Pino Daniele(ピーノ・ダニエレ/1955-2015/満59歳没/Napoli出身)は、人気と実力を兼ね備えた音楽家として、現代ナポレターナの作者としても認められた存在だった。イタリア国内はもちろん、ヨーロッパ、中南米、北米でも知名度を得た世界的に活躍するイタリア人ミュージシャンのひとりで、特に国内外の一流ミュージシャンたちに一目を置かれるミュージシャンズ・ミュージシャンでもあった。残念ながら日本では無名のまま亡くなってしまったことになる。

今回のFestaでは公式2枚目となるライヴ盤『E sona Mo'』(1993)から紹介。Pinoの死後3年経過した2018年に音源をリマスターし、ライヴ映像DVDを付属した2枚組としてリリースされた。1993年5月22・23日にSalernoで行われたライヴを収録。当時Pino38歳。
Pino Daniele - E sona Mo'(1993_2018)

ステージ上にはPino自身と他2人のミュージシャン、Anotonio Annona(アントニオ・アンノーナ/Key&プログラミング)、Carol Steel(キャロル・スティール/Per)の3人のみ。前年にEric Claptonが行ったアンプラグド・ライヴが世界的なアコースティック・サウンド・ブームを巻き起こした時期なので、このステージはプラグドはしているものの、全体的にアコースティック・サウンドに仕上がっている。たった3人で絶妙なアンサンブルを聴かせるこのテイクはまさに名演として語り継がれるものとなった。

Festaで紹介したのは冒頭から「A me me piace 'o blues(僕は、僕はブルーズが好き)」(1980)」、「Je sto vicono a te(意:僕は君のそばにいるよ)」(1979)、「Napule e`(意:ナポリは)」(1977)。「Napule e`」はPinoがまだ18歳の時に書いた楽曲ながら、現代ナポレターナでもっとも愛されて歌い継がれる楽曲となった。

その証拠にPinoが急逝した2015年。彼の葬儀に集まった群衆はナポリだけで10万人にのぼり、集まった群衆が自然に彼の楽曲を口ずさみ始めやがて大合唱となった。後にフラッシュモブ化された映像がこれ。https://youtu.be/AQWpKeVOxj0

そしてチック・コリアとコラボした際にチックの楽曲にPinoがイタリア語詞をつけた「Sicily」(1993)

Live映像の28分あたりからの「Quando(意:いつ)」 (1991)は、大親友だった俳優Massimo Troisi(マッシモ・トロイージ/1953-1994/満41歳没/Napoli出身)の映画の主題曲でもあり、Pinoの代表曲のひとつとなるヒット曲だ。Ttoisiとの制作風景の映像が残されている。 https://youtu.be/rVs7ENSOSoc

Live映像の47分50秒あたりから代表曲のひとつ「Quanno chiove(意:雨が降る時)」(1980)、「O scarrafone(意:スカラベ/ゴキブリ)」(1991)がライヴのエンディングとなる。

余談ではあるが、Pino Danieleは自作曲を他の言語で歌われることを拒み、依頼が来ても許可を出さないアーティストだった。「僕の曲はナポリ語で歌われてこそ意味があるものだから、外国語に変えてしまったら自分の歌が伝わらない」という考え方だったそうだ。ところがたった1曲だけ日本語詞を許可した曲がある。松本淳子さんのアルバム『あなたに Straordinaria tu』(2000)に収録された「雨が降る時(Quanno chiove)」がそれだ。
松本淳子 - あなたに

その成功の経緯について非常に興味深いエピソードが、ムジカヴィータ・イタリア第9号の元キングレコードのプロデューサー新井健司氏の連載コラムで明かされている。
musicavitaitalia9

第175回イタリアPOPSフェスタ(2020年6月)紹介曲PlayList

※当サイトでのPino_Danieleの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Pino_Daniele


注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2020年に達する年齢で表記。