その3はコチラ


Michele Zarrillo/Live Roma7月FESTAの最終章は、Michele Zarrillo(ミケーレ・ザッリッロ/52歳/Roma出身)の待望のライブCD+DVD「Live Roma」(2009)から。

シュートされたのが2008年ですから、1998年の来日公演のちょうど10年後。しかし、10年の年齢を重ね、新曲が増えただけで、あの1998年の奇跡の来日公演を彷彿させるような、最高のライヴ映像としてまとめられています。

客席には、同郷の先輩スターRenato Zero(レナート・ゼロ)が鑑賞に訪れていて、ステージからZarrilloが敬意を込めて紹介するシーンもDVDに収められています。

またステージ上ではPoohのRed Canzianの息子・Phil Mer(フィル・メール)がドラムを務めているのも特筆するポイントです。

おそらく実際のライブでも最初の曲に選ばれたと思える、DVDの最初に収録された"L'acrobata(綱渡り芸人/曲芸師)"をFESTAでも1曲目に選曲しました。

薄手の紗がかかった幕の後ろに、バックライトに照らされて浮かび上がるZarrilloの生ピアノの弾き語り姿。そうして切々と歌い、静かに始まりながらも次第に情熱をたぎらせていく曲調は、もう既にZarrilloの世界の始まりです。2001年のサンレモ音楽祭の出場曲。

Michele Zarrilloは、僅か15歳で兄のプログレ・バンドSemiramis(セミラミス)に加入して、プロの音楽人生をスタートさせますが、そのSemiramisのキーボード奏者だったGiampiero Artegiani(ジァンピエロ・アルテジァーニ)と共作して、2008年サンレモ音楽祭に出場したのが"L'ultimo film insieme(最後の映画を一緒に)"。

これをFESTAでは2曲目に。ここには2008年サンレモ音楽祭出場時の映像を貼っておきます。

3曲目は、1982年サンレモ音楽祭で予選落ちしたものの、15年以上後にヒットして、Zarrilloの代表曲の一つとなる"Una rosa blu(青いバラ)"。

自然界のバラには青い色素が存在せず、世界的に熱心なバラの品種改良への挑戦の歴史の中でも、純粋な青いバラだけは未だに成功例がないということで、青いバラの花言葉には『不可能』、『奇跡』という意味があるそうです。

Zarrilloの"Una rosa blu"は、恋人の肌にある青いバラのタトゥーのことを歌っていますが、同時に、去り行く恋人に対する未練の気持ちを、青バラの花言葉のイメージを重ねて表現しているようです。

この曲の後半は、Zarrilloがアコースティック・ギターの早弾きのリードを見せつけ、プログレ・ロック出身であることを体感させてくれます。

1998年の日本公演でもその早弾きシーンがあり、筆者は大変感銘を受けた記憶が、まざまざと蘇ってきました。こうした歌って聴かせるタイプのカンタウトーレが、狂ったようにエネルギッシュにリードギターを弾くシーンなど、まさか予想だにしていませんでしたから・・・

ちなみに1982年当時のオリジナルの"Una rosa blu"は、シンフォ・ロックのようなアレンジが施された明るい曲調で、1997年のベスト盤で再録音されて有名になった哀愁漂う曲調とはかなり異なります。

まずは1982年サンレモ音楽祭出場時のもの

そして再録音時のPV


1970年代初頭、弱冠15歳で芸能界に飛び込んだ天才Zarrillo少年ですが、彼にスポットライトが当たり、成功の道を歩み始めるのは、それから20年超が経過した1990年代の30代半ばの年齢から、という遅咲きのベテランカンタウトーレ。

デビュー直後、Lucio Battisti(ルチォ・バッティスティ)に出会ってしまったのが、大きなターニングポイントになったそうです。

兄の影響でオルタナロックこそが自分を表現できる場と信じていたZarrillo少年は、Battistiのようなカンタウトーレこそが、自分を最も表現できるミュージシャンであり、時代の寵児になれると痛感し、POPフィールドへの転身を図ったと、後にインタビューに答えています。

1980年代から平均して2〜3年置きのペースでサンレモ音楽祭に出場してきたZarrilloは、『サンレモ歌手』というイメージを持たれる事に対して、Zarrillo自身は自嘲気味に

