その1はコチラ



第2部

 

第1部のラストソングとして紹介したTiziano Ferro(ティツィアーノ・フェッロ)の"La paura non esiste (恐怖は存在しない)"をTizianoと共作したのがLaura Pausini(ラウラ・パウズィーニ/35歳/Ravenna近郊Faenza出身)。

18歳(1993年)の時にデビューして、若くして正統派ボーカリストとして脚光を浴びたLauraですが、イタリアでは多くの若手女性歌手が短命でシーンから姿を消していくシーンの中にあって、イタリアはもとより、ヨーロッパを始め世界中で成功を収め、アメリカでグラミー賞を受けたり、イタリア政府から受勲されたりと、最も世界的に有名なイタリアPOP歌手としてファーストレディの格にレベルアップしたことは、もはや言うまでもありません。

自身のアルバムでも積極的に曲作りに関わるようになって来ていましたが、今回のように他のアーティストの曲作りに参加するのは初めてのことではないでしょうか。カンタウトリーチェとしての才覚を発揮し始めているのかもしれません。

Laura Pausini/Primavera in anticipoそんなLaura Pausiniのオリジナルアルバムとしては4年ぶりとなる「Primavera in anticipo(早春)」が、2008年11月14日に発売されました。実に世界47カ国での同時発売です。(日本市場での発売は未定?)

発売一週目からイタリアのアルバムチャートの1位を取得し、実にその後も9週に渡って1位に君臨し続けているそうです。プラティナディスクを5回、さらにその上の格となるダイアモンドディスク受賞の栄冠に輝く快挙を成し遂げました。

前作の「Resta in ascolto(傾聴していて)」(2004)も、前々作「Tra te e il mare(あなたと海の間に)」(2000)から4年ぶりのオリジナルアルバムでしたので、2000年代のLauraの活動は、オリジナルアルバムを4年毎に、その間はベストやカヴァー盤、ライブ盤などをリリースするパターンになってきたのかも知れません。もっともこの2000年代にLauraは全世界的な名声を勝ち取ることになりましたが。

そんな待望のオリジナルNewアルバム「Primavera in anticipo」の発売に先行して、10月22日に先行シングル"Invece no(それでもノー)"が、大手日刊新聞『Corriere della sera』のサイトで限定発表され、10月24日からは各ラジオ局から流れるようになりました。Laura自身のペンになる伸びやかなバラードタイプの楽曲。

Festaでの2曲目は、このアルバムのタイトル曲でもあり、話題曲でもある"Primavera in anticipo"。実は2バージョンがアルバムに収められており、Lauraのソロバージョンの他、イギリスのシンガーソングライターJames Blunt(ジェームズ・ブラント/35歳)とのデュエット"Primavera in anticipo (It is my song)"が。サブタイトルの通り、Lauraのイタリア語ボーカルに、James Bluntが英語のボーカルをかぶせています。

James Bluntは少々変わった経歴の持ち主で、元軍人。イギリス軍で大尉を務めていたそうです。そして1997年にElton Johnがダイアナ妃に捧げた楽曲"Candle in the Wind 1997"以来、ほぼ10年ぶりにアメリカのヒットチャートでブリティッシュPop/Rockが首位を収めることに成功した大注目株のアーティスト。

Lauraが英語盤アルバムでアメリカ市場に挑戦した際にも口にしていた『アメリカ市場はとても閉鎖的・・・』というのは、英語圏以外の国々に対してだと思っていましたが、同じ英語圏でもアメリカ以外の国々にも門戸を閉ざしているのがアメリカ市場のようですね。アメリカ市場に向きっぱなしの日本市場では、イタリアPOPSを楽しめないのは、こうした大きな障害に主な原因があるのかもしれません。

いずれにせよ、アメリカ市場でグラミー賞のラテン部門で賞を受けたLauraとは、名実共にアメリカ市場での栄冠を勝ち取ったヨーロッパの誇りであり、奇しくも同い年の2人。ということで、特にヨーロッパでは話題性も抜群のようです。

Laura Pausiniの3曲目は、Gianluca Grignani(ジァンルカ・グリニャーニ)がLauraに書き下ろした"Prima che esci(あなたが出て行く前に)"。

最近のGrignani以上にGirgnaniらしい(?)さわやかで瑞々しい作風に癒される楽曲に仕上がっています。


 

"Tra te e il mare(あなたと海の間に)"(2000)で、Laura Pausiniに初めて曲書き下ろして、当時のイタリアで大きな話題となったBiagio Antonacci(ビアジォ・アントナッチ/46歳/Milano出身)。

Biagio Antonacci/Il cielo ha una porta solaイタリア国内に限れば、Laura以上の人気と実力を誇るビッグスターのカンタウトーレですが、そんな彼が2008年10月31日に発売したベストアルバムが「Il cielo ha una porta sola(空にはたったひとつの扉がある)」。

専用の公式サイト『Il cielo ha una porta sola』からファンに投票してもらって選曲するという、Web2.0的な試みで制作された、ファンには心憎い企画アルバム。

