その2はコチラ
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第3部

2012年4月27日〜29日の3日間に渡り、5バンドがステージを楽しませてくれるという怒涛の企画『イタリアン・プログレッシヴ・ロック・フェスティヴァル 春の陣2012』@川崎クラブチッタ。

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公演スケジュール

4月27日(金) OPEN 18:00 / START 19:00
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New Trolls-UT

4月28日(土) OPEN 17:00 / START 18:00
Pooh
Le Orme

4月29日(日) OPEN 16:30 / START 21:30
Pooh
Formula 3
Locanda delle Fate

※チラシのダウンロードはこちらからItaloProgFes2

1月FESTAの第3部では、この5バンドのうち、4バンドをダイジェストで紹介しました。


Le Orme(レ・オルメ/意:足跡)は、1960年代から活動するイタリア古参バンドのひとつ。1966年にビートバンドのスタイルで始まった活動は、1970年代になるとプログレスタイルを取り、1970年代後半からはNew Wave風にイメージチェンジし、サンレモ音楽祭にも出場するなど、イタリア国内での知名度を挙げることに成功しました。

しかしながら、1980年代に活動が行き詰まる憂き目に逢い、事実上活動停止期間を迎えます。やがて1990年代から活動を再開。再びプログレスタイルに立ち返った活動をしています。

Key、Bass&Vocal, Ds.というギターレストリオで活躍したイメージが突出しているため、よく『イタリアのEmerson Lake & Palmer』という補足をされるグループですが、バカテクがシノギを削り合うようなプログレッシヴロック界の中で、決して上手とは言えない演奏力ながら、何故か心にしみるサウンドを奏でることで稀有な存在だったとも言えるでしょう。

現時点では、1970年代の黄金期からのメンバーは、既にDs.のMichi Dei Rossiひとりしか残っておらず、メンバー構成も6名となったため、演奏力は素晴らしく向上している現状ですが、かつての『へたうま』の不思議な魅力を持っていたサウンドを懐かしむファン心理との葛藤もあるかもしれません。

Live In Pennsylvania

日本公演ではもちろん、1970年代初頭のプログ作品群を中心に再現されるということなので、FESTAでは、名作との評判の高いアルバム「Felona e Sorona(フェローナとソローナの伝説)」(1973)から"Sospesi Nell'Incredibile(信じられないまま)"を、2008年にリリースされたDVD「Live in Pennsylvania」の映像でご紹介しました。ここでは1997年のライヴ映像を貼っておきます。


New Trolls - UT(ニュー・トロルス・UT)は、1960年代から活動するイタリア古参バンドのひとつNew Trollsの流れを継承するバンドのひとつ。

New Trollsは、1966年にビートバンドのスタイル活動を始め、1970年代になるとプログレスタイルを取り、1970年代後半からは歌モノを主体としたPOPS路線にシフトしていきました。

またNew Trollsは、バンドメンバーや人数体制がアルバム毎に大きく変化するようなスタイルだったことなどが特徴的で、プログレの黄金時代だった1970年代前半のうち大半がバンドの分裂期に相当するという破天荒な一面を持つバンドなのですが、今回来日するのは、そのNew Trolls分裂期の曲を演奏するためだけに結成されたという限定的な編成の模様。

※当サイトでのNew Trollsの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/New_Trolls

2006年、2007年と、過去2度来日公演を果たしたNew Trollsのメンバーに入っていなかったオリジナルメンバーのGianni Belleno(ジァンニ・ベッレーノ/Ds.&Vocal)と、New Trolls来日時にオーケストラのコンダクターを務めたMaurizio Salvi(マウリツィオ・サルヴィ)の2人の元に、Latte Mieleのメンバーとして2011年に来日を果たしたMassimo Gori(マッスィモ・ゴーリ/Bass&Vocal)、Claudio Cinquegrana(クラウディオ・チンクエグラーナ/Gt.)、Andrea Perrozzi(アンドレア・ペッロッツィ/Key&Vocal)らが集まった編成。

※当サイトでのLatte Mieleの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Latte_Miele

※Andrea Perrozziは、Marco Menichiniのサンレモ出場曲"Tra tegole e cielo"(2011)の作曲者でもあります。当サイトでのMarco Menichiniの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Marco_Menichini

UT

バンド名にも添えられたアルバム「UT」(1972)から、歌モノとしての魅力を持ちながら、ギターフリークの耳を釘づけにしてしまう不思議な楽曲"Paolo e Francesca(パオロとフランチェスカ)"をFESTA会場でかけてみました。後半のギターソロがPaoloとFrancescaという2人の男女の会話を模したサウンドと化しています。


Locanda delle fate(ロカンダ・デッレ・ファーテ/意:妖精たちの安宿)は、プログレッシヴ・ロックの隆盛が収まった1970年代後半にデビューしたため、1977年のデビューアルバム「Forse le lucciole non si amano più(蛍たちはもう愛しあうことはない)」1枚で解散してしまったバンドでしたが、ツインキーボード&ツインギターという鉄壁編成のバンドが奏でるサウンドは、後のプログレファンのツボにはまるという皮肉な状況を醸し出すこととなった不遇のバンド。ちなみにイタリア本国では未だに全く無名に近い状態です。

locanda delle fate - forse le lucciole non si amano piu - as

”Sogno di Estunno(邦題:憧れ)"を当時の映像で。 


Formula 3(フォルムラ・トレ)は、イタリア音楽史上の中でとても重要な位置付けを担ったバンド。それはイタリア音楽界に大きな革命をもたらし、死後10年を超えた現在も多くのイタリア人の心に残り、時代を超えて受け継がれている偉大なカンタウトーレ・故Lucio Battisti(ルチォ・バッティスティ)と行動を共にしたバンドであることがその最大の理由です。

