Piccola RADIO-ITALIA

〜イタリアン・ポップスを簡単に聴ける環境を日本に作りたい〜
Gruppo per diffondere la musica pop italiana in Giappone!!

Ivano_Fossati

イタリアの家庭でラジオをつけるがごとく、イタリアン・ポップスを簡単に聴ける環境を日本にも作りたい
という趣旨で、2005年4月より毎月1回、通称“FESTA(フェスタ)”と呼ばれるイタリアン・ポップス鑑賞会を開催しております。
このサイトでは、そのFESTAのレポートを中心に、イタリアン・ポップス(イタリアPOPS)を紹介しております。
FESTA会場で流した音楽や映像には、Web上ではご紹介できないのが多々あります。ぜひFESTA会場にお越しください。

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Ecco il gruppo per diffondere la musica pop italiana in Giappone,
e speriamo di creare la circostanza in cui si divertono la musica pop italiana in Giappone
Diamo la festa musicale ogni mese da Aprile 2005, dove mettiamo la musica pop italiana.
Qua sul nostro sito, inseriamo dei rapporti sulla ogni festa.
Ci sono tante musiche che non si può mettere nel sito,quindi partecipate alla nostra festa pure!

第110回イタリアPOPSフェスタ(2014年7月)レポート(その4/Ivano Fossati)

第3部

Ivano Fossati(イヴァーノ・フォッサーティ/63歳/Genova出身)は、1970年にバンドDelirium(デリリウム)のヴォーカル兼キーボード&フルート奏者として、プログレッシヴ・ロック・スタイルのアルバムを制作し、POPS曲を掲げてサンレモ音楽祭にも出場した後、兵役のため音楽活動を休止。兵役から戻るとDeliriumに復帰せず、ソロ・カンタウトーレとなる。

1970年代後半からは、Mia Martini(ミア・マルティーニ)、Anna Oxa(アンナ・オクサ)、Mina(ミーナ)、Loredana Berte`(ロレダーナ・ベルテ)、Patty Pravo(パッティ・プラヴォ)、Ornella Vanoni(オルネッラ・ヴァノーニ)、Fiorella Mannoia(フィオレッラ・マンノイア)らに楽曲を提供したり、プロデューサーを務めたりしている。

提供して貰った歌手たちにとっても、自身の代表曲となるようなビッグヒットとなった楽曲やアルバムを手掛けたのがFossatiであり、仕事面だけでなくプライヴェート面でもFossatiの影響を深く受けた女性歌手も多い。間違いなくイタリアの重要なカンタウトーレのひとり。

しかしFossatiは2011年にソロとしてのCD制作&ツアーからの引退を宣言した。他の歌手のソングライターとしては今後も活動はしていくとのことで、事実、何人かの歌手にその後も楽曲を提供している。

事実上ラストアルバムとなった『Decadancing』(2011)を掲げた最後のツアーの中で、まさにツアー最終日となった2012年3月19日のミラノ・ピッコロ劇場でのパフォーマンスを中心に2枚のDVDに収録しているのが、『Decadancing tour』(2013)だ。

Ivano Fossati - Decadancing tour

コンサートのオープニング曲は「Viaggiatori d'occidente(意:西洋の旅人)」

「Stella benigna(意:慈愛に満ちた星)」では、ピアノを弾きながら歌い、最後はDelirium時代を彷彿とさせるフルートを披露するFossati。ミュージシャンたちもマンドリンやチェロ、テルミン等でアヴァンギャルドな演奏を魅せるのも見どころ。

「Mio fratello che guardi il mondo(意:世界を見る僕の兄)」は反戦歌として知られるFossatiの代表曲のひとつ。

「I treni a vapore(意:蒸気機関車)」はFiorella Moannoiaに書いて、彼女の中期の代表曲のひとつとなった楽曲。この楽曲をトリに持ってきている事から、同曲がFossatiにとっても重要な曲であることが感じ取れる。

