その3はコチラ

 


 

さていよいよ2009年2月FESTAの最終章・第4部へ。

2009年に入ってから、本Piccola RADIO-ITALIAのサイトが、どういうキーワードで検索されてアクセスされているか、を調査したところ、アーティストの固有名詞ではNegramaro(ネグラマーロ)がダントツの1位となっていました。

Negramaro / San Siro LiveNegramaroについての情報を、日本語で欲しがっている人が多いんだなぁ、と実感。それに応える意味でも、2009年2月FESTAのオオトリとして、Negramaroの最新ライヴアルバム「san siro LIVE」(2008)を紹介しました。2008年11月21日に発売されたCD+DVDの2枚組。

Negramaro / La Finestra2007年に発売された彼らの3rdアルバム「La finestra(窓)」が、4回のプラティナ・ディスクに輝き、2007年のFestivalbar優勝曲を生み出したことなどから、彼らの過去最高の販売枚数を獲得する大ヒット作となりましたが、その間、彼らは長期に渡る『La finestraツアー』を行っており、今回のライヴはそのツアー中で最高峰となるSan Siroでの凱旋ライヴ。

イタリアのミュージシャンにとっての聖地San siro(サン・スィーロ/Milano郊外)。国際級の大物アーティストにしか踏破を許してこなかった巨大スタジアムが、イタリアのバンドとしては初めて、しかも20代の若手ミュージシャンたちに、その門戸を開いた瞬間を記録したドキュメント作品と言えるでしょう。

彼らの公式サイトとは別に、San Siroコンテンツだけのスペシャルサイトが作られてしまうほど、Negramaroにとっても歴史的な大事業になったようです。

さて、そのライヴ盤「San Siro Live」には2曲の未発表曲(合計3テイク)および既存曲の新バージョンが2テイク収められておりますが、新曲が無視できない佳曲なので、ライヴの前に紹介することにしました。

1曲目は"Blucobalto(コバルトブルー)"。こちらは通常テイクとアコースティックヴァージョンの2テイクが収められておりますが、2月FESTAではより美しいアレンジが施されたアコースティックヴァージョンで紹介しました。

シンプルなアコースティックピアノの響きから楽曲は始まり、やがて弦楽隊が美しくかぶさって来て、心の琴線を刺激する旋律が絡む、鳥肌モノのアレンジが光る楽曲です。8分強に渡って収録されているため、FESTAでは5分程度でフェイドアウトせざるを得なかったのが少々残念でした。

Negramaro / Mentre tutto scorreDaniel Gangemi(ダニエル・ガンジェルミ)監督の映画『Una notte blu cobalto(ブルーコバルト色のある夜)』(2008)の主題歌となった楽曲でもあります。

さて、せっかくのライヴ盤ですから、ここから元気なライヴ映像を2曲続けてご覧いただきました。"Nella mia stanza(僕の部屋で)"、そして"Mentre tutto scorre(全てが流れる間に)"。どちらも大ブレイクのきっかけとなった2ndアルバム「Mentre tutto scorre(全てが流れる間に)」の1曲目&2曲目に収められた勢いのある楽曲ですので、ライヴだとその魅力が溢れるほど感じていただけると思います。


(セールスを阻害しないよう、DVD商品とは異なる映像をリンクします)

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ライヴの迫力をたっぷり味わっていただいた後では、このライヴアルバムに収められたもう1曲の新曲のスタジオ録音曲"Meraviglioso(すばらしい)"をPVで紹介いたしました。シングルチャートで1位を記録しています。

PVを見終わって、FESTA会場のメンバーにクイズを。『この曲を聴いたことがある方〜?』と。すると『・・・・う〜ん・・・どっかで聴いたことあるんだけどなぁ・・・』という声が2〜3ほど・・・

『そうかぁ・・・これ、実はリバイバルなんですよぉ』と種明かし。Domenico Modugno(ドメニコ・モドゥーニョ)の1968年の曲で、それほどヒットはしなかったものの、Modugno自身が愛する楽曲のひとつであったとか。発売前年の1967年とクレジットされた映像で紹介しました。Modugno39歳の時。

正解率が低かったので、ではこれはいかがでしょう?と紹介したのは"L'immensità(広大)"のライヴ映像。2ndアルバム「Mentre tutto scorre(全てが流れる間に)」収められていた楽曲で、映像は「MTV live Negramaro」(2006)から。