※当サイトでのLucio Battistiの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Lucio_Battisti

FESTAでは、Lucio BattistiのDVDに収録された彼らの当時のパフォーマンスをご覧いただきました。シングルのみでリリースされアルバム未収録の"Io ritorno solo(僕はひとり帰る)"(1970)。当時まだ20歳だったアイドル然の風貌をしたTony Cicco(トニー・チッコ)が、ドラムスを叩きながら歌う姿に、FESTA会場の視線は釘付けとなりました。

続いて2ndアルバム「Formula 3」(1971)に収録されていた楽曲で彼らの代表曲のひとつといえるBattisti-Mogol作の楽曲"Eppur mi son scordato di te(それにも関わらず僕は君のことを忘れてしまってる)"。

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Festa会場では1990年の再結成当時の映像でご紹介しましたが、さすがに20年経過し、あのTony Ciccoもすっかりオジサンと化していたのを目の当たりにして、会場にはガッカリ感が漂ってしまいました・・・ いやいや皆さん、現実を見ましょう。実際はそこからさらに20年の歳月が流れているのです。2011年にTV出演したFormula 3の映像はこちら。

Formula 3の3人のメンバーのうち、Alberto Radius(アルベルト・ラディウス/Gt.&Vocal)とGabriele Lorenzi(ガブリエレ・ロレンツィ/Key.)は、その後のイタリア音楽界を支える重要なミュージシャンとして、またプロデューサーとして大活躍していくことになり、Tony Cicco(トニーチッコ/Ds.&Vocal)はソロ歌手としても活躍することとなります。


ここでFormula 3が一旦解散した1974年時点の動きを紹介することにしました。Ds.のTony Ciccoは、Cico(チコ)名義でソロ歌手としてデビュー。秀逸な歌モノアルバム「notte(夜/邦題:夜の闇の中で)」(1974)をリリースします。

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シングル曲となった"Se mi vuoi(もしも私を望むなら)"を当時24歳の映像で。(音と映像のズレが残念ですが)


そしてAlberto RadiusとGabriere Lorenziは、Battistiと共に多くの楽曲を手掛けた巨匠の作詞家Mogol(モゴール)の発案に従い、売れっ子スタジオ&ツアーミュージシャンが6人集まって音楽制作をする夢のプロジェクトIl Volo(イル・ヴォーロ/意:飛翔)に参加します。

凄腕のプロ中のプロのミュージシャンによる、ツインキーボード&ツインギター編成の鉄壁バンドで、その後、各人とも単なるミュージシャンとしてだけでなく、プロデューサーとしてイタリアPOPS界に大きな功績を残して行く大物ばかりが揃っていたのです。

メンバー構成
Alberto Radius (Gt.&Vocal)
Mario Lavezzi (マリォ・ラヴェッツィ/Gt.&Vocal)
Vince Tempera (ヴィンチェ・テンペラ/Key.)
Gabriele Lorenzi (Key.)
Bob Callero (ボブ・カレッロ/Bass)
Gianni Dall'Aglio (ジァンニ・ダッラーリォ/Ds.)

今回の初来日でFormula 3は、このIl Voloの楽曲も演奏するとのことでしたので、ここでIl Voloが残した2枚の秀作アルバムから、より歌モノ要素の強い1stアルバム「Il Volo」(1974)から、"La canzone del nostro tempo(僕らの時代の歌)"を。作曲はAlberto Radius、作詞は偉大なMogol(モゴール)。

Il Volo (1974)


Il Voloはバンドというよりもアルバム制作のために集まったプロジェクトの要素が強かったため、Il Voloとして残したライブ音源は皆無状態なのですが、当時既にスタジオ&ツアーミュージシャンとして大活躍していた彼らが揃ってある人気歌手のライヴアルバムにその生演奏を残しています。

Marcella(マルチェッラ/60歳/Catania出身)のライヴアルバム「L'anima dei matti(狂人の魂/夢中な心)」(1975)がそれで、1970年代当時に絶大な人気を誇っていたMarcellaならでは、このスーパーミュージシャンたちを起用できたと想像する事が出来ます。

1970年代当初からプログレマニアの間でクチコミで話題となり、高値で取引されていたアナログ盤ですが、未CD化ということもあり、さらにプレミアム的な価値となっている模様です。

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後記)2012年5月遂にCD化!

このMarcellaの幻のLPから、アルバムタイトル曲"L'anima dei matti"を。時にMarcella23歳。

※当サイトでのMarcellaの紹介記事はコチラ
http://piccola-radio-italia.com/tag/Marcella_Bella


注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2012年に達する年齢で表記しています。

Continua alla prossima puntata.(続く)