同時期のTV番組では、そのFiorella Moannoiaと共演している。DVD収録作品ではないが、参考までここに紹介しておく。

※当サイトでのFiorella Moannoiaの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Fiorella_Moannoia

2枚目のDVDにはアンコールに応えて3曲を披露する映像が収められている。ここでは前出と同じ、同時期のTVライヴの映像で。

「Una notte in Italia(意:イタリアのある夜)」

「La costruzione di un amore(意:ある愛の構造)」

DVDに収録の映像は、文字通りラスト・コンサートであるため、観客全員のスタンディングオヴェーションとなり、Fossatiの最後のステージを惜しみつつ、これまでの偉大な活動にリスペクトを込め、長い間拍手は鳴り止まない。Fossatiにも観客の想いが伝わり、涙を浮かべてそれに応えているシーンが感無量だ。

ラストソングは湿っぽいので締めたくなかったようで、軽快な楽曲「Buontempo(意:よい天気)」を演奏し、大量の紙吹雪が舞う中でFossatiのステージ人生は幕を閉じる。代替えの映像もネット上には見当たらないので、ぜひDVDを入手して堪能して貰いたい。

※当サイトでのIvano Fossatiの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Ivano_Fossati


注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2014年に達する年齢で表記。

次回のイベントは、7月26日(土)に東京・青山の日伊協会に於いて『第2回「イタリアン・ポップス・セミナー 』として開催。詳細情報→http://piccola-radio-italia.com/archives/52139021.html

8月の月例FESTAは、8月9日(土)に開催予定。

第80回イタリアPOPSフェスタ(2012年1月)レポート (その2 / Ivano Fossati, Simona Molinari, Nella Colombo Jula De Palma)

その1はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/archives/51989781.html


第2部

第1部でLaura Pausini(ラウラ・パウズィーニ)の新作アルバム「Inedito」に楽曲を書き下ろし、共演した偉大なカンタウトーレIvano Fossati(イヴァーノ・フォッサーティ/61歳/Genova出身)も2011年10月4日に新作アルバム「Decadancing」を発表していますので、ここで紹介する事にしました。イタリアのアルバムチャートでは初登場時に首位を収めています。

Decadancing

アルバム発売に先行して2011年9月2日にリリースされたシングル曲は"La decadenza(退廃)"。人気TV番組『Che tempo che fa』出演時のTVライブ映像でご覧いただきました。

プロのドラマーとして活躍する息子のClaudio Fossatiがドラムを、Elisaのバックも務めるMax Gelsiがベースを担当しています。

同番組では、アルバムの2曲目に収録されている"Quello che manca al mondo(世界に足りないもの)"も演奏しています。

この世界に足りないもの、Fossati曰く、ほんの少しの静けさと、見聞きしない許しの気持ちだと説いています。

※当サイトでのIvano Fossatiの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Ivano_Fossati


2011年1月に奇跡の来日公演を果たしたSimona Molinari(スィモーナ・モリナリ/日本語表記:シモーナ・モリナーリ/29歳/Napoli生まれL'Aquila育ち)が、2011年10月18日に3rdアルバム「Tua(あなたのもの)」を発表しています。

SimonaMolinariTuaCover

※Simona Molinariの来日公演レポートはコチラ
http://www.bluenote.co.jp/jp/movie/2011/01/_simona_molinari_quartet_suoni.html
http://piccola-radio-italia.com/archives/51900599.html
http://piccola-radio-italia.com/archives/51901516.html

※当サイトでのSimona Molinariの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Simona_Molinari170x170-75

アルバム発売と同時にリリースされたシングル曲"In cerca di te(あなたを探して)"は、イタリア系アメリカ人で、Jazzピアニスト&シンガーソングライターのPeter Cincotti(ピーター・シンコッティ/29歳/New York生まれ)とのデュエット。

