その2はコチラ


 

第3部

第3部はイタリアPOPSフェスタらしからぬ英語のJAZZからスタート。何も情報を出さずに、まずは見聞きしてもらいました。


これは2007年10月、日本のFMチャートでNo.1を記録した"Back In Town(バック・イン・タウン)"という楽曲。USA、カナダ、オーストラリア、オランダでも成功を収めました。歌ったのはカナダ人の新星JazzシンガーMatt Dusk(マット・ダスク/30/Canada Tronto出身)。昨今の世界的なクルーナー(crooner)ブームに乗り、2007年7月に日本でCDがリリースされたアーティスト。

Il Divo(イル・ディーヴォ)やPatrizio Buanne(パトリツィオ・ブアンネ)といった、どちらかというとビング・クロスビーやフランク・シナトラタイプのアーティストに注目が集まっていたブームに対し、Jazzをベースにしたスタイルを打ち出したのが、Matt Duskの最大の特徴と言えます。なるほど、昨今のクルーナーブームは、懐古趣味やリバイバル的な手法でもあるので、Matt Duskの音楽には、デキシーランドやスウィングといった往年のJazzの要素が取り入れられています。

カナダ人歌手が歌う英語Jazzを、イタリアPOPSフェスタで紹介するのには理由があります。作曲者がイタリア人カンタウトーレだからなのです。しかもまだイタリア国内でメジャーデビューしていない、無名のカンタウトーレだったので、イタリア社会は大騒ぎになりました。2007年暮れ頃のイタリアのメディアは、こぞって:

無名のイタリア人アーティストが世界を制覇した!

日本を席巻した曲を作ったイタリア人とは??

といった見出しの記事が大量にリリースされていました。

そのカンタウトーレとはEnrico Giaretta(エンリコ・ジァレッタ/38/Latina出身)。

幼少時にベートーベンに魅了され、地元の音楽院のピアノ科を卒業したEnricoは、旧友のヴァイオリニストOlen Cesari(オーレン・チェザーリ)と共に、中国、日本、フィリピン、ヴェトナム、タイ、オーストラリア、インド、アラブ、アフリカ、アルゼンチン、ペルー、キューバ、ドミニカ、プエルト・リコ、USA、モーリシャス、セイシェル、モルディヴ等、文字通り世界中を演奏旅行する経験を持ちます。

やがてFranco Califano(フランコ・カリファノ)と知り合ったEnricoは、その後8年もの間、Franco Califanoのピアニスト&共同作曲者を主とした活動に入ります。

こうして世界中を回り、マエストロCalifanoの元で修業を積んだ経験は、Enrico Giarettaの音楽を成熟させることになり、やがてEnricoは旧友Olenと共に、クラシックとJazzのエッセンスを取り入れた創作活動に取り組むことになります。

ピアノを弾きながら歌うJazzシンガーのスタイルを取りますが、哀愁を漂わせたSergio Cammariere(セルジォ・カンマリエーレ)とは異なり、Enricoの音楽スタイルはPaolo Conte(パオロ・コンテ)といった、ちょっと賑やか系のJazzに主軸を置いています。なるほど、Paolo Conte(パオロ・コンテ)の口から:

Finalmente ho trovato un allievo!

(とうとう後継者を見付けたゾ!)

というセリフが漏れただけのことがあります。

Paolo ConteやFrancesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴーリ)、Avion Travel(アヴィォン・トラヴェル)を見出したLilli Greco(リッリ・グレコ)を通じて、2ndアルバムのプランを練っていたカナダのMatt DuskからEnricoの曲に白羽の矢が当たり、英語カバーが先に世の中に知れ渡る、という事態を引き起こしたのが簡単な経緯です。

またEnrico Giarettaが今まで表舞台で脚光を浴びなかった原因の一つに、彼の本業が飛行機のパイロットというのがあります。現在は中型機のパイロットですが、もうすぐボーイング787クラスを操縦できる資格が取れるところまで来ているそうです。

元々カンタウトーレという言葉が、cantatore(歌手)+autore(作家)のから作られた造語でありますが、Enrico Giarettaを表現するのに、イタリア社会は早速、cntatore(歌手)+aviatore(飛行士)=cantaviatore(カンタヴィアトーレ)という新たな造語を生み出しています。『空飛ぶ歌手』といったところでしょうか。

