その2はコチラ



第3部は、イタリア音楽史にその名が残る大ベテランを特集しました。

 

2009年3月FESTAにて、ジェノヴァ派の真価を広く世に知らしめた故Luigi Tenco(ルイジ・テンコ)の特集を行いましたが、5月FESTAでは、初期の音楽活動をLuigi Tencoと共にした2人のカンタウトーレを取り上げました。

1950年代末にLuigi TencoがAdriano Celentanoのバンドにサックスプレイヤーとして参加した時、ピアニストとして参加したのが、Enzo Jannacci(エンツォ・ヤンナッチ/74歳/Milano出身)です。

Milano近郊出身者で音楽家として大成する者は、多かれ少なかれ南部の血を引いていることが多いのですが、彼もまた親の世代はPuglia州の出身とのことです。

イタリアの最初期のロックミュージシャンのひとりでもありますが、何といっても本業は医者ということも、Enzo Jannacciを異色の存在として光らせているようです。

しかしながら決して歌は上手ではありませんし、そのステージはシニカルなセリフやギャグを織り交ぜたものなので、外国人にはその魅力を充分に理解することが難しいアーティストといえます。

これほど偉大なカンタウトーレですが、50回を迎えた当FESTAでも、彼自身にスポットを当てて紹介するのは初めてのことです。

Enzo Jannacci/The Best DVD2008年に行ったコンサートを収録したCD+DVDセットのライブアルバム「The Best DVD - concerto vita miracoli」(2008)から紹介しました。

そのステージは、JAZZピアニストとして20年のキャリアを積んだ子息Paolo Jannacci(パオロ・ヤンナッチ/37歳)がアレンジとアートディレクターを務めていますので、JAZZ系のミュージシャンで固められた全体的にJAZZテイストのステージとなっています。(Jannacci親子のコラボレーションは15年前から始まっています)

FESTA最初の曲は"Il ladro di ombrelli(影泥棒)"。2006年にリリースされたベスト盤に納められた未発表曲で、コンサートのフィナーレ向きの大団円的な雰囲気を持った楽しい楽曲です。

アルトサックスプレイヤーが粋なインプロビゼーションを聴かせてくれるのですが、次第に自身の演奏に酔いしれて、歌も他の楽器も追随できなくなっても独りで陶酔感に浸って吹きまくり、Enzoが困った顔でチャチャを入れて、エンディングに導くという、漫才コンビのような演出が施されています。

2曲目は後の1997年にノーベル文学賞に輝くDario Fo(ダリオ・フォー)が1968年に作詞&作曲してEnzoとデュエットした有名曲"Ho visto un re(僕は王様を見た)"。

このページでは、旧友のGiorgio Gaber(ジォルジォ・ガーベル)、Dario Fo(ダリオ・フォー)、Adriano Celentano(アドリアーノ・チェレンターノ)、Antonio Albanese(アントニオ・アルバネーゼ)が2001年に集結して共演した時の映像をリンクしておきます。

一番若手のAntonio Albanese(最右側)以外は、1960年代からの音楽仲間となります。
(左から、Giorgio Gaber、Dario Fo、Adriano Celentano、Antonio Albanese。ギターを弾いて歌うのがEnzo Jannacci)

もちろんDVDではソロ・ステージなので、このメンツは揃いませんでしたが、バックミュージシャンたちが、野次を飛ばしたり一緒に歌う役を引き受けた楽しいステージを再現しています。


さて、前出の映像に出てきたGiorgio Gaber(ジォルジォ・ガーベル/1939-2003/63歳没/Milano出身)ですが、彼もまた1950年代末、Adriano Celentanoのバンドにギタリストとして参加し、後にTVや舞台でパフォーマンスする『テアトロ・カンツォーネ』と呼ばれるスタイルを築き上げた偉大なカンタウトーレです。
(詳細は2007年10月FESTAを参照)

2000年代に頭角を現し2007年のサンレモ音楽祭優勝を勝ち取った若手カンタウトーレSimone Cristicchi(スィモーネ・クリスティッキ/32歳/Roma出身)は、Giorgio Gaberの全盛期の記憶がない世代のはずですが、作風や歌詞、曲のタイトルなどの端々にGiorgio Gaberからの影響を強く感じさせるというほど、死後も後進のカンタウトーレにも大きな影響を与え続けている存在です。

Giorgio Gaber/Gli anni settanta彼は60年代からのTV時代にうまく迎合したスタイルのパフォーマンスを築いたため、多くの映像記録が残っているようで、解説書付きの2枚組DVDが、60年代編、70年代編、80年代編と3部作が段階的にリリースされています。

2007年10月FESTAで60年代編のDVD作品を紹介したので、今回は70年代編「Gli anni settanta」(2007)から紹介することにしました。

最初は70年代の名曲のひとつで、Giorgio Gaberの代表作のひとつでもあり、筆者が最も好きなGaber作品でもある"La libertà(自由)"をピックアップしました。1973年のTV番組Senza Rete(RAI)出演時のものです。時にGaber34歳。

2曲目は1973年のTV番組Me, fuori di me(スイスのTV局Rtsi)出演時のカラー映像で、" Far finta di essere sani(健康なふりをしろ)


(DVD商品とは異なる映像をリンクします)

最後はGiorgio Gaberのギタリストとしての魅力も味わえる弾き語りパフォーマンスの"L'impotenza(不能)"を紹介しました。

第3部終了後の休憩時間には、DVDに収録されている1972年のMinaと共演した映像を流しておきました。Gaberのコミカルな芸風が、言葉があまり判らなくてもその表情から感じ取ってもらえると思います。

曲目は、"Io mi chiamo G(僕はGと申します)"、"Porta Romana(ローマ門)"La ballata del Cerutti(チェルッティ踊り)"、Tanti a gogo'(みんな、ゴーゴーへ)、Barbera e champagne(バルベラとシャンパン)"、"Il ricordo(想い出)"。

 



注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2009年に達する年齢で表記しています。

 

Continua alla prossima puntata.(続く)