この楽曲は1945年にNella Colombo(ネッラ・コロンボ/1927-1999/72歳没/Milano近郊出身)が歌ったのが原曲で、サブタイトルに歌い出しの歌詞"Sola Me Ne Vò Per La Città"が添えられていました。

後にJula De Palma(ユーラ・デ・パルマ)を始め、Gigliola Cinquetti(ジリオラ・チンクエッティ)、Gianni Morandi(ジァンニ・モランディ)、Johnny Dorelli(ジョニー・ドレッリ)、Gabriella Ferri(ガブリエッラ・フェッリ)、Franco Simone(フランコ・スィモーネ)らがこぞってカヴァーしてきたイタリアではすっかりスタンダードナンバーと化している楽曲です。

Simona Molinariがアルバムタイトル曲に採用した"Tua"も、Jula De Palma(ユーラ・デ・パルマ/現80歳/Milano出身)が1959年のサンレモ音楽祭で歌った楽曲です。

1samremo



Jula De Palmaは、Maestro di Hit Paradeという異名を取ったイタリアPOPS界の巨匠、故Lelio Luttazzi(レリオ・ルッタッツィ)が発掘したことで知られるイタリア歌謡の草分け的な存在の女性歌手の一人。1959年のサンレモ音楽祭出場時は27歳でした。

※当サイトでのLelio Luttazziの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Lelio_Luttazzi

さて、Simonaが本アルバム発売に先駆けて2011年6月10日に発表したシングル曲が"Forse(多分)"。この楽曲はSimonaの自作の曲で、香港のJazzピアニストDanny Diazをフィーチュアリングし、Satchmo(サッチモ)の愛称で親しまれたアメリカ人JAZZプレイヤーLouis Armstrong(ルイ・アームストロング/1901-1971/69歳没/New Orleanz出身)を意識したアレンジが施されています。イタリアでは、2011年のWind Music Awardsのステージで初披露されました。

Simona Molinariの積極的なアジアツアーの成果がこの楽曲とそのvideoclipに集約されているように感じます。


注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2012年に達する年齢で表記しています。

Continua alla prossima puntata.(続く)

第47回イタリアPOPSフェスタ(2009年2月)レポート (その2 / Ivano Fossati, Fiorella Mannoia, Tiziano Ferro, Franco Battiato)

その1はコチラ


 

Ivano Fossati(イヴァーノ・フォッサーティ/58歳/Genova出身)。

ピアノとフルートを学んだIvanoは、1970年代初頭、RockバンドDelirium(デリリウム)のフロントマンとして大ヒットを飛ばしますが、その直後に兵役に着いたため、事実上Deliriumを脱退した事になります。

兵役終了後はカンタウトーレとして、自らが曲を書き&歌う活動を始めつつ、数々の歌手に曲を書き下ろす名コンポーザー&プロデューサーとしての敏腕ぶりを発揮。

特にMia Martini(ミア・マルティーニ)とのコラボは、Mia Martiniをイタリア女性歌手の頂点へと導くことに成功し、Ivanoの手腕が大きな評価を受けることとなります。皮肉なことにその後のMia Martiniが、Ivanoの影響からなかなか脱却できないジレンマに苦しませてしまう事にもなってしまうほど。

Mina(ミーナ)、Patty Pravo(パッティ・プラヴォ)、Loredana Berté(ロレダーナ・ベルテ)、Fiorella Mannoia(フィオレッラ・マンノイア)、Anna Oxa(アンナ・オクサ)など、多くの女性歌手たちに積極的に曲を書き、イタリアでは短命で終わりがちな女性歌手たちを、長期に渡って輝かせ、大歌手に押し上げることにも成功した立役者。

こうして女性歌手のブレインとしてのイメージが強かったIvanoですが、1990年代からは同郷の先輩カンタウトーレFabrizio De André(ファブリツィオ・デ・アンドレ)と共作するようになり、特にFabrizioの遺作となったアルバム「Anime salve」(1996)では、Ivanoのクレジットが光る楽曲がいくつか収められていたことから、晩年のFabrizio De Andréの作品の重要な要素として貢献したことも、彼の足跡の中で非常に大きなステップになっているのは間違いありません。

