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第3部


RobertoVecchioni/Di rabbia e di stelle当FESTAで初めての紹介となる大御所カンタウトーレのひとりRoberto Vecchioni(ロベルト・ヴェッキォーニ/65/Monza近郊Carate Brianza出身)。3年振りとなる新作アルバム「Di rabbia e di stelle」(2007)がリリースされています。プロデューサーはLucio Fabbri(ルチォ・ファッブリ)。PFMのサポートメンバーとして2005年、2006年の来日公演を行っていたり、若手カンタウトリーチェのDolcenera(ドルチェネーラ)のプロデューサーもしていますよね。

FESTAでは、シングルカットされた"Non Lasciarmi Andare Via(僕を行かせないでくれ)"をTVライヴの映像で紹介しました。ストリングスの深い響きに包まれたサウンドとミドルテンポのリズムに乗せて、ところどころ早口になる歌詞の乗せ方でVecchioniが歌います。しばらく見ないうちに、お爺さんぽくなってしまいましたが、少年ぽい目の輝きを湛えた、素敵なおじいちゃんになりました。タイトルが繰り返されるサビなので、覚え易い曲に仕上がっています。

2曲目は"Le rose blu(青いバラ)"。そのタイトル曲を紹介した途端、FESTA会場では ♪うな・ろ〜ざ〜・ぶる〜♪という鼻歌が・・・NHKラジオイタリア語講座でお馴染みのEliana先生とピッツェリアPartenope渡辺総料理長のお2人がその張本人でした。

『それは、Michele Zarrillo(ミケーレ・ザッリッロ)!』

と、YoshioAntonioとしては、お約束のツッコミを入れなければなりません。1998年のMichele Zarrilloの日本公演時に通訳を務めたEliana先生には、思い入れが強い曲のようです。

Zarrilloの"Una roa blu"も美しい曲ですが、Vecchioniの"Le rose blu"も、ガットギターのアルペジオに乗せて切々と歌われる美しい楽曲。聴いているとすっぽりと包み込まれるようなリラクゼーション効果も高そうです。

Roberto Vecchioniは、カトリック大学で古代文学を専攻し、卒業後は宗教史の助手を経験。やがて普通高校でギリシャ語とラテン語を教える教職に就きました。教諭を本業としながらも、ほぼ同時期の1960年代中ごろより主にソングライターとしての活動で音楽の世界にも活躍の場を広げるようになります。1970年代にかけて、 Ornella Vanoni(オルネッラ・ヴァノーニ), Iva Zanicchi(イヴァ・ザニッキ), Gigliola Cinquetti(ジリオラ・チンクエッティ), Nuovi Angeli(ヌォーヴィ・アンジェリ), Homo Sapiens(オモ・サピエンス) など、多くのアーティストにたくさんの楽曲を提供し続けることになります。

こうしたコンポーザーとして活動しつつ、1971年ソロとしてのデビューを迎えることになります。つまり、教諭、コンポーザー、歌手という3つの役割をこなすのが、Roberto Vecchioniという男の生き方となった訳です。Milano近郊出身のVecchioniですが、両親の出身はNapoli。その体に流れるNapoliの血が音楽を求めるのかも知れませんね。

Vecchioniファンに最も愛されていると言われる曲が"Luci a San Siro(サン・スィーロの光)"。1971年のデビューアルバムに収められていた曲ですので、まさにRoberto Vecchioniというカンタウトーレの原点。ブレイクする以前の、最も初期の楽曲が、長い間ファンに愛されて、歌い継がれてきているのは、アーティストとしても幸せなことでしょう。

FESTAでは1997年の新録音のバージョンでお届けしました。ピアノの響きも、サックスの裏メロディも美しく、音に奥行きを感じさせて、全く古臭さを感じさせません。この再録音は成功パターンのお手本とも言えるでしょう。

せっかくなので、78年、35歳当時のVecchioniが歌う映像でもお届けしました。真っ黒な髭で顔が覆われているVecchioniがガットギターの弾き語りで、歌い始めます。故Bruno Lauzi(ブルーノ・ラウツィ)と対談するTV番組の一コマのようで、Bruno Lauziが途中から絶妙のハーモニーを絡ませてくるのが見どころ・聴きどころ。

Roberto Vecchioniの最後の曲は、彼の最大のヒット曲"Samarcanda"(1977)。現・ウズベキスタンの古都サマルカンドという、古の東西文化の交差点として賑わう街の賛歌になっています。

当然エスニックなエッセンスが楽曲に求められるのですが、これはほぼ全曲を通して奏でられるジプシー的なヴァイオリンが担っています。これをAngelo Branduardi(アンジェロ・ブランドゥアルディ)が弾いています。1977年ですから、前年に「Alla fiera dell'est」で大ブレイクをした時代の寵児たるBranduardiを起用できたことも、Samarcandaという楽曲が名曲・名演となるべくしてなったというところでしょうか。

Festaでは、このSamarcandaを当時のヴィデオクリップで紹介。無声映画のようなドタバタ喜劇の映像をテーマにしつつ、ところどころBranduardiとVecchioniの2人が仲良く演奏・歌うシーンが登場する構成になっています。


 

第3部2人目のアーティストは、前出のAngelo Branduardi(アンジェロ・ブランドゥアルディ/58/Milano近郊出身Genova育ち)。

Angelo Branduardi/La lauda di Francesco民俗音楽や伝承をテーマにしたスタイルで絶大な知名度を高めたAngelo Branduardiですが、近年はクラシック古典や宗教音楽にも精力的にレパートリーを広げています。今回は宗教音楽方面のレパートリーから、「La lauda di Francesco(フランチェスコ賛歌)」(2007)のDVDを紹介しました。

フランチェスコとは、もちろんFrancesco d'Assisi、すなわちイタリアの守護聖人聖フランシスコのこと。このDVDに収められたのは、「La lauda di Francesco」という舞踊劇。舞台の下手にAngelo Branduardiらの楽団が配置し、舞台全体をアクターたちがパフォーマンスをするのを収録しています。Branduardiの演奏部分だけ抜き出して鑑賞できるように、『Canzoni』というメニューも設けられています。

1曲目は、中世の宗教曲をイメージさせる"Salmo(詩篇=聖歌)"。合唱のイントロが荘厳な雰囲気ですが、歌の主題に入ると、いつもの暖かなBranduardiのヴォーカルが楽しめます。弦楽の響きも美しく、DVDのジャケットにも採用されたハープギターを演奏するBranduardiの凛凛しい姿が見どころ。

2曲目は、Branduardiのヴァイオリンがフューチャーされた民俗音楽調の"Il sultano di Babilonia e la prostituta(バビロニアのサルタンと娼婦)"。

3曲目は"Il cantico delle creature(天地万物賛歌)"。
"Il cantico delle creature"とは、聖フランシスコの普遍的精神を表す『太陽の歌』として有名なテーマ。太陽・月・風・水・火・空気・大地を『兄弟姉妹』に例えて崇めるその思想は、映画「Fratello Sole Sorella Luna(ブラザー・サン・シスター・ムーン)」と言うタイトルにも現れています。



注)記事中の歌手の年齢は、記載時点での誕生日の到来を考慮はせず、2008年に達する年齢で表記しています。

 

Continua alla prossima puntata.(続く)