Umberto Tozzi(ウンベルト・トッツィ/66歳/Torino出身)は、1977年に発表した「Ti amo(意:君を愛してる)」が英語圏を含む世界的に大ヒットしたことで、当時"ミスター・ティ・アーモ"の異名を取ったスーパースター。1958年に「Volare(ヴォラーレ)」の大ヒットで世界にイタリア音楽の存在を知らしめたDomenico Modugno(ドメニコ・モドゥーニョ)の再来とまで言われた存在だが、日本ではリアルタイムにリリースされず、これだけ世界的に著名な曲なのに日本ではほとんど知られていないという、日本における英語以外の洋楽に対する鎖国時代が始まったきっかけとなったアーティストでもある。

翌1978年の「Tu(意:君)」も、翌々1979年の「Gloria(グロリア)」も大ヒットして、完全にインターナショナルな存在に認知されたビッグアーティストとなった。1982年になると米歌手Laura Branigan(ローラ・ブラニガン)が「Gloria」を英語でカヴァーして英語圏を中心に大ヒット。そのため日本でも英語版なら聴いたことがあるという人もいることだろう。ちなみにブラニガンは1984年に「Ti amo」も英語カヴァーしている。

そんな「Ti amo」の40周年を記念したライヴCD+DVD『Quarant'anni che Ti Amo in Arena』(2017)は、有名劇場Arena di Veronaで行われたコンサートを収録したもの。豪華なゲストが客演している点でも見逃せない名盤だ。
Umberto Tozzi - Quarant'anni che Ti Amo in Arena

オープニングの「Notte rosa(意:ピンクの夜)」(1981)の後、すぐに件の「Ti amo」(1977)を披露、そして「Gli altri siamo noi(意:他人さ僕らは)」(1991)と各年代の大ヒット曲が続く。そして最初のゲストとして登場するのは、Gianni Morandi(ジァンニ・モランディ/74歳/Emilia-Romagna州Monghidoro出身)とEnrico Ruggeri(エンリコ・ルッジェーリ/60歳/Milano出身)で、この3人でタッグを組んでサンレモ音楽祭1987で優勝した楽曲「Si puo dare di piu`(意:もっと与え合える)」を披露。そしてRuggeriが残って「Dimentica dimentica(意:忘れろ、忘れろ)」(1977)をデュエット。これは当時のシングル盤「Ti amo」のB面に収められたメランコリーな楽曲。

※当サイトでのGianni Morandiの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Gianni_Morandi

※当サイトでのEnrico Ruggeriの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Enrico_Ruggeri

次に登場するゲストはAl Bano(アル・バーノ/75歳/Puglia州Cellino San Marco出身)。Al Banoの出世作「Nel Sole(意:太陽の中で)」(1967)をデュエット。Umberto Tozziは北部のTorino生まれ&育ちだが、実は両親はPuglia州出身で、Umbertoの実兄の歌手Franco TozziはPuglia生まれなので、両親がTorinoに移住してから生まれたのがUmbertoという訳だ。つまりPugliaを代表するスターAl BanoとPuglia繋がりの共演という画になる。

※当サイトでのAl Banoの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Al_Bano

次の見どころは、Raf(ラフ/59歳/Puglia州Margherita di Savoia出身)との共演。前出のサンレモ音楽祭1987優勝後、優勝曲を共作したTozziとRafのコンビでEurovisoin Contestにイタリア代表として出場し、「Gente di mare(意:海の人々)」を歌って3位となり、またしても世界的なヒット曲となったのだ。この2人もまたPuglia繋がりでもあり、名プロデューサー&作詞・作曲家Giancarlo Bigazzi(ジァンカルロ・ビガッツィ)とコラボする仲間でもあった。そして同曲はRafにとっては初のイタリア語詞のヒット曲でもあった。

そのRafが1983年に英語で歌ってイギリスやヨーロッパ大陸で大ヒットした 「Self Control」を2人で共演。ちなみに前出の米歌手Laura Braniganが同曲やRafの1stアルバムから何曲もカヴァーして米市場でも大ヒットとなっている。

※当サイトでのRafの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Raf

そしてTozziのデビュー曲「Donna amante mia(意:僕の愛する女)」(1976)、「Io camminero`(意:僕は歩くだろう)」(1976)と「Ti amo」で大ブレイクする前の内省的な作風が瑞々しい作品が披露される。後者はTozziのオリジナルがリリースされる数ヶ月前にFausto Leali(ファウスト・レァーリ/74歳/Lombardia州Nuvolento出身)に書き下ろした楽曲で、そのLealiとの共演が見もの。

※当サイトでのFausto Lealiの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Fausto_Leali

さらにMarco Masini(マルコ・マジーニ/54歳/Firenze出身)が登場し、Masiniのヒット曲「T'Innamorerai(意:君は恋するだろう)」(1993)を共演。1980年代にTozziのバックバンドでキーボード奏者を務めていたのがソロデビュー前の修行中だったMasiniという師弟関係であり、Bigazziファミリー同士でもある。

※当サイトでのMarco Masiniの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Marco_Masini

ライヴのエンディングは、Tozziが「Ti amo」(1977)一発屋に終わらず、彼の国際的な知名度に貢献した後続のヒット曲「Tu」(1978)、「Gloria」(1979)が続けて披露される。

同アルバムには「Ti amo」40周年記念として米歌手Anastacia(アナスタシア/50歳/シカゴ出身)とのデュエットのスタジオ録音版も収録されている。

FESTAでは2015年にTozziがリリースした新曲「Sei tu l'immenso amore mio(意:はかりしれないほど僕が愛するのは君さ)」も紹介した。

※当サイトでのUmberto Tozziの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Umberto_Tozzi


注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2018年に達する年齢で表記。