こうして偉大なアーティストたちと対等以上の活動を続けてきたIvanoですが、実は彼らの一回りほど年下であるため、まだ58歳、というのが意外にビックリ。既に燻銀の鈍い光を放つ重鎮として誰もに一目置かれる存在ですから。

Ivano Fossati/Musica ModernaそんなIvano Fossatiの2年振りとなるオリジナルソロアルバムが、2008年10月10日に発売になっています。いつもながら渋すぎる・・・一聴だけでは『地味な作風』としか感じてもらえそうもないアルバムなので、FESTAでは、なかなか紹介できずにおりました。

今回もまた息子のClaudio Fossati(クラウディオ・フォッサーティ)をドラムに起用しています。前出のFabrizio De André(ファブリツィオ・デ・アンドレ)の娘Luvi De André(ルヴィ・デ・アンドレ)のデビューアルバム「Io non sono innocente」(2006)において、Claudio Fossatiはプロデューサー、コンポーザー、ドラマーとしての多彩な顔を見せていましたね。(2006年12月FESTAレポートを参照ください)

まずは、このアルバムの看板曲といっても良い、ノリの良いフォークロック曲"Il rimedio(治療)"を聴いていただきました。これは何回か聞いてみると実に耳残りの良い曲で、このリズムとメロディの心地よさを体感しながら口ずさめる楽曲です。

2曲目は、渋い心象風景を歌った渋い作風の楽曲"D'amore non parliamo più(愛については僕らは語らない)"。

続きを読む(leggere la continuazione)

第31回イタリアPOPSフェスタ(2007年10月)レポート (その1 / Rino Gaetano, Riccardo Cocciante, Mia Martini, Loredana Berte`, Ivano Fossati)

2007年10月FESTA第31回Festaは東京・亀戸の某所にて10/13(土)に開催しました。
参加者数20名+Yoshio@主宰の21名が集まり、少し肌寒い風と早い日暮れに秋を味わいながら楽しみました。
21名の内訳は、男性10名 女性11名、うち、新顔さん2名、イタリア人1名のメンバー構成となりました。

8月をまるまる休んでしまうというイタリアのレコード業界の影響で、8月当月はもとより、9月に入ってもあまり新作アルバムの発売がない状況が続きました。現役アーティストの新作中心に紹介してきた当FESTAも、10月はちょっと立ち止まって、過去に目を向けるラインナップ中心で紹介しました。


 

第1部

既に故人ながら、現代アーティストにも大きな影響を与え続けているカラブリア州出身アーティスト2名を第1部に据えました。

死後20年を経過した21世紀になってから、再び評価が高まるようになったRino Gaetano(1950-1981/30歳没/Calabria州Crotone出身)。2007年になって「Figlio unico(ひとり息子→ユニークな若者)」(2007)というタイトルで初めてのDVDがリリースされました(DVD+CD)ので、映像でRinoの在りし日の姿を拝みました。

"Berta filava"(ベルタが糸を紡いでいた/1976)は、パンチの効いたRinoのシャウト唱法が決まったかっこいい曲で、シングル"Mio fratello è figlio unico"のB面に収められた曲。

 

 

ベルタが紡いでいた絹の糸は、火刑に赴く聖者の装束になっていた
刑の執行中、ベルタは泣き叫んでいた
ベルタはMarioやGinoと一緒に糸を紡いでいたけれど、
生まれた子供は、MarioのでもGinoのでもなかった

こんな内容の歌詞をノリのよいリズムに乗せて力強く歌いきります。

このBertaという名の女性は、8世紀頃のフランク王国の君主・小ピピン(『ピピンの寄進』で有名)の妻であり、ヨーロッパの父とも言われるシャルルマーニュことカール大帝(フランク王国)を生んだ母のこと。彼女は貞淑の誉れ高さで有名で、いわば『貞淑な妻』の代名詞になっているそうです。

