その1はコチラ


第2部は、異色&エキセントリック路線のアーティストや作品をラインナップ。

colomboruggiero/Pomodoro genetico1人目はcolomboruggiero(コロンボルッジェーロ)名でリリースされたアルバム「Pomodoro Genetico(トマトの原種)」(2008)から。colomboruggieroとは、Roberto Colombo(ロベルト・コロンボ)とAntonella Ruggiero(アントネッラ・ルッジェーロ/56歳/Genova出身)の夫妻による実験的企画アルバム。(2008年10月3日発売)

極力リズム楽器を廃し、電子サウンドと生ストリングスと歌詞なしの声の融合に挑戦しています。歌詞がなく全編スキャットだけのヴォーカルなので、もはやイタリアPOPSとは呼べないかもしれませんが、Roberto Colomboは、PFMやMatia Bazar(マティア・バザール)のプロデュースでその才能を発揮し、知名度を上げた名プロデューサーであり、Antonella Ruggieroはイタリアの国宝級の女性ヴォーカリストですから、彼らの動きには注目せざるを得ません。

11月Festaでは、CDに附属されたDVDに収められた映像作品"attesa(予期)"を紹介。お世辞にもビジュアル系とは言えない56歳のAntonella Ruggieroを妖しく美しく、神秘的な映像世界で表現することに成功しています。やや実験音楽の要素が強い、緊張感のあるサウンドの楽曲。

2曲目はリラクゼーションやヒーリングミュージックとも呼べそうな楽曲"Leggero(軽やかに)"。Antonellaのヴォーカルの妙を充分に堪能できる楽曲で、オーケストラのかぶさり方も実に心地よい。

アルバムに収められたほとんどの楽曲は、この曲のようなヒーリング系のサウンドの楽曲になっており、お昼寝のお供に良さそうです。Antonellaでなければこのような企画アルバムは成り立たないのは明らかですね。


Ottavio2番目のアーティストは、Bandabardò(バンダバルド)。1993年から活動を続けるFirenzeで結成されたフォークロック・グループで、バンド名はフランスの大女優Brigitte Bardot(ブリジット・バルドー)を意識して命名されているそうです。

デビュー以来、きっちり2年毎にアルバムをリリースする活動を続けており、2008年9月5日にリリースしたのが、「Ottavio(オッターヴィオ)」(2008)。Ottavioという男が、幼い時から愛に餓えていたことに気付いて行くストーリー仕立てのアルバム構成になっています。

アルバム1曲目に収められたのはシングルカットされた"Bambino(小さな男の子)"。FESTAでも1曲目に採用。まずは何も説明せずに聴いていただきました。古くからベテランファンには耳覚えのある曲・・・曲を終わってから参加者の声を聞いてみます。

 

『この曲、聴いたことがあるひと〜?』

・・・・5人ぐらいが手を上げます。


『誰の歌で聴きましたか?』

・・・・Aurelio Fierro(アウレリオ・フィエッロ)!!

・・・Dalida(ダリダ)!!という声が。

さすが、筋金入りのベテランファンがいるものですねぇ。そう1956年にAurelio Fierroがナポリ語でヒットさせ、同年Dalidaがフランス語でヒットさせた、もう半世紀前のヒット曲。AurelioもDalidaも故人となってしまった現代に、再びBandabardòの連中がリバイバルを図ったのです。

Aurelioはナポリ語の"Guaglione(グァリォーネ/意:若者)"という曲名でリリースしましたが、イタリア人でありながらフランスで大活躍したDalida(1933-1987/54歳没/エジプト・カイロ生まれ)は、自らのアイデンティティを示すと同時により一般的なイタリア語"Bambino(バンビーノ/男の子)"という曲名に変えて、フランス語詩で歌ってフランス社会で大ヒットさせたのです。

BandabardòはBrigitte Bardot(ブリジット・バルドー)をリスペクトしたバンド名を名乗るだけあって、Dalidaヴァージョンの方のカヴァーしています。

Bandabardòの2曲目は、アルバムの2曲目でもある"bambine cattive(不良少女たち)"。この楽曲は歌詞こそイタリア語ですが、アメリカ南部のカントリー音楽そのもの。東京ディズニーランドのカントリーベア・シアターに流れていても、ほとんど違和感のない曲調です。


All 'una E 35 Circa
第2部のトリを務めるのは、奇人Vinicio Capossela(ヴィニーチォ・カポッセラ/43歳/ドイツ・ハノーフェー生まれ)。1990年にデビューした初期の頃は、Jazzの範疇で語られることの多かった地味な作風でしたが、次第にJazzの範疇に納まらない、というかすっかりJazzの世界を飛び出し、アヴァンギャルドさと実験音楽、郷愁感の漂うレトロサウンド、大道芸の音楽などをごった煮にしたような独自の音楽観を確立するようになります。

Ovunque Proteggi奇妙なカブリ物を好んで被ったステージ演出をしたり、オドロオドロシイ音楽を奏でたりと、通常ならキワモノ、ゲテモノ扱いされマニアックなファンにのみ支えられる存在になりがちなのですが、何故かイタリア社会では広く理解されており、アルバムヒットチャートでも上位に食い込んだり、普通のTV番組に出演したりするポピュラーな人気を誇っているようです。

ヴォーカルの音程も不安定で、決して上手な歌手ではないのですが、何といってもリスナーの心に強烈なノスタルジーを感じさせる美しい楽曲を編み出す、熟練した魔術師のようなアーティストなのです。

Vinicio Capossela/Da solo毎年イタリアで、世界の音楽を評価するPremio Tenco(ルイジ・テンコ賞)を1990年のデビューアルバム、2001年、2006年と、何と3度も獲得しているのも、その才能と存在をイタリア社会で広く認められている証拠だと思います。

その鬼才Vinicio CaposselaがPremio Tencoに輝いた傑作アルバム「Ovunque Proteggi」(2006)から2年ぶりにリリースしたのが「Da solo(独りで)」(2008)。2008年10月17日に発売になったばかり。

アルバム発売に先行して9/22に発表されたのが"Il gigante e il mago(巨人と魔術師)"の音源とPV。昔のサーカスの世界に迷い込んだような、まさに彼の音楽の集大成のような楽曲。

2曲目は、シングルカットされた"In clandestinità(非合法な状態の中で)"。Caposselaが持つ多面的な魅力の中で、光り輝く美しい楽曲を生みだす力が発揮されているのがこの楽曲。かなり音程の怪しい、大人しくつぶやくようなヴォーカル曲なのに、シングルになってしまうのも不思議。

3曲目は"Il paradiso dei calzini(靴下の天国)"。演奏がまるでオルゴールのような音色の優しく美しい楽曲。Caposselaの不安定な低音ヴォーカルが味に感じてしまう、これまた不思議な楽曲。



注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2008年に達する年齢で表記しています。

 

Continua alla prossima puntata.(続く)