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第4部

 

Giorgia/spiritolibero2009年1月Festaの最終章の第4部では、Giorgia(ジォルジァ/38歳/Roma生まれ)のベストアルバム「spiritolibero-viaggi di voce 1992-2008(自由な精神-声の旅 1992-2008)」を紹介しました。

2008年11月21日発売の3CD+DVDという4枚組で、いくつかの曲を再録音している単なるコンピレーションとは異なる意欲作。

イタリアのiTunesでアルバムチャート1位を獲得し、発売1カ月にしてダブルプラティナ・ディスクを記録するなど、幸先の良い滑り出しを果たしています。

3CDのうち2枚がGiorgia自身のヒット曲で構成され、残りの1枚は自身のアルバムの他、他のアーティストのアルバム等でゲストヴォーカルを務めたテイクが集められています。さらにオリジナル曲のライブ音源もいくつか。

DVDには、これまで発表したPVを現在のGiorgiaがコメントをつけながら紹介する構成の映像集となっています。

GiorgiaのDVD映像は2000年代になってから2作リリースされていますが、2つともライヴ映像であり、選曲内容などがいま一つ物足りない内容でしたので、このPV集はGiorgiaの足跡をそのまま記録した資料としての価値も高く、とても重宝するもの。FestaではこのDVDの映像を使って紹介いたしました。

最初に紹介したのは、まさにGiorgiaの足跡そのもの。サンレモ音楽祭出場時の映像のメドレーで、"E poi(そしてそれから)"(1994)、"Strano il mio destino(私の不思議な運命)"(1996)、"Di sole d'azzurro(紺碧の太陽の)"(2001)のベストシーンがDVDの明瞭な映像で蘇ります。

何分、日本からではインターネット上の粗いストリーミング映像でしか見たことしかありませんから、顔のアップ時の肌の質感や、背景の細かな装飾などが手に取るように見えるのは感動ものです。

それにしても、1994年はまだ垢抜けないルックスのGiorgiaが、光輝く『イイ女』風に変化していくスピードは超音速ものです。

Come Thelma & Louiseそして初期の大ブレイクのきっかけとなった"Come saprei(私はどうやったら解るのだろう)"(1995)。

Eros Ramazztti(エロス・ラマッォッティ)がGiorgiaに書き下ろした同曲は、4オクターブにも及ぶ声域と言われるGiorgiaの非凡な才能を充分にアピールするのに充分な役目を果たし、サンレモ音楽祭1995で優勝を果たすと同時に、女性アーティストとして初の批評家賞(後のMia Martini賞)までも受賞する栄冠に輝きます。

同PVは遠く日本のTVイタリア語講座でも紹介され、日本盤CDまで発売される快挙を成し遂げました。時にGiorgia24歳。

同時期のGiorgiaの作品には、Gatto Panceri(ガット・パンチェーリ)が曲作りに積極的に関わっており、その中から"Riguarda noi(私たちに関して)" (1995)のPVが、中世の合戦シーンを再現するというかなりの予算をかけた制作となっているものだったので、改めて鑑賞することにしました。

Senza Aliこの後のGiorgiaは、その卓越した歌唱力を買われて、Andrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)のアルバムで"Con te partirò"をデュエットし、国際的なヒット曲に押し上げるなど、他のアーティストから引っ張りだことなり、自身で歌ってもよし、コラボもよし、というの人気アーティストとしてもブレイクします。

2001年にはアルバム「Senza Ali(翼なしで)」をイタリアの枠組みを飛び出して、国際的に有名な外国アーティストたちとのコラボを手掛け、一大躍進の足がかりを作り始めます。

Alex Baroni

ところが2002年、Giorgiaの運命を変える大事件が起こります。同棲していた恋人であり、優れた才能のアーティスト同士としてもコラボを始めていたカンタウトーレのAlex Baroni(アレックス・バローニ)を突然の交通事故で失ってしまうのです。Giorgiaが半狂乱となってその場に崩れ落ちたと、当時のNewsは伝えていました。