1976年にリリースされたRinoの2ndアルバムのタイトルは「Mio fratello è figlio unico」(僕の弟はユニークな若者/1976)。そして2007年、Rinoのこの曲からインスピレーションを得た同名タイトルの映画「Mio fratello è figlio unico」が製作されました。

Mio Fratello e` Figlio Unico1960年代のRoma南部の都市Latina。共産主義に没頭する自信家の兄に対して、不器用な生き方しかできない弟は、出家する道を選び神学校に進みます。しかし壁にぶち当たり、次第に兄と同じ共産主義者へと変遷していくと同時に、兄と同じ女性に想いを寄せる葛藤を描いた作品。政治イデオロギーやキリスト教の世界観など、外国人には理解しづらいテーマながら、イタリアでは老若男女の観客動員に成功した人気作品になっている模様。

Rinoの歌は、臆病者の弟を題材にした内容になっていますし、先の例に漏れず、フランク王国時代の小ピピンと兄カールマンも、家督争いなどの理由から、異母弟のグリフォを修道院に軟禁していますので、時代と事情が違えど、これら3つの事象には、相通ずる世界観を保っています。

こうしたイタリアを取り巻く歴史上の事柄や、政治、生活などを辛気臭くなることなくエネルギッシュに歌い上げたRinoが、死後四半世紀を経過した現代イタリア社会になお、影響を与え続けている理由が垣間見えるような事象です。

Festaの2曲目は、Rinoが1978年のサンレモ音楽祭に出場して大ヒットとなった"Gianna"(1978)。ウクレレを抱えて、能天気なリズムに併せて、トレードマークのシルクハットを被ったRinoが歌い始めます。イタリアでカラーTVが普及し始めた頃だけあって、今もなお色鮮やかな映像の中に、在りし日のRinoが蘇ります。

筆者は当時この曲で初めてRinoを知りましたが、僅か3年後に交通事故により他界してしまったのには、まったく実感が沸きませんでした。また、ほぼ20代で活動を終えたRinoの作品が、後世に最評価される事など、予想などできませんでした。


 

2人目のカラブレーゼはMia Martini(1947-1995/47歳没/Calabria州Bagnara Calabra出身)。1980年代のライブ映像を3月FESTAでも紹介しましたが、Miaの芸能活動をリアルタイムに収録したDVD+CD「Liberamente Mia(ミア、自由に)」(2007)が突如リリースされましたので、再びMia Martiniという『イタリアの至宝』を味わう事にしました。Liberamente Mia

特筆すべき内容は、1960年代にMimi Bertèの芸名で活躍していた頃の映像が収録されている事。早速これをFestaでも紹介。"Ed ora che abbiamo litigato(私たちが口げんかした時)"(1964/17歳当時)。う〜ん・・・噂どおり、イエイエスタイルです・・・RomaのPiper Club出身らしいゴーゴーガールぶり!多くの人が脳裏に持つ、1970年代後半以降の大御所になってからの彼女のイメージに反して、その弾ける若さ、金髪、能天気な曲調、歌って踊るそのスタイル・・・全てが別人のように感じられます。

元はTV番組だったのでしょう、合間にMartini自身がMia Martiniという芸名への改名について語っています。

 

イタリアを象徴する芸名にするため、3つの候補があったわ。
ミア・スパゲッティ、ミア・ピッツァ・・・・そしてミア・マルティーニ

そしてMia Martiniと名乗ってからの映像も、1年毎にびっしりと収録されているのですが、1年違うだけで全く別人のように変化するMartiniの七変化ぶりにオドロキです。ヘアースタイル、髪の色、化粧、衣装などが毎年変わり、それぞれがまた別人に見えるところがスゴイ。