EnricoGiaretta/sulle ali della musicaこうして逆輸入の形でイタリア国内にもたらされたEnrico Giarettaの評判は、2008年にメジャーデビュー盤「sulle ali della musica(音楽の翼の上に)」(2008)を発売させることになります。

旧友Olen Cesariがプロデューサーを務め、10曲が収められたこのアルバムには、さらに2曲のPVも収められています。

4月FESTAではこの2曲のPVを紹介。

最初はMatt Duskの"Back in town"の元歌である"Tutta la vita in un momento(一瞬の一生)"。EnricoGiaretta_TuttaLaVitaInUnMomento-1EnricoGiaretta_TuttaLaVitaInUnMomento-2EnricoGiaretta_TuttaLaVitaInUnMomento-3

 

 

 

軍隊の飛行機倉庫に即席のステージになってしまうパフォーマンスで、飛行家のアイデンティティも主張した映像に仕上がっています。
(CDに収録された映像とは異なるTVライヴ映像のリンクを張っておきます)

2曲目はCDに収められていないTVライヴの映像から、"Roma Saigon(ローマ・サイゴン)"。盟友Olen Cesariのヴァイオリンとの掛け合いが見ものです。

3曲目はCDに収められたもう1曲のPV"La fabbrica delle nuvole(雲の工場)"。タイトルにも飛行機を連想させるキーワードを入れていますが、PVは地上編。アップライトのピアノを押してEnricoが登場、軽快な名演を見せてくれます。
(CDに収録された映像とは異なるTVライヴ映像のリンクを張っておきます)


 

第3部2人目のアーティストは、Newアルバム「Safari」(2008)が快調なセールスを記録しているJovanotti(ジォヴァノッティ/42/Roma出身)。

最初にシングルカットされた"Fango(泥)"。PVはアルバムタイトル通りジャングルで撮影されたものですが、Jovanottiが自然の中で佇む映像を収めたバージョン1と、Jovanottiが歌に合わせて口を動かすヴァージョン2の2種類が製作されています。ゆったりめのラップ調の曲。

2曲目は元気いっぱいのアップテンポの楽曲"Mezzogiorno(正午)"。とてもキャッチーで、聞いていて気分が良くなり、思わず体が動き出してしまうゴキゲンな楽曲。

40歳を少し過ぎたJovanottiが、今ちょうど人生の真ん中あたりにいるんだなぁ、という認識を『正午』に例えた曲だそうです。

3曲目は、2008年4月現在、ヒットチャートの首位をキープしているシングルカット第2弾の"A te(君に)"。珍しくバラード調の利かせるタイプの楽曲のシングルです。サンレモ音楽祭2008でもゲスト出演してステージを見せてくれていますが、FESTAではサンレモ音楽祭後のDomenica inに出演した時の映像で紹介しました。何といってもネクタイにジャケットというJovanottiの服装に注目!

司会のPippo Baudo(ピッポ・バウド)にネクタイのことを尋ねられると、

僕の人生の中で3回目だよ、ネクタイ締めるのは・・・!

実はね、娘のTeresaに言われちゃってさ。
『パパはどうしてネクタイしないの?
学校のお友達のお父さんは、みんな、ネクタイにジャケットだよ。』って。

なんてお茶目で可愛いJovanottiの人柄が垣間見える貴重な映像ですね。

Jovanotti/Lorenzo - raccolto 1997ちょうどこのNewアルバム「safari」と同時期に、Jovanottiの1997年の映像作品「Lorenzo - raccolto 1997」がDVD化されてリリースされましたので、目玉コンテンツである大ヒット曲"Bella(美人)"のPVを紹介しました。

31歳当時のJovanottiが、若々しく、また一段と可愛らしい。大きなリュックを背負って、街中や電車の中ですれ違うBella(美人)たちに、照れながら歩いて行く、といった映像構成になっています。間奏のチェロがまるでヴィオラのような軽快でアクロバティックな演奏をするのが確認できるのも、PVならではの楽しみです。

電車のシーンでは、まるで日本の電車ような作りでしたが、乗客は西洋人・・・という違和感がありました。
後でFESTA会場にいる2人の『鉄』男からコメントがありました。

あれ、昔の丸の内線の車両が、ブエノス・アイレスを走っているヤツだよ。
これ、有名な話だよ。

とのことです・・・・(いや一般人には有名ではないのですが・・・・)



注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2008年に達する年齢で表記しています。

 

Continua alla prossima puntata.(続く)