Greatest Hits皮肉なもので、同年にリリースすることが予定されていたGiorgia初のベストアルバムは、急遽Alex Baroniへの追悼盤としての役割を持つこととなり、「Greatest Hits - Le cose non vanno mai come credi(グレーテスト・ヒット - 決して信じるように物事は進まない)」というサブタイトルがクレジットされました。

単なるベストアルバム以上の研ぎ澄まされた完成度を持ったこのアルバムは、同年の年間ベストセラーアルバムの2位という空前のヒットを記録。現在もなお売れ続けている驚異のロングセラーアルバムとなりました。

ヴェリー・ベスト・オブ・ラウラ・パウジーニちなみに同年のNo.1アルバムは、Laura Pausiniの「The Best of Laura Pausini - E ritorno da te」。

この2人の同世代の女性歌手は、不思議なことに共通点が多く、サンレモ音楽祭でのデビューもほぼ同時期。ベストアルバムの大成功も同時期。プライベート面では、ベストアルバム発売の直前に恋人を失って窮地に立つ、と。(Lauraの場合は生き別れですが・・・)

いずれにせよ、この2人の女性歌手は、ベストアルバムが空前のSalesを記録を躍進している裏では、ひとりの女性として心の空虚さと必死に闘っていたことになります。

その孤独な戦いの中、Giorgiaに訪れたのは映画のサントラとしての楽曲の提供の仕事でした。映画『La finestra di fronte(正面の窓)』(2003)に新曲"Gocce di memoria(想い出のしずく)"(2002)を作り上げます。

Giorgia自身が作詞を手掛けており、その内容は、まさに当時のGiorgiaの心をそのまま写したかのような内容になっています。

この新しい涙は 思い出のしずく
私たちは 忘れ去ることのできない物語の住人

空虚な私の部屋に
永久にあなたは私を探しにやって来るのだろう
計り知れないほど 私を支配する
あなたの不在感は 捕えどころがない

私たちは 切っても切れない仲
私たちは 似た者同士で 傷つきやすい
そして 私たちはこんなに離れ離れなっている

心の中にある 凍りつくような寒さを抱えて
私はあなたの方へ 走っている

私たちは 同じ運命の中にいる
なんという刃(ヤイバ)が 私たちを変えてしまうのだろう

私たちは 単に ある兆しを
ある運命を 永遠を 待っている

あなたに追いつくために 
今私は何ができるのか言って

今 あなたに追いつくために
あなたに追いつくために

私たちは 過去のしずく
もう後戻りできない

この世は私たちを裏切った
理解できない

あなたのことを語るわ
あなたのために 私たちが持っていないものを作り出すわ

約束は破られた 私たちに降り注ぐ雨のように

言葉は飽きられても 
あなたは私のことを聴いてくれることが判るわ
再出発と 運命と 真実を 私たちは待っているの
ねぇ 今あなたに追いつくために 
私に何ができるか教えて
今 あなたに追いつくために あなたに追いつくために




Stonata2003年を境に4年ほど新作アルバムを出さずに、主にライブや他の歌手とのコラボ活動に費やしていたGiorgiaは、2007年にアルバム「Stonata(音痴)」を掲げてシーンに帰ってきました。(2008年2月Festaレポートを参照)

1月Festa最後の曲は、今回のベストアルバム「spiritolibero」に収められたGiorgiaの新曲"Per fare a meno di te(あなた抜きでやるために)"(2008)Giorgia自身も曲作りに参加しています。

今回もまたしても映画『Solo Un Padre(父親だけで)』(2008年11月28日公開)の主題歌に起用されるなど、2000年台のGiorgiaは映画のサントラとの繋がりが深くなっていることが感じられます。

Giorgiaはこれまでのキャリアを通して、通算100枚ものプラティナ&ゴールド・ディスクを獲得していることになるそうで、今後も第一級のボーカリストとしての活躍を期待したいところです。


注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2009年に達する年齢で表記しています。

 

次回2月FESTAは、2月11日(水・祝日)の開催予定です。