現在のイタリアで最も実績のあるタレントオーディション番組Amici出身者の中で、最も成功した感のあるAlessandra Amoroso(アレッサンドラ・アモローゾ/33歳/Puglia州Galatina出身)。今や21世紀のディーヴァとして君臨する彼女もいつの間にかデビュー10周年。その記念に制作されたアルバムが『10』(2018)だ。
Alessandra Amoroso - 10

2018年に来日したEmma(エンマ)もそうだが、Amici出身者で成功したアーティストたちは総じて人間的魅力に溢れた愛されキャラばかりだ。半年に渡る放映期間の中で切磋琢磨して生き残っただけに、単に一芸に秀でているだけでは勝ち残れない。この「視聴者に愛されるキャラ」はスターには必要不可欠。なるべくしてスターになっていくのだ。

Alessandra Amorosoは、先に述べたようにその中でひときわ突出した才能とキャラに恵まれた人物だ。いかにAmiciの番組の力が強力でも、一過性の人気で終わった人物も多いが、Amici優勝後もずっと第一線で活躍し続ける先駆者と言えるのが、このAlessandra Amorosoだ。

そんなAlessandraのデビュー10周年記念アルバムのシングル第1弾「La stessa(意:変わらぬ私自身)」は、等身大の自分を歌ったAlessandraらしい楽曲。♪あなたがいてくれたら、私は変わらぬ私のままでいられる♪と歌われている。

「Trova un modo(意:やり方を見つけなさい)」

「Dalla tua parte(意:あなたの方から)」

こうしてTOPスターの一員になったAlessandraだが、実は彼女はサンレモ音楽祭に一度も出場したことがない。同期のValerio Scanu(ヴァレリオ・スカーヌ)や1年後輩のEmmaがサンレモ出場した際に応援のため共演したのみだが、彼女の応援を得た両者ともその年の優勝者に輝くという結果に導いた。言わば勝利の女神的存在だ。しかもValerio Scanuに至っては、会期中一度予選落ちしているにも関わらず、敗者復活戦で蘇ったうえに優勝するという、前代未聞の優勝者にもなったのだ。

そんなAlessandra Amorosoがサンレモ音楽祭2019にスーパーゲストとして出演。司会&芸術監督のClaudio Baglioni(クラウディオ・バリォーニ)とのデュエットで、「Io che non vivo [senza te](邦題:この胸のときめきを)」をカヴァーして披露した。歌い終わると大観衆のスタンディングオヴェーション、感極まって涙ぐむAlessandraが印象的な名演だ。

同曲はサンレモ音楽祭1965大会から生まれた世界的なヒット曲。カンタウトーレのPino Donaggio(ピーノ・ドナッジォ)が自作して歌ったが、同大会に別の曲で出場していた英女性歌手Dusty Springfield(ダスティ・スプリングフィールド)が気に入り、英語カヴァー「You don't have to say you love me(邦題:この胸のときめきを)」を録音。1970年代になってElvis Presley(エルヴィス・プレスリー)がカヴァーして、世界中に大ヒットし、今では世界的EverGreenソングのひとつとなっている。

※当サイトでのClaudio Baglioniの紹介記事
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※当サイトでのAlessandra Amorosoの紹介記事
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Alessandra Amorosoを生み出した番組Amiciが始まった2001年のサンレモ音楽祭で「Luce [tramonti a nord est](意:光[北東への日没])」を歌って優勝、一躍有名になったカンタウトリーチェがElisa(エリーザ/42歳/Trieste出身)だ。それまでのElisaは主に英語で歌う歌手だったが、同曲をきっかけにイタリア語でも歌うようになったのだが、それでも依然として大半は英語曲のままだった。

『L'anima vola(意:魂が飛んでいく)』(2013)が初めての全曲イタリア語アルバムとなったが、次作『On』(2016)で再び英語メインのアルバムとなったElisa。また英語メインの活動に戻るのかとやきもきさせられたが、『Diari aperti(意:公開日記)』(2018)でまたしても全曲イタリア語アルバムとなり、イタリア語歌唱ファンがほっとする作品集となった。。
Elisa - Diari aperti

しかも先行シングルとなった「Quelli che restano(意:残るもの)」は、大御所カンタウトーレFrancesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴーリ)との共演という嬉しい企画となった。FestaではFrancesco De Gregoriも出演する公式ヴィデオクリップで紹介したが、インターネット上では日本から視聴不可の設定になっているため、ここでは、Elisa独りのライヴ映像を貼っておく。

※当サイトでのFrancesco De Gregoriの紹介記事
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シングル第2弾「Se piovesse il tuo nome(意:もしあなたの名が降って来るなら)」これも日本からの閲覧制限がかかったヴィデオクリップだ。ここではライヴ映像で。

シングル第3弾「Anche fragile(意:壊れやすくも)」

Elisaもサンレモ音楽祭2019にスーパーゲストとして出演し、伝説のカンタウトーレLuigi Tenco(ルイジ・テンコ)の「Vedrai vedrai(意:判るだろ、君には判るだろ)」を司会&芸術監督のClaudio Baglioniとのデュエットで披露した。実生活の中で移ろいゆく男女の心のすれ違いをきめ細かな表現で描写した傑作だ。

Luigi Tencoは60年代のイタリア音楽に新しい風を入れる活動をしていたジェノヴァ派カンタウトーレのひとりで、サンレモ音楽祭1967に出場中、古い作風の楽曲しか受け付けないサンレモ音楽祭の体質に失望し、抗議の念を込めて自殺した人物。彼の死を賭した抗議は結果として功を奏し、その作品群は彼の死後ようやく評価されるようになった不世出のカンタウトーレだ。

※当サイトでのLuigi Tencoの紹介記事
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※当サイトでのElisaの紹介記事
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注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2019年に達する年齢で表記。