエットではありません。作曲はCelentano自身。

Celentanoバージョンの同曲は比較的入手し易いようですが、Claudiaバージョンは今ではなかなかお目にかかれないモノですね。

10月FESTA最後の曲は、1967年のCantagiroにおいてCelentanoとデュエットで披露した"La coppia più bella del mondo（世界で最も美しいカップル）"。

コンテストの最中にエスケープして、Canatagiroそのものをめちゃくちゃにしてしまい、優勝預かりになってしまったという、Celentanoが起こした数ある騒動のひとつと言われています。

しかしあまりにも大胆なタイトルを掲げたことと、その曲があまりにも微笑ましい雰囲気だった事もあって、大ヒットとなりました。

当時の映像が見つからなかったので、1987年の夫婦で歌う映像を貼っておきます。歌の後、互いに他人のふりを装って私生活をインタビューしあうところが面白いですし、最後に粋な口づけを交わす2人には、歌のタイトル通り、まさに『世界で最も美しいカップル』だと賛辞を送りたくなります！

この幸せ満タンな楽曲は、当然のように男女デュエットの定番ソングとしてイタリア社会にも定着したようで、Celentano自身もMinaを始め、様々な女性歌手と披露していますし、他の歌手によるカバーもいくつも存在するようです。

10月FESTAの最後に、異色のデュエットを紹介しました。Celentano自身と、なんと名優Roberto Benigni（ロベルト・ベニーニ/57歳）とのデュエットです。共にイタリアを代表する大スターが、まるでリアクション芸人のようなパフォーマンスを楽しませてくれます。

注）記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2009年に達する年齢で表記しています。

次回11月FESTAは、11月14日(土)の開催予定です。

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