Pooh(プー)のベーシストRed Canzian(レッド・カンツィアン/68歳/Veneto州Treviso出身)のコンサートを収録したDVD『Testimone del tempo tour(意:時の証人ツアー)』(2018)。
Red Canzian - Testimone del tempo tour

サンレモ音楽祭2018出場を機にリリースしたアルバム『Testimone del tempo(意:時の証人)』(2018)を掲げたツアーであるので、同アルバム収録曲はもちろんのこと、そのアルバムタイトルに則して、自身の長い音楽人生を棚卸して紹介していく内容だ。

当然Pooh時代の楽曲が多く占められるが、エルヴィス・プレスリーやビートルズなど自身に影響を与えた楽曲カヴァーコーナーもあり、ショーとして十分に楽しめる構成になっている。ファンにとってはPooh加入前にRedが率いていたバンドCapsicum Red(カプシクム・レッド)時代の楽曲披露はうれしいプレゼントだ。しかもギターに持ち替えてのパフォーマンスだ(Pooh加入前までRedはギタリストだった)。

また娘Chiara Canzian(キァラ・カンツィアン)がコーラス、義息子Phil Merがドラムにピアノを演奏しているのも見どころだ。前者は前妻との間に生まれた実娘で、後者は2番目の妻の連れ子なのでRedとの血縁関係はない。だがこの血の繋がらない兄妹は幼いころから交流し本当の兄妹のような間柄、という点も特筆するところだ。それだけRedと新旧2人の妻たちがオープンマインドを持って交流し続けていたことが容易に想像できる。

最初の妻(=Chiaraの母)Delia Gualtiero(デリア・グアルティエロ)も歌手で、Redがプロデュースしたのが2人の馴れ初め。娘Chiaraもソロ歌手としてデビューもしている。

※当サイトでのChiara Canzianの紹介記事
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Philは以前、Capsicum Tree(カプシクム・ツリー)という3人組ロックバンドでデビュー。RedがPooh以前に率いていたバンド名を汲むバンド名の通り、プロデュースもRedが務めたが、その後Philはスタジオ&ツアー・ミュージシャンとして頭角を現し、ドラマー不在時代のPoohのサポートメンバーも務めていたことでも知られる。Pooh最初の来日コンサートにして最後の来日となった2012年時にはPhilもサポートドラマーとして一緒に来日を果たした。

※当サイトでのCapsicum Treeの紹介記事
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最初の妻Deliaと離婚した時にRedが書いてリードヴォーカルをとったPoohの「Stare senza di te(意:君なしでいるのは)」を、2人の別れの影響を少なからず受けたはずの娘の前で歌うというシーンには、その楽曲の生まれた経緯を知っているファンには感慨深いものとなった。

またRedが加入後最初のPoohのアルバム『Parsifal(パルシファル)』(1973)は、オーケストラとバンドサウンドの融合を試みた傑作にしてPoohの代表作のひとつだが、その1曲目に収録された「L'anno il posto e l'ora(意:年・場所・時)」は、Redのヴォーカルで始まる。これは新メンバーRedのお披露目となる演出が施されていたのだ。以下はPooh時代の映像だが、「僕がPoohのメンバーとして最初に歌った曲だ」と語っている。

同曲のスタジオ録音版をヘッドホンで聴くと、Red→Roby→Dodiとメンバーがリードヴォーカルを歌い継いで行く際、左チャンネルにずっとセカンドヴォーカルの声が聞こえるのだが、実はこのセカンド・ヴォーカルは当時すでにメンバーを引退して作詞家に転身していた初代リーダーValerio Negrini(ヴァレリオ・ネグリーニ)というのが真相らしい。

しかし実はこの楽曲はRed加入のきっかけとなったRiccardo Fogli(リッカルド・フォッリ)在籍時代にプロトタイプが既に作られ演奏していたのだ。歌詞はまだ完成されておらず、サビは英語で♪Yesterday is gone♪の繰り返しだが、ちゃんとFranco Monaldi(フランコ・モナルディ)指揮のオーケストラと生共演している。さらに驚くべきことに後半にはあの意欲作「Parsifal」もすでにこの時に演奏されていた事実がこの映像から判る。

今回の11月Festaは第2部にMarcella Bellaを紹介し、第3&4部にRed Canzianを紹介したが、これは筆者が意図的に組んだもので、彼らは1970年代のひと時、恋人関係にあったからだ。最近のTV番組で2人は鉢合わせした際、当時の関係を追及される場面があった。

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注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2019年に達する年齢で表記。