10月FESTAでは10年毎に1曲づつピックアップすることにし、25歳当時のMartiniが歌う"Donna sola(独りの女)"(1972)を紹介。フラワームーブメントの名残を残したスタジオライブで、立ち見の観客に囲まれたMartiniが静かに歌い出します。金髪の髪をショートカットにした、スタイリッシュなルックス。そしてその楽曲は、まるで聖歌のように美しく穏やかなメロディを持っています。そこに力強くソウルフルなMartiniのボーカル。25歳には思えぬ存在感とパワーを映像越しにも充分と感じ取る事ができます。

そして38歳当時の"Lucy"(1985)。静かでシリアスな楽曲が多いMartiniにしては珍しくダンサブルな曲。といっても、彼女の出身地であるCalabria州の民族舞踊をベースにしたもの。ミドルテンポのバラードで歌いだしたと思ったら、サビ部分が民族音楽になるというアレンジ。タンバリンを打ち鳴らし踊るMartiniの姿が拝めます。ロングのカーリーヘアを揺らしながらエネルギッシュに歌うその姿は往年のMarcellaや妹Loredanaにイメージがダブります。

IvanoFossati_HoSognatoUnaStradaそしてこの曲を最後にMartiniは一度、芸能界から引退する事になります。1977年からコラボレーションを始めた偉大なカンタウトーレIvano Fossati(56/Genova出身)への精神的な依存や、彼と作り上げた成功を超えられないジレンマに陥っていたことに加え、彼女の才能と成功への嫉妬から生まれた芸能界での陰湿なMia Martiniバッシングは、既にこの時点でヒートアップしていたことに大きな要因があったようです。

4年間の沈黙後、再びMartiniにカムバックの声がかかります。Ivano Fossatiと作り上げた成功を払拭し、最初からやり直す意味を込めて、1970年代初頭の"Piccolo Uomo"(1972)の作者Bruno LauziとMaurizio Fabrizioのペンになる曲"Almeno tu nell'universo(世界の中であなただけ)"(1989)をサンレモ音楽祭の舞台で発表。後に『Mia Martini賞』と名付けられる『批評家賞』を受賞したこの美しい曲は、その歌いこなしの難しさとともに、偉大な名曲として今日まで、何人かの歌手にカバーされて伝えられて来ています。

Fossatiの幻影から逃れるかのごとく、1990年代前半のMia Martiniは実に多くのカンタウトーレとコラボレーションを実行します。Claudio Baglioniの作品に参加したり、Fabrizio De André、Amedeo Minghi、Enrico Ruggeri、PoohのDodi Battaglia、Enzo Gragnanielloなどから曲の提供を受けたり。

1992年に発表したMartiniの最後の大傑作"Gli uomini non cambiano(男たちは変わらない)"(1992/45歳当時)を10月FESTAではチョイス。サンレモ音楽祭で2位の結果となりましたが、名匠Giancarlo Bigazziが綴った不気味な歌詞と、カムバック後のMartiniが放つ、張り詰めた人間特有の『凄み』が混ざり合った歌唱は、多くのイタリア人の心に衝撃を与えました。


