重鎮カンタウトーレFrancesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴーリ/66歳/Roma出身)が2015年10月にリリースしたアルバム『De Gregori canta Bob Dylan - Amore e furto(意:デ・グレゴーリ、ボブ・ディランを歌う - 愛と盗み)』。このアルバムのリリースのちょうど1年後にボブ・ディランがノーベル文学賞受賞となることを予言していたかのような代物だ。
Francesco De Gregori - De Gregori canta Bob Dylan_Amore e furto

アルバムのサブ・タイトル"Amore e furto(意:愛と盗み)"とは、ディランが2001年にリリースしたアルバム『Love and Theft』のイタリア語訳。とは言え、同アルバムをカヴァーした訳ではないため、単なる引用であると同時に、"愛を込めた盗作"的なニュアンスなのだろう。

収録全曲はデ・グレゴーリ自身が書いたイタリア語詞によるカヴァーで、一般的にディランの代表曲と言われるものを敢えて外したマニアックな選曲。

「Un angioletto come te(君のようなキューピッド)」は「Sweetheart like you(邦題:スウィートハート)」(1983)のカヴァー。https://youtu.be/bd29sNmzaag

「Mondo politico(意:政治的世界)」は「Political world(邦題:ポリティカル・ワールド)」(1989)のカヴァー。https://youtu.be/qVCoG-IB9mM

「Via della poverta(意:貧困街道)」は「Desolation row(邦題:廃墟の街)」(1965)のカヴァー。原曲同様、約11分の長編。遡ること1974年にFabrizio De Andre'がイタリア語カヴァーをリリースしているが、既にこの時点でデ・グレゴーリとデ・アンドレがイタリア語詞を共作していた訳だ。つまりカヴァーのセルフカヴァー。ライヴでもきっちり11分間演奏している。https://youtu.be/XX2FEtmGuVI

「Come il giorno(意:その日のように)」は、「I shall be released(邦題:アイ・シャル・ビー・リリースト)」は、このアルバムの中で一番有名な楽曲と言ってよいだろう。

しかしディランの代表曲であるにも関わらず、ディランの歌唱版はしばらく公式にリリースされなかったという曰く付きの楽曲でもある。

初めて録音されたのは1967年。ディランが交通事故で重傷を負って静養のためウッドストック郊外の一軒家で隠遁生活を送っていた際、ディランと共に寝食を共にしていたディランのバックバンドのメンバーと地下室で行っていたセッション時にこの曲は生まれている。

そのバックバンドが独立してThe Band(ザ・バンド)と名乗り、デビューアルバム『Music from Big Pink』(1968)に同曲をThe Bandの演奏&ヴォーカルで収録したのが、初めて公式にリリースされたヴァージョンとなる。

オリジナルとなるディラン歌唱&ザ・バンド演奏のテイクは遠く1991年まで公式にリリースされることは無かったものの、ライヴでは定番的に演奏されており、ザ・バンドの、そしてディランの代表曲のひとつとして定着した。

1976年にザ・バンドの解散ライヴ『The Last Waltz(邦題:ラスト・ワルツ)』(映画化もされた)のフィナーレに演奏され、ディランとザ・バンドのリードヴォーカルに合わせてライヴに客演した豪華な面々(リンゴ・スター、ロン・ウッド、エリック・クラプトン、ニール・ヤング、ニール・ダイアモンド、ジョニ・ミッチェルら)が演奏やコーラスに加わった感動的なシーンが特に有名となり、同曲は様々なアーティストが参加するジョイントライヴのフィナーレの定番曲化することになったのだ。https://youtu.be/MjtPBjEz-BA

※当サイトでのFrancesco De Gregoriの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Francesco_De_Gregori


第1部2人目の紹介アーティストは気鋭のカンタウトーレErmal Meta(エルマル・メータ/36歳)。サンレモ音楽祭2016新人部門に「Odio le favole(意:僕はおとぎ話が嫌い)」で第3位となり知名度を得た。

彼はアルバニア国フィエル出身のアルバニア人で、13歳の時にイタリアはPuglia州Bariに家族と共に移住してイタリア国籍を得たという出自。サンレモ音楽祭には既に10年前の2006年大会の新人部門にAmeba 4(アメーバ・クアットロ)のギタリストとして参加したが予選敗退。

翌2007年には自身がリーダーを務めるLa Fame di Camilla(ラ・ファーメ・ディ・カミッラ)を結成。2010年のサンレモ音楽祭新人部門に出場するものの、またしても予選敗退の辛酸を舐める。

5年間の活動の後バンドは解散。Ermalはソングライターとして目覚ましい活動を開始。Emma(エンマ)、Francesco Renga(フランチェスコ・レンガ)、Patty Pravo(パッティ・プラヴォ)、Chiara(キアラ)、Marco Mengoni(マルコ・メンゴーニ)、Annalisa(アンナリーザ)、Francesca Michielin(フランチェスカ・ミキェリン)、Lorenzo Fragola(ロレンツォ・フラーゴラ)といった人気歌手や大物に楽曲を提供。Negrita(ネグリータ)の楽曲のアレンジ、TVドラマのサントラなどを手掛けてその実力が評価され、晴れて2016年のサンレモ音楽祭でソロデビューすることになったのだ。

サンレモ2016出場曲を収録した『Umano(意:人間)』(2016)がソロデビューアルバムとなった。
Ermal Meta - Umano

「Volevo dirti(意:僕は君に言いたかった)」は最近流行の360度仕様の公式ヴィデオクリップ。https://youtu.be/6-Ujrbm3ffM

「A parte te(意:君を除いて)」は、既に2014年に「Sempre sarai(意:いつも君がいることだろう)」https://youtu.be/OY414hLhQiUのタイトルでMoreno(モレーノ)が Fiorella Mannoia(フィオレッラ・マンノイア)フィーチャリングして録音された楽曲のセルフカヴァー。https://youtu.be/ztLnxH47lrc

※当サイトでのFiorella Mannoiaの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Fiorella_Mannoia

「Gravita con me(意:僕と共に引き寄せられる)」https://youtu.be/11s9P1xiK9o

※当サイトでのErmal Metaの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Ermal_Meta


注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2017年に達する年齢で表記。

Continua alla prossima puntata.(続く)