いつもはジャズピアニストとして活動しているPaolo Jannacci(パオロ・ヤンナッチ/48歳/Milano出身)がカンタウトーレとして歌ものアルバム『Cantero`(意:僕は歌うだろう)』(2020)をリリース。
Paolo Jannacci - Cantero(2020)

彼の父Enzo Jannacci(エンツォ・ヤンナッチ/1935-2013)はイタリア初のロックンローラーのひとりで、やがてカンタウトーレとしての活動の流れの中で、キャバレーなどの舞台でトークを繰り広げながら歌う、cabarettista(カバレッティスタ)のスタイルで大成した、戦後イタリアの重要人物のひとりだった。特筆するのは19歳で音楽院を卒業してプロミュージシャンとなるものの、並行して医学部に進学&卒業して、医師としても働いていたキャリアを持っていたことだ。
Enzo-Jannacci

※当サイトでのEnzo Jannacciの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Enzo_Jannacci

息子Paoloは歌手として初のサンレモ音楽祭2020出場し、実娘に贈る「Voglio parlarti adesso(意:僕は今君に話したい)」を披露した。

第3夜のカヴァー大会では、実父のサンレモ出場曲「Se me lo dicevi prima(意:もし君が先に僕にそれを言っていたのなら)」(1989)をカヴァーして、大衆の期待に応えた。なぜならば48歳となったPaoloが、亡き父と瓜二つといえるほど顔つきがそっくりになってきていたからだ。ゲストに俳優&歌手Francesco Mandelli(フランチェスコ・マンデッリ/『イタリア的恋愛マニュアル』などに出演)を迎えて、トーク相手に。またトランペット&フリューゲルホルン奏者のDaniele Moretto(ダニエレ・モレット)もフィーチャリングしたパーフォーマンスを魅せた。
https://www.raiplay.it/video/2020/02/sanremo-2020-terza-serata-cover-paolo-jannacci-francesco-mandelli-daniele-moretto-se-me-lo-dicevi-prima-c9fc4ff6-98cf-4487-b466-429f98e63e09.html

アルバムタイトル曲「Cantero`」では、本来はカメラマンのSimone Galibiati(シモーネ・ガリビァーティ)がトーク相手(というよりコント相手)となり、裸足でPaoloが道を歩いてくるシーンから始まるが、ピアノの鍵盤に触れた途端、エレガントなライヴに変わり、サンレモのステージでも共演したフリューゲルホルン奏者Daniele Morettoとの掛け合いで優雅で美しい楽曲が展開していく妙が見ものだ。
歌詞の“Cantero` magari una canzone, di quelle che, che cantava anche mio padre, in lingua madre, la lingua delle strade quel bianco e nero che non si vede piu`(なんなら1曲歌うよ、僕の父も歌っていた曲の中から、母国語で、もう見えなくなってしまったモノクロの道端の言葉で)”というところが身に染みる。

「Mi piace(意:僕は好き)」は俳優&歌手のClaudio Bisio(クラウディオ・ビショ)との共演。ミュージックヴィデオにClaudio Bisioは出演していないが、相変わらずカメラマンのSimoneとコントを繰り広げているのが微笑ましい。
https://youtu.be/U2TQtJxzsek

このアルバムにはカヴァー曲が3曲収録されており、うち2曲は期待通り実父Enzoのカヴァーだが、残るひとつはLuigi Tenco(ルイジ・テンコ/1938-1967)の「Com'e` difficile(意:なんて難しいのだ)」。Luigi Tencoは父と同時代を生きていたカンタウトーレだが、28歳の時、失意の中で自殺を図り、死後に大きな評価を受けることになる不世出の人物だ。Paoloは以前からこの楽曲を好んでカヴァーしていたようで、映像に残るのは若き日のPaolo(映像の中で“僕は歌手ではないけれど”とコメントしている)の弾き語りと実父Enzoの姿。

そして「Pizza(ピッツァ)」という曲では、ロマンティックな作風から一転して、またしてもカメラマンSimoneと一緒に弾けたパフォーマンスをする陽気な楽曲。
https://youtu.be/ta5FVnM8eIE

※当サイトでのPaolo Jannacciの紹介記事
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第180回イタリアPOPSフェスタ(2020年11月)紹介曲PlayList


注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2020年に達する年齢で表記。