私だって父親に恋する女の子だった
そのためにいつも選択を間違える無鉄砲な娘だった
父の幻影を克服しようとしたけれど 成功した試しは無かった

父の幻影を変えようなんて徒労だった
それには新たな人生が必要になる

家族の中にちょっとした対立が生まれた時期から
私の女としての忍耐は始まった 
嘘つきの初めての男と駆け落ちする映画に 
我を忘れて見入っていた

男たちは変わらない
最初は愛を囁くのに 後では女を捨て去る

男たちは女を変える
女は「なぜ?」と毎晩泣き続ける

それなのに 男たちは女を殺す
悪友たちに 女との事を笑い話にする

私だって最初は泣いた 部屋の隅で 動揺して
私がじっとして動かなかったから
男はそういうことをしたし 理解しようともしてくれなかった

でも私は次第に判ってきた 少し冷血になりながらも
男ってものは 集団の中では邪悪だけど
独りの時は女より臆病だってことが

男たちは変わらない
女を買うのに金を使い 売り飛ばす

夜になっても 男たちは家には帰ってこない
女が望まない事を男はする

男たちは女から生まれて来るのに
なぜこんなに女たちとは違うのだろう

恋人よ 変わる事のできる男たち
それは理想であって 現実には存在しない
それは女と同じぐらい恋をしている男たちだけ

いつの世にもある男と女のすれ違いの歌とも取れますが、当時のMartiniが体感していた芸能界からのバッシングに奇妙に重なる内容が、この曲に凄みを持たせ、3年後に自殺する彼女のダイイングメッセージとも解釈できることと重なって、この名曲の異様な存在感を醸し出しているのではないでしょうか。

 


 

Continua alla prossima puntata.(続く)

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対訳を監修いたしました!

PFM/『アンドレの詩(PFM canta De Andre')』
【2014年5月14日発売】PFM/『アンドレの詩(PFM canta De Andre')』(CD)
対訳を監修いたしました!

PFM/『イン・クラシック〜モーツアルトからの祭典(PFM in classic | Da Mozart a Celebration)』
【2014年2月19日発売】PFM/『イン・クラシック〜モーツアルトからの祭典(PFM in classic | Da Mozart a Celebration)』(2CD)
対訳を監修いたしました!

イタリア音楽専門情報誌『ムジカヴィータ・イタリア(MusicaVita Italia)』第5号イタリア音楽専門情報誌『ムジカヴィータ・イタリア(Musicavita Italia)』第5号

Bell'Italia4/26開催『百花繚乱!イタリア音楽 Part 2』@ベリタリア
講師を務めました。

シーライトパブリッシング
月例コラム『イタリアPOPSのススメ』

Bell'Italia2/22開催『百花繚乱!イタリア音楽』@ベリタリア
講師を務めました。

イタリア音楽専門情報誌『ムジカヴィータ・イタリア(MusicaVita Italia)』第4号イタリア音楽専門情報誌『ムジカヴィータ・イタリア(Musicavita Italia)』第4号

Bell'Italia『イタリアンポップス&フードを楽しむ夕べ』@ベリタリア
講師を務めました。

ミュージックラウンドアバウトFM戸塚『ミュージックラウンドアバウト』
雑誌『MusicaVita Italia』特集2013/10/31放送

イタリア音楽専門情報誌『ムジカヴィータ・イタリア(MusicaVita Italia)』第3号イタリア音楽専門情報誌『ムジカヴィータ・イタリア(Musicavita Italia)』第3号

文化セミナー『イタリアンポップスのすべて』@公益財団法人 日伊協会
文化セミナー『イタリアンポップスのすべて』@公益財団法人 日伊協会
講師を務めました。

公益財団法人 日伊協会会報クロナカ138号
公益財団法人 日伊協会会報クロナカ138号
巻頭特集『豊穣なるイタリアン・ポップスの世界』執筆

イタリア音楽専門情報誌『ムジカヴィータ・イタリア(MusicaVita Italia)』第2号イタリア音楽専門情報誌『ムジカヴィータ・イタリア(Musicavita Italia)』第2号

CD『永遠のイタリア音楽全集』(2013)
【2013年6月26日発売】CD『ジリオラ・チンクェッティ/パーフェクト・ベスト』
歌詞対訳を監修いたしました!

CD『永遠のイタリア音楽全集』(2013)
【2013年6月26日発売】CD『永遠のイタリア音楽全集』
歌詞対訳を監修いたしました!

CD『サンレモ音楽祭ベスト!〜素晴らしきカンツォーネの世界』(2013)
【2013年6月26日発売】CD『サンレモ音楽祭ベスト!〜素晴らしきカンツォーネの世界』
歌詞対訳を監修いたしました!

