第1部に引き続き1980年代前後にスイスのTV局スタジオで行われたイタリア人アーティストたちのライヴ映像をDVD化したRSIシリーズから、ジェノヴァ派カンタウトーレのひとりBruno Lauzi(ブルーノ・ラウツィ/1937-2006/旧イタリア領・現エリトリア国(アフリカ)Asmara生まれ)の1979年ライヴから。
Bruno Lauzi - Live collection

「Ritornerai(意:君は戻って来るだろう)」、「Il poeta(意:詩人)」、「Gennova per noi(意:我らがジェノヴァ)」と彼の代表曲3曲から幕が上がる。2曲目の「Il poeta」では、自殺してしまった男が描かれており、彼はカード遊びがめっぽう強く、“この界隈の王”という異名を取っていた、というフレーズがある。ここで“王”に当たる言葉にはイタリア語の“Re(王)”ではなく“Ras”と言う言葉が使われている。この“Ras”とはLauzi自身が生まれ育ったアフリカ(現在のエチオピア周辺)で“王”に当たる言葉であることから、彼の出自をそれとなく表している点も興味深い。3曲目はLauziの自作ではなく、同じジェノヴァ派の仲間とも言えるPaolo Conte(パオロ・コンテ)作品だ。

彼は他の作家(特にカンタウトーレ仲間たち)が書いた作品も好んで積極的に歌うタイプのカンタウトーレで、特にLucio Battisti(ルーチョ・バッテスティ)が彼のために書き下ろした作品も多いので知られている。Battisti作品のうち「E penso a te(意:そして君を想う)」「Amore caro amore bello(意:親愛なる恋 美しい恋)」「L'aquila(意:鷲)」などは最初に録音したのはLauziだ。

また作家としても多くの歌手たちに楽曲提供をしており、特に作詞家としての活動が顕著で、オリジナル作品としてはMia Martini(ミア・マルティーニ)に書いた「Piccolo uomo(意:取るに足らない男)」「Almeno tu nell'universo(意:宇宙の中であなただけは」などが有名だ。

さらには外国曲のイタリア語詞でもたくさんの作品を残している。中でもOrnella Vanoni(オルネッラ・ヴァノーニ)のイタリア語歌唱でブラジル本国以上に有名になった楽曲「L'appuntamento(邦題:逢いびき)」は、日本でもBS日テレの人気番組『小さな村の物語 イタリア』のテーマソングとして、イタリア好きなら知らない人はいないぐらいの楽曲となっている。

またこのBruno LauziのライヴDVDには、当時新進気鋭のカンタウトーレとして売り出し中だったMarco Ferradini(マルコ・フェッラディーニ/当時30歳/Lombardia州Como出身)のパフォーマンスが2曲もおまけとして挿入されている。Lauziが後進の育成にも力を注いでいたのが良く判る。Marco Ferradiniは78年と83年にサンレモ音楽祭にも出場しているが、ソロ活動と並行して、セッションマンとして多くのアーティストのレコーディングに参加もし続けている。

※当サイトでのBruno Lauziの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Bruno_Lauzi


続いてはPFMことPremiata Forneria Marconi(プレミァータ・フォルネリア・マルコーニ)の1980年のライヴ映像から。
PFM - Live collection_25 Novembre 1980

1970年代に世界進出を果たし、世界で最も名の知れたイタリアのバンドだったPFM。英語盤を作ったり、英語専門ヴォーカリストを入れたり、主要メンバーだったMauro Pagani(マウロ・パガーニ)が脱退したりした時代を経て、1980年当時は再びイタリア語曲を主軸にし始めた頃。

当時オリジナルメンバーとして在籍していたのは、Franz Di Cioccio(フランツ・ディ・チォッチォ/Ds・Vo)、Franco Mussida(G・Vo)の2人。そして最初期のメンバーチェンジ後ずっと不動の準オリジナルメンバーPatrick Djivas(パトリック・ジヴァス)。脱退したばかりのオリジナルメンバーFlavio Premoli(フラヴィオ・プレモリ/Key)の代わりに新メンバーとして迎えられたLucio Fabbri(ルーチョ・ファッブリ)。そしてこの時期にドラマーのFranzがリード・ヴォーカルを務めるようになったため、サポートドラマーとして加入したWalter Calloni(ヴァルテル・カッローニ)の5人編成。従って楽曲によっては、ツインドラム編成の迫力あるサウンドが楽しめる。

しかしながらこのライヴで最も目立つのは新加入のLucio Fabbriの職人的パフォーマンスだ。キーボードはもちろんのこと、ヴァイオリン、ヴォーカル、ギターにと大活躍。彼は21世紀以降の来日公演にも参加しているので、その雄姿を拝んだ人も多いことだろう(現在はスキンヘッドだが当時はフサフサだ)。

そして彼は今ではプロデューサーとしても大成しているのだ。Dolcenera(ドルチェネーラ)、Giusy Ferreri(ジュズィ・フェッレーリ)、Lorenzo Fragola(ロレンツォ・フラーゴラ)らを成功に導いたのも彼だし、Roberto Vecchioni(ロベルト・ヴェッキォーニ)、Eugenio Finardi(エウジェニオ・フィナルディ)、Grazia di Michele(グラツィア・ディ・ミケーレ)、Cristiano de Andre`(クリスティア−ノ・デ・アンドレ)らベテラン勢のプロデュースも手掛けている。

※当サイトでのPFMの紹介記事
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注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2018年に達する年齢で表記。