Zucchero(ズッケロ/62歳/Emilia Romagna州Reggio nell'Emilia出身)の来日公演(2017年5月29日)の予習編。
Zucchero_2017

2016年の初来日時のわずか30分のステージでも一曲目に披露された「Partigiano reggiano(意:レッジョエミリアのパルチザン)」には、第2次世界大戦末期にファシズムに対してレジスタンス活動を起こしたパルチザンたちの本拠地となったEmilia Romagna州出身者としてのアイデンティティを、歌詞中に繰り返される"libero(意:自由)"という言葉や、"Bella ciao(意:美しい人よ、チャオ)"という重要なキーワードに込めていることが判る。(後者は有名なパルチザンの伝承歌のタイトルでもある)

2016年の来日時のステージに布袋寅泰を迎えたように、Zuccheroはその後ロンドンやイタリア国内のコンサートに布袋を招き、2016年暮れには東京での布袋のコンサートにゲスト出演するなど親交を深めており、サンレモ音楽祭2017最終夜のスーパーゲストとしてZuccheroが出演した際にも、布袋を大きくフィーチャリングした構成のステージを見せた。(ZuccheroはMCで布袋を"素晴らしい日本人ギタリスト"として紹介するものの、生放送ゆえ、スタッフ間の意思疎通がうまくいかず、カメラマンはしっかり布袋を押さえず、司会者は他のメンバー紹介を促す、といったお粗末な展開があったが)

サンレモのステージでは、続いて1992年の大ヒット曲「Miserere(意:讃美歌ミゼレーレ)」が披露される。同曲は故Luciano Pavarotti(ルチァーノ・パヴァロッティ/1935-2007/71歳没)とジャンルの垣根を越えた共演したZucchero作の楽曲で大きな話題を集めた。同曲の録音の際、Pavarottiパートのガイドヴォーカル役を務めたのが、デビュー前のAndrea Bocelli(アンドレア・ボチェッリ)。PavarottiがBocelliのテイクを聴いて、《私とではなくBocelliと共演するのがいい》とZuccheroに奨めたという逸話が残っている。(後に3人での共演も果たしている)。Sanremo2017では、Pavarottiの映像&音声とのヴァーチャルデュエットとなったが、このステージでも布袋が客演している。

前出の「Partigiano reggiano」を収録したアルバム『Black cat』(2016)は、アルバムチャート最高1位、2016年・年間アルバムチャート8位(総合9位)にランキング。当初イタリア国内盤とインターナショナル盤の2ヴァージョンが発売されたが、それらに未収録の「Ti voglio sposare(意:君と結婚したい)feat.布袋寅泰」が後にダウンロードのみでリリースされたが、その布袋との共演テイクの他、ライヴテイクやベストヒットの一部をボーナストラックとして追加した日本盤『ブラック・キャット』も後に発売された。ここ十年ほど、1枚のアルバムを複数ヴァージョンでリリースして来たZuccheroではあるが、これが初のアジアン・ヴァージョンになるとのこと。

また、イタリア国内向けには2016年末に同アルバムのDXヴァージョンを追加発売。オリジナルの盤に前出の布袋寅泰共演テイクなどをボーナストラックとして追加収録した他、布袋もゲスト出演したArena di Verona公演のライヴを別CDで、さらにはアルバム収録全曲の公式ヴィデオクリップや宣伝用キットなどを含むDVDも追加した2CD+DVDの豪華なBOX仕様だ。
Zucchero - Black cat-deluxe edition

「Ci si arrende(意:人は降伏するものだ/邦題:降伏)」は、Zuccheroの初恋の相手Marziaに捧げられた楽曲で、Dire Straits(ダイアー・ストレイツ)のMark Knopfler(マーク・ノップラー)をギターにフィーチャリング。同曲はU2のBonoがパリの同時多発テロ追悼の英詞を書いた「Streets of Surrender[S.O.S.](意:降伏のストリート)」も録音されたが、Zuccheroは英BBCの人気番組『Later... with Jools Holland』に出演した際、イタリア語版のまま披露した。もちろんギターにMark Knopfler、キーボードのひとりに番組ホストのJools Hollandという豪華な布陣。

Voci [namanama version](意:声)」は、そのサブタイトルのように、ナマナマ・・・というコーラスをベースに人の声にこだわって作られた楽曲。Veneto州の元・蒸気機関工場跡で現・博物館でのロケで公式ヴィデオクリップが製作された。

13 buone ragioni(意:13のもっともな理由)」は、ビール、パニーノとサラミ、君に似ている女、など主に単語を羅列しているだけではっきりとした断言や説明するセンテンスが出てこない。それらを楽しむための"もっともな"理由ということのようだ。

※当サイトでのZuccheroの紹介記事
http://piccola-radio-italia.com/tag/Zucchero


注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2017年に達する年齢で表記。

Continua alla prossima puntata.(続く)