「小さな村の物語イタリア 音楽集」(市販版/別選曲)
【2013年5月22日発売】「小さな村の物語イタリア 音楽集」(市販版/別選曲)
歌詞対訳を監修いたしました!

イタリア音楽専門情報誌『ムジカヴィータ・イタリア(MusicaVita Italia)』イタリア音楽専門情報誌『ムジカヴィータ・イタリア(Musicavita Italia)』
編集長に就任!

ジリオラ・チンクェッティ紙ジャケBOX第2弾
【2013年2月末発売予定】ジリオラ・チンクェッティ紙ジャケBOX第2弾
歌詞対訳を監修いたしました!

2012/6/29開催 - Attico 初夏の『イタリアン・パーティー』
2012/6/29開催 - Attico 初夏の『イタリアン・パーティー』でDJ&VJを務めました!

2012/6/24開催『イタリア音楽&イタリアンブランチ』(於:アッティコ)
2012/6/24開催『イタリア音楽&イタリアンブランチ』(於:アッティコ)でナヴィゲーターを務めました!

ジリオラ・チンクェッティ / シングル・コレクション
【2012年7月5日発売】ジリオラ・チンクェッティ / シングル・コレクション
歌詞対訳を監修いたしました!

2012/5/27開催『イタリア音楽&イタリアンブランチ』(於:アッティコ)
2012/5/27開催『イタリア音楽&イタリアンブランチ』(於:アッティコ)で講師を務めました!

『イタリアブックフェア2012』@イタリア文化会館
『イタリアブックフェア2012』@イタリア文化会館でイベント『イタリアPOPSスペシャル』を担当しました!

★秋のイタリア収穫祭★東京ガス
★秋のイタリア収穫祭★東京ガスで音楽コーナーを務めました!

逢いびき〜魅惑のイタリアン・ポップス BS日テレ「小さな村の物語 イタリア」音楽編(通販限定)
【2011年10月1日発売】逢いびき〜魅惑のイタリアン・ポップス BS日テレ「小さな村の物語 イタリア」音楽編(通販限定)
歌詞対訳を監修いたしました!

シーライト パブリッシング
『イタリアPOPSのススメ』連載コラム@シーライト パブリッシング

『イタリアブックフェア2011』@イタリア文化会館
『イタリアブックフェア2011』@イタリア文化会館でイベント『イタリアPOPSスペシャル』を担当しました!

NHK-BShi『Amazing Voice 驚異の歌声』Mina特集
NHK-BShi『Amazing Voice 驚異の歌声』Mina特集で資料映像協力しました

ジリオラ・チンクェッティ紙ジャケBOX
【通販限定】ジリオラ・チンクェッティ紙ジャケBOX
歌詞対訳を監修いたしました!

世界の音楽情報誌Latina
Claudio Baglioniインタビュー
取材協力いたしました!


【通販限定】VIVA SANREMO! Canzone Collection ビバ サンレモ!〜カンツォーネ・コレクション(CD4枚組/日本盤)
歌詞対訳を監修いたしました!

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「イタリアン・ポップ・ミュージック 50年の変遷」@PolyCultureClubTokyo

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シカゴピザ公式サイトでのイタリア音楽コラム執筆(分社化により現在は該当サイト消滅)

Tra te e mare(海のように)/Laura pausini
Tra te e mare(海のように)/Laura pausini(ラウラ・パウジーニ)
ライナーノーツを担当いたしました!

Storie di tutti i giorni(過ぎ行く日々の物語)/Riccardo Fogli(リッカルド・フォッリ)
Storie di tutti i giorni(過ぎ行く日々の物語)/Riccardo Fogli(リッカルド・フォッリ)
シングル盤リリース時に歌詞注釈を担当いたしました!

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Opera prima(オペラ・プリマ)/Pooh(プー)
日本盤初リリース時にコラム記事を執筆いたしました!

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