サンレモ音楽祭2020優勝者Diodato(ディオダート/39歳/Aosta出身)のアルバム『Che vita meravigliosa(意:なんて素晴らしい人生だ)』(2020)から。
Diodato - Che vita meravigliosa(2020)

まずは先行シングル「Non ti amo piu`(意:僕はもう君を愛していない)」
https://youtu.be/qmPZ6Ely7OE

アルバムタイトル曲「Che vita meravigliosa(なんて素晴らしい人生だ)」は、映画『La dea fortuna(意:幸福の女神)』(フェルザン・オズペテク監督)の挿入歌に採用され、公式ヴィデオクリップはなんと日本で撮影されている。サンレモ音楽祭の後になって同曲は、イタリア映画界最高の賞となるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の最優秀オリジナル楽曲賞に輝く。映画タイトルの“幸運の女神”はDiodatoに微笑んだのだ。

そして出場したサンレモ音楽祭2020。下馬評と大衆の人気投票を覆し、優勝したのはDiodatoの「Fai rumore(意:君が物音を立てる)」だ。上位3者の決戦投票で、大衆票では彼はビリだったのだが、プロの審査員やとりわけオーケストラの票を重視した結果、優勝曲に選ばれたのだ。いわば70回記念大会に相応しいと、プロのお眼鏡にかなった楽曲ということになるのだ。なぜ大衆票ではビリだったのか? 多くのイタリア人にとって「彼は誰?」状態だったのだ。サンレモ音楽祭には3度目の出場ではあったのだが、イタリア人らしくない薄い醤油顔のせいか、人々の記憶に残っていなかったのだ。
https://youtu.be/tPv9ZPXmFWU

サンレモ優勝の結果、ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト2020にイタリア代表としての出場権も得たのだが、コロナ禍真っ只中の5月開催予定だったので、敢え無く大会は中止=翌年に延期、となった。しかも来年は来年のサンレモ音楽祭優勝者が出場権を得るのがセオリーのため、Diodatoの「Fai rumore」のユーロヴィジョン出場はついえてしまった。しかしユーロヴィジョンに出場予定だった楽曲の披露はユーロヴィジョンの放送網で行われたため、Diodato陣営がシュートした映像は、無観客のArena di Veronaでの収録だった。逆にこれはこれで異様な雰囲気の相乗効果もあって見応えある映像だ。

この「Fai rumore」とは、同居人が立てる物音をうるさがるのではなく、そこに君がいる、ということを感じさせることなのだから、むしろもっと物音を立てて君を感じさせて欲しい、という内容だ。彼がサンレモ優勝した後に外出禁止令が敷かれたイタリア。同居人がたてる物音に日常的に触れることになり、この「Fai rumore」はまさにコロナ禍のライフスタイルを象徴するような歌にもなった。

サンレモ音楽祭2020で余興として行われた70周年記念カヴァー大会ではサンレモ1961年大会2位となった「24 mila baci(2万4千のキッス)」をNina Zilli(ニナ・ズィッリ)をゲストに迎えて披露した。同曲はAdriano Celentano(アドリァーノ・チェレンターノ)とLittle Tony(リトル・トニー)がオリジナル歌手の楽曲で、当時の日本でも日本語カヴァーがヒットしている。

Diodatoの2ndアルバム『A ritrovar bellezza』(2014)が主に1960年代のイタリア語曲のカヴァーアルバムだったように、彼はイタリアの大先輩カンタウトーレたちに大きな影響を受けている。サンレモ優勝後もTV出演の度にいろいろなカヴァーを披露しているようで、例えば3月中旬のコロナ禍真っ最中だったころは、Franco Battiato(フランコ・バッティアート)の「La cura(意:ケア)」をカヴァーして、イタリア国民にエールを贈っている。

そしてコロナ禍の出口が見え始めた5/5には、Lucio Dalla(ルーチョ・ダッラ)の「Treno a vela(意:帆列車)」をカヴァー。早くもミュージシャンを集め、そこそこ近距離に集まって演奏するスタジオライヴで、6月現在の日本でさえ、必要以上に出演者同士が離れて、間にアクリル板を立てたりしている状況から考えると、「おいおい、まだ5月初旬なのに油断し過ぎだってば!」と言いたくなる(笑)

第175回イタリアPOPSフェスタ(2020年6月)紹介曲PlayList

※当サイトでのDiodatoの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Diodato


注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2020年に達する年齢で表記。