『なぜなんだろうね・・・僕はサンレモで一度も優勝したことがないのに』

と語っています。

4曲目は、弦楽四重奏団Solis string quatet(ソリス・ストリング・クァルテット)を迎えて、エネルギッシュさの中に格調高さも漂わせるアレンジで披露してくれた"L'amore vuole amore(愛は愛を求める)"。

1997年にリリースされ、大ヒットを記録した初のベストアルバム「L'amore vuole amore(愛は愛を求める)」のタイトル曲となった楽曲。

1998年の日本公演は、まさにその大ヒット中の公演。まさに旬のイタリアの現役アーティストが、その生のステージを日本で見せてくれた、という貴重な機会でした。

筆者は最前列で、この"L'amore vuole amore"をZarrilloに合わせて口ずさんでいたところ、ステージ上のZarrilloが気が付き、「え?何で歌えるの?」と言わんばかりの明らかに驚いた表情を浮かべて、指差してきた事を懐かしく覚えています。

ここでは、2007年ごろのライブ映像を貼っておきます。

Michele Zarrillo/L'elefante e la farfalla

 

5曲目は、"L'elefante e la farfalla(象と蝶)"。

1996年サンレモ音楽祭出場曲です。象徴的なタイトルと童話の挿絵のようなアルバムジャケットで話題を集めたこの楽曲は、Zarrillo作品の多くに漂う厭世感や惜別の情景を凝縮したような傑作です。

ここには1996年サンレモ音楽祭出場時の映像を貼っておきます。


僕は象
そこは通れない
ゆっくりと 引きずるように
重さを背中に背負って歩く
僕は恥じて生きている
独りで食べて
君は知らない 
決して夢見ることのないヤツに
どんな苦痛があるのかを

僕は象
僕は隠れようとするけれど
そんな深い逃げ場は無い
僕は逃げることができない
なんという苦痛なんだろう
僕に笑顔を見せる 
愛する君に対して 
そんな態度を取るのは

君は蝶
僕の上で 軽やかで自由
決して
決して僕は君に
追いすがりはしないだろう
僕の心を打ち砕いて 君は去っていく
上の方へ

僕は象
何が出来るのだろう
地面と この愛に 釘付けにされて
僕は 君の後を追ってみるけれど
転んで こうして ここに居る
君は僕を助けることはできない 
どうか立ち去ってくれ

君は蝶
僕の上で 軽やかで自由
決して
決して僕は君に
追いすがりはしないだろう
僕の心を打ち砕いて 君は去っていく
僕の元から

僕の中には 僕の中には
蝶の心がある
君には決して判らないだろう
それが君に似ていることが
僕の中には 僕の中には
蝶の心がある
君には決して判らないだろう
それが君に似ていることが
僕の中には 僕の中には
蝶の心がある

さて、7月FESTAのオオトリの楽曲は、Zarrilloの最大のヒット曲であるだけでなく、1990年代のイタリアPOPSの代表曲にも挙げられることが多い"Cinque giorni(5日間)"。

1994年のサンレモ音楽祭出場曲となったこの美しい別れ歌は、Zarrillo自身の辛い体験がベースになっているようで、制作した当初、Zarrillo自身は歌いたくなかったし、実際歌えなかったという逸話が残っている、魂の叫びのような楽曲。

後に多くの後輩歌手たちにカバーされる名曲となり、近年では、Laura Pausini(ラウラ・パウズィーニ)によるカバーが有名ですね。

ここには1994年サンレモ音楽祭出場時の映像を貼っておきます。


FESTAの締めとして、今聴いたばかりのMichele Zarrilloの"L'elefante e la farfalla"をカラオケで歌ってみよう!コーナーを設けました。

スペインの無料カラオケサイト『Red Karaoke』は、さすがスペインのサイトだけあって、イタリア語曲が充実していて、もちろん、Michele Zarrilloの楽曲も、ラインナップされています。(イタリア語楽曲への直リンクはコチラ)


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注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2009年に達する年齢で表記しています。

 

次回7月FESTAは、8月22日(土)の開催予定です。