1978年を最後に大衆の前に姿を現さないままレコーディング活動のみを続けるイタリア最高峰ディーヴァのMina(ミーナ/79歳/Lombardia州Busto Arsizio生まれCremona育ち)が、Lucio Battisti没後20周年にリリースした『Paradiso [Lucio Battisti Songbook](意:天国)』(2018)。今日まで続くBattistiブームが起こるきっかけとなったMinaによるBattistiカヴァーを集めた公式コンピレーション(CD2枚組)だが、新録音ヴァージョンも2曲収録されている。
Mina - Paradiso(Lucio Battisti songbook)

新録音の1曲「Il tempo di morire(意:死んじゃいそうな時)」。1970年に発表されたBattisti作・歌唱曲だが、タイトルに使われた“morire(死ぬ)”は生死の“死”ではなく、エクスタシーの隠喩。他の男を愛している女への横恋慕という設定の詞だ。歌い出しの詞から別名「Motocicletta(意:オートバイ)」と呼ばれている。原曲ではイントロのパワフルなギターリフが特徴的な楽曲で、演奏していたのは後にPFMを結成する面々(ギター:Franco Mussida、ドラム:Franz Di Cioccio、ベース:Giorgio Piazza)

1972年のTV番組Teatro 10で実現したMinaとBattistiの共演は、歴史的名演と語り継がれているのだが、その濃い内容にも関わらず僅か9分程度の長さ。この9分がその後のイタリア音楽を変えたと言われている。

7曲のBattisti作品がメドレーで歌い継がれていくのだが、その中には貴重なテイクも含まれている。例えば冒頭の「Insieme」はMinaの歌唱のみでリリースされ、Battistiのセルフカヴァーは存在しない。

セットリスト
Insieme(意:一緒に) / Battisti
Mi ritorni in mente(意:君が僕の心に帰って来る) / Mina + Battisti
Il tempo di morire / Mina + Battisti
E penso a te(意:そして君を想う) / Mina
Io e te da soli(意:僕と君ふたりだけ) / Battisti
Eppur mi son scordato di te(意:それでも僕は君のことを忘れてしまった) / Mina + Battisti
Emozioni(意:情緒) / Mina + Battisti

また“Cinque amici da Milano(意:ミラノから来た5人の友人たち)”と紹介されるバンドメンバーは後にイタリアRock界で大活躍する人物たちばかり。ドラムがGianni Dall'Aglio(ジャンニ・ダッラリオ)、キーボードがGabriele Lorenzi(ガブリエレ・ロレンツィ)。両者とも伝説のロックバンドIl Volo(イル・ヴォーロ)のメンバーとなる。後者はその直前にFormula 3(フォルムラ・トレ)でも活躍している。向かって右側のギタリストMassimo Luca(マッシモ・ルーカ)はBattistiのお抱えギタリストとしても他の歌手のギタリストとしても活躍し続ける。

※当サイトでのLucio Battistiの紹介記事
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※当サイトでのMinaの紹介記事
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Vincenzo Incenzo(ヴィンチェンツォ・インチェンツォ/54歳/Roma出身)は、1986年にカンタウトーレとしてデビューするも、すぐに女性歌手Tosca(トスカ)への楽曲提供を始め、やがてMichele Zarrillo(ミケーレ・ザッリッロ)そしてRenato Zeroのメイン共作者として知られるようになった人物。

その職人肌の作曲家が再びカンタウトーレとしての活動を再開し、アルバム『Credo(意:僕は信じる)』(2018)をリリース。長年の共作相手Renato Zero(レナート・ゼロ)がプロデュースを担当している。
Vincenzo Incenzo - Credo

「Je suis(意:僕は)」

「Dal paese reale(意:現実世界から)」

「Il primo giorno dell'estate(意:夏の最初の日)」はVincenzo IncenzoがZeroやZarrilloに書いて来たタイプの楽曲。

このアルバムの最大の目玉はMichele Zarrilloがサンレモ音楽祭1994で歌ってZarrilloの代表曲のひとつとなった「Cinque giorni(意:5日間)」(Zarrillo-Inconzoの共作)をこのアルバムのプロデューサーを務めたRenato Zeroがカヴァーしたヴァージョンが収録されている事だ。

遡ること1997年、Zarrilloのライヴ中にZeroが乱入して同曲を一瞬デュエットしたこともある。

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注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2019年に達する年齢で表記。