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再びFESTA会場のメンバーにクイズを。『この曲を聴いたことがある方〜?』と。すると今度は挙手が2〜3ほど。やはりこちらの方が、日本のベテランファンにはおなじみの楽曲だったようですね。邦題『涙に咲く花』でJohnny Dorelli(ジョニー・ドレルリ)の歌唱で知られた1967年のサンレモ出場曲。

FESTAでは、作者のDon Backy(ドン・バッキー/70歳/Pisa近郊出身)ヴァージョンを紹介しました。Don Backyは1960年代の後半、その繊細な作風で『モザイク・カンツォーネ』などと呼ばれ、一世を風靡したカンタウトーレ。日本人にとって『いわゆるカンツォーネの黄金期』の代表曲のひとつと考えられている"Casa bianca(カーサ・ビアンカ/白い家)"の作者と言った方が判り易いかもしれません。

Don Backyは、Adriano Celentano(アドリアーノ・チェレンターノ)の子分的な立場で活躍していたものの、やがて師弟間で楽曲を取った取られたという紛争から、後の芸能界の首領(ドン)となるCelentanoと仲違いを起こして、その後の芸能活動にケチが付く事になってしまったことでも知られる人物です。

Negramaroは若者中心の人気に留まらず、幅広い年齢層から広く認められるようになったのは、こうして40年も前の楽曲をリバイバルするところにも秘密がありそうです。しかも誰もが知っている大ヒット曲でなく、ややマイナーながらも通を唸らせる楽曲を選んで来るところが心憎い。

彼らを発掘したのは、1960年代に『ビートの女王』として一世を風靡したCaterina Caselli(カテリーナ・カセッリ)。実業界に入ってからは、Andrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)やElisa(エリーザ)などの売り出しに成功するなど、秀逸なプロデュース業でその名を世界に轟かす大実業家に成長しています。

Negramaro / La Finestraさて、再びNegramaroのライヴ映像に戻り、"Cade la pioggia(雨が降る)"を紹介。Festaでは何もコメントしないまま映像を見てもらいましたが、実はこれ、3rdアルバム「La finestra(窓)」に収められていた通り、後半のラップ部分でLorenzo "Jovanotti"(ロレンツォ "ジォヴァノッティ")が登場するというサプライズ付き。実際のSan Siroのステージでも事前に公表されていなかったようで、Jovanottiが登場すると会場は興奮の渦に!

アーティストとしての格は、Jovanottiの方が遥かに上ですから、そんなJovanottiが1曲の一部分の為だけにステージに駆け付けてくれたという驚異。それだけSan Siroという聖域には求心力がある一世一代の晴れ舞台であり、Negramaroが名実共にイタリア社会に認められた瞬間だったかもしれません。


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2月FESTAの最後の曲は3rdアルバム「La finestra(窓)」に収められていた"Giuliano poi sta male(そしてジゥリアーノは気分が悪い)"。Giulianoとはもちろん、このバンドの看板を背負ったGiuliano Sangiorgi(ジゥリアーノ・サンジォルジ/30歳/Puglia州Salento地方出身)のこと。
彼らのほとんどの楽曲の作詞&作曲を手掛け、独特のヴォーカルでNegramaroのアイデンティティを司る名実ともに中心メンバーです。

Negramaroの故郷Salento(サレント)にはpizzica pizzica(ピッツィカ・ピッツィカ)と呼ばれる伝統的な舞踊がありますが、それを織り交ぜたヴァージョンで、この"Giuliano poi sta male"を披露してくれたのです。

Puglia州にはタランチュラと呼ばれる毒蜘蛛がおり、これに噛まれた後、じっとしていると全身に毒がまわって命を落とすことになるので、死に至らないようにするには、止まることなく体を動かし続ける事が必要だったことから、患者を躍らせて治療することを目的に生まれた音楽がPizzica Pizzica。

かつてのPizzzicaの名手たちは、医者と同じような位置付けだったそうですが、医学が進歩した現代では、その音楽自体が失われつつある危機にあるそうです。

San Siroのステージでは、Antonio Castrignandò(アントニオ・カストリニャンド)というPizzica Pizzicaの歌手を中心に、伝統的なタンバリン隊そして民族衣装を身にまとった踊り子たち。そして地中海の民族音楽の立役者のMauro Pagani(マウロ・パガーニ)までヴァイオリニストとして参加するという圧巻のステージでした。



注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2009年に達する年齢で表記しています。

 

次回3月FESTAは、3月14日(土)の開催予定です。