第2部

第1部に引き続き第2部前半はオルタナ系から。

Afterhours(アフテルアワーズ/1986年Milanoで結成)の4thアルバム『Hai paura del buio?(意:おまえは暗闇が怖いの?)』(1997)は、英語で歌うスタイルでデビューした同バンドが方向転換し、パンクやサイケ、ノイズ音楽などの要素を取り入れたうえイタリア語で歌い始めた2枚目のアルバムだ。ハードコア、メロディアスなポップス、グランジ、ハードロック、スペースロックなど多彩なタイプの楽曲を収録している。

同アルバムは、彼らの最高傑作のひとつと考えられているアルバムであり、2014年に再発されたヴァージョンは、1997年発表のオリジナル曲のリマスター盤に、全曲を異なるゲストと共演したリローデッド盤を追加した2枚組のスペシャル・エディション。チャート初登場2位を記録。

Afterhours - Hai paura del buio

ゲストには、同じオルタナシーンで活躍するMinistri(ミニストリ)や本FESTA第1部で紹介したLe Luci della Centrale Elettrica(レ・ルーチ・デッラ・チェントラーレ・エレットリカ)、Subsonica(スブソニカ)のSamuel Romano(サムエル・ロマーノ)、Baustelle(バウステッレ)のRachele Bastreghi(ラケーレ・バストレギ)、、Marta sui Tubi(マルタ・スイ・トゥービ)に加え、メジャーなアーティストたち、Edoardo Bennato(エドアルド・ベンナート)、Negramaro(ネグラマーロ)、Eugenio Finardi(エウジェニオ・フィナルディ)、Cristina Dona(クリスティーナ・ドナ)、Piero Pelu(ピエロ・ペルー)、さらには外国勢Robert Wyatt(ロバート・ワイアット/英/元Soft Machine)、Joan as Policewoman(ジョーン・アズ・ポリスウーマン)らといった多彩な顔ぶれが並ぶ。

FESTAで紹介した14曲目は「Sui giovani d'oggi ci scatarro su(今日の若者たちに俺は唾を吐く)」。1997年当時の公式ヴィデオクリップで。

2曲目は「Male di miele(意:甘美な邪悪)」は、2007年のMTVday出演時のライヴ映像で。

3曲目は「Veleno(意:毒)」はオーストラリアのNic Cester(ニック・セスター/元JET)をゲストに迎えたリローデッド版の映像で。Nic Cesterの上手なイタリア語ヴォーカルが聴きどころ。実は彼はイタリア系オーストラリア人なのだ。

4曲目はアルバムタイトル曲「Hai paura del buio?」。オリジナル版では、アルバムの冒頭に収録された30秒のオープニング曲なのだが、リローデッド版は3分に延長されており、ゲスト・アーティストとして迎えられたのは、ダモ鈴木(神奈川県出身/65歳)。

ダモ鈴木は40年以上もドイツに在住する日本人アーティストで、楽譜もリハーサルもなしで独自の即興的歌唱法(インスタント・コンポージング)を行うスタイルで著名。ドイツの前衛ロックバンドCan(カン)のヴォーカリスト(在籍1970-1973)として絶大な存在感を示して、世界的にその名が知られるようになった。当時のCanのライヴは、24時間以上連続で演奏するという前代未聞のスタイル(その間、メンバーは交代で仮眠と食事をとる)だったという。

Afterhoursの同曲はもともと歌詞の無いインスト曲だったこともあり、ダモ鈴木のインスタント・コンポージングのスタイルで歌われることが最適だったのだろう。相変わらずぶっ飛んだパフォーマンスを披露している。

※当サイトでのAfterhoursの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Afterhours


さてFESTA第1部と第2部の前半は、オルタナ系音楽を紹介してきたが、オルタナとは音楽そのものの特徴を表すジャンル名ではない。Alternative(意:もうひとつの)の語源通り、“メジャーではないもの”という概念だ。さらにはメジャー級のセールスや実力があるのに、敢えてインディーズの立ち位置で活動するアーティストたちに対して使われることが多い。つまり売れ線となる耳触りの良いだけの楽曲を拒み、型にはまらないものを追求している姿勢をオルタナと呼ぶことになる。

そしてオルタナシーンの覇者Afterhoursの楽曲「Dentro Marilyn(マリリンの中に)」(1995年)は、Mina(ミーナ)が早くも1997年にカヴァー&共演をして、一般のリスナーにも知られるようになっていった。

当時既に大御所中の大御所だったMina(当時57歳)だが、その守備範囲の幅広さにはいつも脱帽させられる。Minaの真価はその歌唱力だけではなく、異様なほどの柔軟さをもって世代やジャンルを超えて、貪欲に吸収し続けるヴァイタリティや先見の明にもあると思う。

今回のFESTAのテーマは便宜的に“オルタナvsアダルト・コンテンポラリー”としたが、実は“vs(対決)”しているのではなく、“融合”しているということを伝えたかった。そのパイプの部分の役割を担っているのがイタリアではMinaと考えても良いかもしれない。

そして第2部後半からはいよいよアダルト・コンテンポラリー編に突入するのだが、もちろんその架け橋として選んだアーティストはMina(75歳/ロンバルディア州Busto Arsizio生まれCremona育ち)だ。

彼女の新作アルバム『Selfie(セルフィー/意:自撮り)』(2014)は相変わらず高いクォリティを保っている、69枚目のオリジナル作品集。

Mina - Selfie

「La palla e rotonda(意:ボールは丸い)」は、2014年のFIFAワールドカップ/ブラジル大会のテーマ曲。

「Troppa luce(意:多すぎる光)」の冒頭は、Minaの実のひ孫Edoardo(エドアルド)との微笑ましいデュエットで始まる。

「Questa donna insopportabile(許し難いこの女)」は、アルバム1曲目に配置されていることからも同アルバムのコンセプトが表現されていると考えることができる。美しい楽曲に不釣り合いな尖った曲名は、アルバムタイトルから想像するに、おそらくMinaが自分の事を自虐的に表現しているのだと想像できる。全体的な歌詞は歌手としてリスナーに向けたMinaからの愛のメッセージで溢れている。

※当サイトでのMina の紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Mina


注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2015年に達する年齢で表記。

Continua alla prossima puntata.(続く)