従来の彼のオリジナル曲12曲に加え、2曲の新曲と2曲のセルフカバー曲を加えた16曲が収録されています。

2曲のセルフカバーの内容は、ずばりLaura Pausiniに書き下ろした"Tra te e il mare(あなたと海の間に)"(2000)、"Vivimi(僕になりきってくれ)"(2004)の2曲。

このうち、Laura版を凌ぐほどの魅力にあふれた仕上がりとなっている"Vivimi"をFestaでは紹介することにいたしました。

2008年10月17日に発売され、イタリア中で大きな注目を集めたOrnella Vanoni(オルネッラ・ヴァノーニ/74歳)のデビュー50周年を祝う傑作アルバム「Più di me(私よりもっと)」(2008年11月Festa参照)を掲げた記念コンサートにBiagio Antonacciがゲスト出演した時のライブ映像でお届けしました。

Ornella VanoniがBiagioに直接、『"Vivimi"を歌って欲しい』とリクエストをして、それに応える形で披露しています。『無条件でOrnellaに捧ぐ』という言葉を添えて。(本来はLaura Pausiniに捧げた楽曲なんですんがね。)

もう1曲のLaura Pausiniに書き下ろした楽曲"Tra te e il mare"は、大胆にアレンジを変えて収録しており、なんとRolling Stonesの80年代初頭のヒット曲として、洋楽ファンにはお馴染みの"Start me up"の特徴的なギターリフを基調にしています。楽曲のクレジットにはしっかりと作者のMick JaggerとKeith Richardsの名が連ねられています。

Festaではその有名なギターリフに乗ってBiagioが歌うさわりの部分を聴いてもらいました。う〜ん、こっちはLauraバージョンの方が良いかな??

そしてここからは収められた新曲2曲を紹介。ちなみに2曲とも、映画『EX』(2009年2月6日公開予定/伊仏合作/Fausto Brizzi監督)のサウンドトラックに起用されることになった楽曲です。

Festaでは"Aprila(それを開いて)"を先に紹介しましたが、実はこの新曲2曲はセットになっている楽曲で、アルバムの1曲目に収められたアルバムタイトル曲"Il cielo ha una porta sola"の最後の歌詞が、まさにこの『Aprila』で終わることからも推定できるかと思います。


『Aprila(それを開いて)』の『la(それ)』とは、1曲目では『la porta(扉)』を指しており、2曲目の楽曲"Aprila"では、1曲目の扉の意を受け継いだうえで、『la mia vita(私の人生)』を目的語に据え変えています。『apri la mia vita』という言葉の並べ方からして、自分に対して『目を開け』と叱咤している、すなち死に行く者が生き返ろうとしていると解釈することができるかと思います。

そうこの2曲は死に別れてしまった愛し合う男女の心の対話を歌っているのです。(実は前出の"Vivimi"も同様のシチュエーションを歌っている模様)

詩の表現としては、やはりアルバムタイトル曲"Il cielo ha una porta sola(空にはたったひとつの扉がある)"の方が優れているので、FestaではBiagioのライブ映像を鑑賞した後、改めてスタジオ録音を聴きながら、歌詞をスクリーンに投射して理解を深めました。目がしらを押える参加者も出るほど、感傷的な気持ちを誘う楽曲でした。

出だしのワンフレースのみスペイン語で『Oye, como va』と語りかけていますので、死んでしまった恋人はスペイン語圏の人物を想定しているのかもしれません。
例の映画『EX』上の設定かもしれませんが、1963年に発表されたTito Puenteの同名の名曲にインスピレーションを受けているのかも?

 

やぁ、元気にしているかい (←スペイン語)
あの美しい風が止んで 
僕には春の真っ盛りに感じるよ 
空には扉がひとつだけある

君は悪く考えるのを止めた
自分の壊れやすい想いに対して 
自分の周りを平和にすることを始めたのは まさに君
君はいつも影の中に 生きている

僕は君が好き
君が僕に言う
私はあなたが望むように
あなたを愛することができないわ


ここから君に手紙を書く
君の故郷のこの大地でも
君に息をさせているようだ
いつも真っ白な小舟(=教会の身廊)

僕は君が好き
君は僕に言う 
あなたは私の悪い部分ではない あなたはそうじゃないわ

君を急がせるためじゃない
距離のせいじゃない
あらゆる生きるもの 君なしで生きる

僕は感じるために 君に手紙を書く
僕は永遠に 君に手紙を書く
たとえ届かなくても

僕が君を感じるのは なんて強いのだろう
僕が君を感じるのは 
いつも君を・・・
僕は好きだから・・・
君が僕に言う
私はあなたを愛するのに相応しくないわ

そこは なんて久しぶりだろう
君はもう 海に居るのかな 
時間にすがりついて 決して罪の意識を感じないでくれ
大いなる意思が 改めて決めたことだから

僕は君が好き 君は僕に言う
空には扉がひとつだけある
僕は君が好き 君は僕に言う
空には扉がひとつだけある
さあ開いてごらん
開いて(=Aprila)

 



注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2009年に達する年齢で表記しています。

 

Continua alla prossima puntata.(続く)