Patty Pravo(パッティ・プラヴォ/71歳/Venezia出身)は1960年代から第一線で活動し続けるベテラン女性歌手。かつて時代のセックス・シンボルとして君臨したとおり、今もなお妖艶な魅力を湛えている。サンレモ音楽祭2019にも「Un po' come la vita(意:人生のようにほんの少し)」で出場し、順位は21位と振るわなかったものの、41歳年下のAmici出身男声歌手Briga(ブリガ/30歳/Roma出身)は従えてのデュエットで魅了した。第4夜のゲストにはGiovanni Caccamo(ジォヴァンニ・カッカモ/29歳/Sicilia州Modica出身)を迎え、若いイケメン2人を侍らせての女王様っぷりのパフォーマンスとなった。

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そしてライヴDVD『Live La Fenice - Teatro Romano』(2018)は彼女の故郷Veneziaの由緒あるフェニーチェ歌劇場とVeronaのローマ時代の遺跡の野外劇場で行われたコンサートを収録したものだ。
Patty Pravo - Live La Fenice - Teatro Romano

エレガントに着飾ったPattyがオーケストラをバックに美しい楽曲を歌い継ぐ魅力と、ロックバンドを従えて奔放なパフォーマンスで盛り上げるパフォーマンスと両方が楽しめる。そしてそれらをさりげなく演出するのが、どちらとも由緒ある美しい劇場なのだ。

フェニーチェ劇場は18世紀に創建されたものの1996年に焼失。原因は修復作業の対偶の悪さを逆恨みした作業員による放火だった。しかし7年に及ぶ資金集めと作業を経て2003年、その劇場名のように見事に復活(フェニーチェとはフェニックス、不死鳥の意)。再建作業に必須の図面が残っていなかったため、参考資料とされたのが、映画(ルキノ・ヴィスコンティ監督作)『Senso(邦題:夏の嵐)』(1954年)に映し出されていた在りし日の同劇場の映像だったそうだ。
Senso-LaFenice

コンサートは「Concerto per Patty(意:パッティのためのコンサート)」(1969)で幕を開ける。発表当時の年代にしては珍しく、10分を超える大作だ。書いたのは当時人気を博したカンタウトーレGianni Meccia(ジァンニ・メッチァ)だ。

途中フランス語曲のイタリア語カヴァーも。Jacque Brel(ジャック・ブレル)の「Ne me quitte pas(意:行かないで)」(1959)のイタリア語版「Non andare via」で、イタリア語詞はカンタウトーレのGino Paoli(ジーノ・パオリ)だ。そしてLeo Ferre'(レオ・フェレ)の「Avec le temps(意:風と共に)」のイタリア語版「Col tempo」(1972)だ。Leo Ferre'はモナコ公国生まれだがイタリアで育ち、青年期にフランスへ留学し、フランスでデビューしたという経歴の持ち主。シャンソン・リテレール(文学的シャンソン)」の巨匠と呼ばれる存在までになった。Pattyは彼と知り合えたことが何よりも幸せなことだ、と語っている。

彼女のオリジナルヒット曲も「La bambola(意:人形)」 (1968)、「Se perdo te(意:もしあなたを失ったなら)」 (1967)と続き、サンレモ音楽祭1997で3位に輝いた「E dimmi che non vuoi morire(意:死にたくないと言って)」(1997)も。同曲はサンレモ優勝歴を持つバンドStadio(スターディオ)のフロントマンGaetano Currei(ガエターノ・クッレリ)が作曲し、イタリア・ロック界の帝王Vasco Rossi(ヴァスコ・ロッシ)が作詞と、これだけでも注目に値するが、期待に反せず何とも美しい楽曲だ。

「Pensiero stupendo(意:素敵な考え)」(1978)は曰く付きの楽曲。Oscar Prudente(オスカル・プルデンテ)が作詞作曲し、まずはGianni Morandi(ジァンニ・モランディ)が吹き込んだもののお蔵入り。数年後にIvano Fossati(イヴァーノ・フォッサーティ)が歌詞を書き直したら、女性が女性に恋をするという内容となり、次の歌い手候補となったLoredana Berte'(ロレダーナ・ベルテ)でさえも歌うのを拒否。当時の時代背景と、そもそも同性愛を認めないカトリック社会のイタリアでは、禁忌を犯した楽曲だったのだ。ところがPattyはあっさり受け入れて歌い、彼女の代表曲のひとつとなり、LGBTのテーマが語られやすくなって来た現代では再評価されていると言っても過言ではない。

そして彼女の最大のヒットとなった「Pazza idea(意:狂った考え)」(1973)でコンサートは幕を閉じる

※当サイトでのPatty Pravoの紹介記事
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注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2019年に達する年齢で表記。