第1部

Massimo Bubola(マッスィモ・ブボラ/マッシモ・ブボラ/61歳/Verona近郊Terrazzo出身)のアルバム『Il testamento del capitano(意:隊長の遺言)』(2014)から。

Massimo Bubola - Il testamento del capitano

70年代中頃から活動を開始したカンタウトーレだが、すぐ後の1970年代後半にファブリツィオ・デ・アンドレと長きに渡る共作を始めたため、作曲者としてのイメージの方が強いブボラであるが、本アルバムのタイトルおよび収録曲の半数は、世界大戦中の民間伝承歌/レジスタンスの歌/フォルクローレをカヴァー(アレンジはブボラ)している。

アルバムタイトル曲「Il testamento del capitano(意:隊長の遺言)」は、今まさに死にゆくアルプス兵団の隊長が部下を呼び集めて遺言という形で命令する。

私が死んだら体を5つに切り分けて欲しい。
ひとつ目は祖国に。二つ目は大隊に。
三つ目は母に。息子の形見として。
四つ目は愛しい人に。初恋の思い出として。
最後のは山に。やがて薔薇が咲くように。

曲調は賑やかだが、その詞は涙無くして聴けない。

2曲目は「Ta pum(タ・プム)」。

若い兵隊は母を置いて戦場に来た。明日は突撃。
橋の裏に兵隊たちの墓がある。もうすぐ会いに行くよ。

と歌われる。タイトルは行軍してゆく擬音。

日本の戦争時代の歌は士気高揚目的の軍歌が主体だが、イタリアのそれは、個としての視点で、報われない運命を歌う悲しいものが多い。

3曲目はブボラ作のオリジナル曲「Rosso su verde(意:緑の上に赤)」。“緑の大地の上に流される赤い血”という意味で、やはり反戦歌と解釈できる。

ところで、ブボラの名を一躍高めたのは、前出の通り1978年から始まったFabrizio De Andre’(ファブリツィオ・デ・アンドレ/1940-1999/58歳没/Genova出身)との共作活動。1980年に彼らが共演した貴重な映像から「Una storia sbagliata(意:ある間違えられた物語)」。デ・アンドレ40歳。ブボラは実に26歳。

当時のインタビューの中で、デ・アンドレは同曲についてこう語っている。

≪「Una storia sbagliata」の歌詞で、俺はピエル・パオロ・パゾリーニ(注:映画監督)の悲劇的な出来事(注:暴行を受けた他殺死体で発見され、現在も未解決)を追想している。これは依頼を受けて作った歌であり、もしかすると俺が発注を受けた唯一の歌かもしれない。その依頼内容は、パゾリーニとヴィルマ・モンテージの死(21歳の女性が1953年に他殺死体で発見され、捜査線上に多くの著名人があがり、現在も未解決)に関するふたつの調査記録のための曲ということだった≫

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ここからはブボラが2010年にリリースしたライヴDVD『Live in Castiglione』から。

Massimo Bubola - Live in Castiglione

ブボラがデ・アンドレと共作した多くの曲の中から著名な「Fiume sand creek(意:サンド・クリーク川)」(1981)。

「La sposa del diavolo(意:悪魔の花嫁)」(2004)。コーラス担当のErika Ardemagni(エリカ・アルデマーーニ)とのデュエット。

そして「Camicie rosse(意:赤シャツ隊)」(1996)。1860年のイタリア統一運動の立役者として知られるGiuseppe Garibaldi(ジゥゼッペ・ガリバルディ)が率いていた私設軍事組織の事を歌っている。

実はガリバルディはそれ以前は南米でレジスタンス活動に身を投じ、ウルグアイを周辺国からの侵略から救った立役者として、南米でも偉人として語り継がれている。その卓越した戦術は、後の時代に中南米を舞台に活動したチェ・ゲバラ(エルネスト・ゲバラ)に影響を与えたと言われている。

同曲はFiorella Mannoia(フィオレッラ・マンノイア)にも提供されたが、次の「Il cielo d'Irlanda(意:アイルランドの空)」(1994)は彼女の代表曲のひとつとなった。ブボラによるセルフカヴァー。ここではイメージ映像のものを貼っておく。

そのFiorella Mannoia(61歳/Roma出身)が2014年にリリースしたカヴァーアルバム『Fiorella』で、ブボラとのデュエット・ヴァージョンが新たに収録された。

FIORELLA MANNOIA - FIORELLA

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注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2015年に達する年齢で表記。

Continua alla prossima puntata.(続く)