2016年に活動50周年を迎え、同年12月30日にBolognaで最後のコンサートを行い、その長い活動に終止符を打って解散したPooh(プー)。そのラストコンサートを全部収録した映画が本国イタリアでは公開され、それを収録したCD3枚と映像作品をセットにした『L'ultimo abbraccio(意:最後の抱擁)』(2018)が2018年暮れにようやくリリースされた。
Pooh - L'ultimo abbraccio

1966年デビュー後、インディーズからメジャーに移り、1973年のメンバーチェンジ以降、なんと36年間に渡り不動の4人で活動して来たPooh。2009年にドラマーのStefano D'Orazio(ステーファノ・ドラツィオ)が脱退した後もメンバー補充はせず、2013年まで最小限の3人で活動を続けた。その間、ほぼ毎年のように大規模なツアーと1〜2年枚に新譜アルバムをリリースするという驚異的な活動を続けていたのは、世界でも他に例を見ることがない。驚きと称賛に値するだろう。

2013年1月、初代リーダーで脱退後もPoohの楽曲のメイン作詞家であり続けたValerio Negrini(ヴァレリオ・ネグリーニ)が突然逝去。同年の夏のライヴを最後に、Poohは50周年記念事業に向けて2年間の充電と称して活動停止する。Poohの長い歴史の中で初めて1年以上の休止期間となった。

Poohの楽曲の9割以上の作詞を手掛けていたValerioの代わりに誰が歌詞を書くのか?きっとその答えは見つからなかったのだろう。次第に50周年=解散説が囁かれる中、2015年Poohは元メンバーのStefanoとRiccardo Fogli(リッカルド・フォッリ/1973年脱退後、ソロ歌手として成功を収める)を呼び戻した5人体制で50周年=解散ツアーライヴを行うと発表。

"Pooh 50"と称するようになった5人のPoohは、実に楽しそうにイキイキと活動を開始。事実、解散を発表したはずの彼ら自身が、楽しくて楽しくて仕方がないらしく、当初の活動終了時期を大幅に延長してやっと2016年末で潮時、と終了することにしたようだ。

Festaの限られた時間の中で、どこも見どころ聴きどころ満載のライヴの中からの選曲は難しかったのだが、近年のライヴではあまり演奏されていなかった楽曲、この5人編成ならではの見どころシーンがある楽曲を基準に紹介した。例えばオリジナルのRiccardo Fogliの歌唱が味わえる「Nascero` con te」(1972)、「Noi due nel mondo e nell'anima」(1972)、「Nel buio」(1966)など。後者では久々にRiccardoのベース&ヴォーカルも拝むことができた。

「Ci pensero` domani」(1978)ではギタリストのDodiがキーボードを弾き(両親がピアニストで実はDodi自身もピアノの名手だ)、Robyがキーボードから離れ、ステージの花道を歩いて歌うシーンが拝めた。もちろんイタリアPOPS界で初めてフレットレスベースを導入したあのRedの印象的なベースソロも。

Robyが弾く白いグランドピアノの上にずっと置かれている帽子は、故Valerioのもの。「Domani」(2004)で現リーダーのRobyの口からValerioへの想いが語られるのも見どころのひとつだ。

Pooh - La donna del mio amico (Live in Bologna)

Pooh - Uomini soli (Live in Bologna)

1976年作品でライヴでもずっと演奏され続けて来た美しい楽曲「Pierre」(1976)は、2016年になってその世界観が再現されたヴィデオクリップが製作されている。トランスジェンダーのお話。華奢で色白で女顔の少年だったピエール君。大人になってクラスメイトにばったり出会うが、すっかり女に変身しているのに、級友は化粧の下の眼差しですぐにピエールだと気が付く。子供の頃、彼をイビってしまっていた事を思い出した旧友は彼に謝りたい気持ちでいっぱいになる。。。という話。

※当サイトでのPoohの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Pooh


注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2019年に達する年齢で表記。