その1はコチラ


 

第3部

第3部はいよいよ『歌うコーナー』へ突入!本格的なカラオケに入る前に、聴いて・歌って・覚えるミニ講座を。オリジナル曲をかけ、プロジェクターに投影された歌詞を見ながら、口ずさんでもらい、ちょっとした解説をつけて紹介していきました。

第2部のラストで紹介したClaudio Baglioniの初期のヒット曲から"Porta Portese"(1972)を。ローマのポルタ・ポルテーゼ門広場で開かれる有名な蚤の市での出来事を綴ったRomaご当地ソングで、音域の広い難曲が多いBaglioniの楽曲の中では、歌い易く、ノリのよさが魅力です。

この曲は兵役に出た若者が休暇でローマに帰ってきたものの、野暮な制服で彼女に会うのを憂い、ポルタ・ポルテーゼの蚤の市で小粋なジーンズを探しているという情景が歌われています。蚤の市の混雑振りや、怪しげな露天商、眉唾の商品などの情景描写も素晴らしく、物語のようです。

ところがこの若者、どうやら、こっそりと休暇を取って帰って来た様で、今夜このジーンズでキメて、突然彼女の前に現れて、ビックリさせようと企んでいる訳です。そうしてひとり妄想に耽りジーンズを買おうとしたその時・・・・・雑踏の中に彼女を見かけるのですが・・・・彼女はイイ男とすごく親しげそうにしていて・・・・だけど、あれはどう見たって彼女の兄貴なんかじゃないし・・・・・と、茫然自失してしまいます。

するとそこに古着屋のオヤジのローマ弁のセリフが:

A Ragà, ma che hai fatto? ma sti carzoni li voj? o non li voj?
(おい兄ちゃん、何やってんだい? このジーンズいるンか? いらないンか?)


・・・っていう茶目っ気たっぷりの歌です。

このローマ弁のセリフ、せっかく会場にromaniが多かったので、代表してPaola先生にしゃべってもらいました。さすがローマっ子、文字づらで現せない独特の音がしっかり入った発音です。でもPaola先生曰く『あんまり、覚えない方がいいわよ』とのこと。ちょっと下品な言い回しなんでしょうね(笑)

でもせっかくだからちょっと解説を。

A Ragà, ma che hai fatto? ma sti carzoni li voj? o non li voj?

を標準イタリア語で書くと:

Ehi ragazzo, ma che hai fatto? ma questi calzoni li vuoi? o non li vuoi?

A Ragà:
ローマ弁では呼び掛ける時に、しばしばアッチェントの部分より後は省略されます(Stefano→Ste'、Alessandro→Ale')。そしてその頭には、間投詞的に『A』が挿入されます。A Raga'は『Ehi, ragazzo』、すなわち、『おい兄ちゃん』といった意味。女性に向けた場合も同じく『A raga』ですが、この場合は、『おいネエチャン』の意ですね。

sti carzoni:
ローマ弁では、questo系の所有形容詞の接頭部が切り捨てられます。questo→sto、questa→sta、questi→sti、queste→ste。そしてもっと興味深いのは、ローマ弁ではしばしば『L』の発音が『R』に入れ替わります。標準語のcalzoniは見事にcarzoniに!

voj:
標準イタリア語では使用しない『J』の文字ですが、イタリア南部ではよく登場します。発音的には『イ』と『ヤ行』との中間音、といったところでしょうか。ioとかoiとかの『i』を含む二重母音の際に使われることが多いようです。『J』はイタリア語ではイールンゴと呼ばれる文字ですが、これはすなわち、『長いi』を意味すると同時に、『ギリシャ語のi』という意味をも含みます。『J』の多用は、ギリシャと距離的にも歴史的にも近しい南イタリア特有の特徴なんですね。


 

練習曲の2曲目は、第2部で紹介したFiorella Mannoiaの"Quello che le donne non dicono(女たちが言わない事/1981)"。2006年10月FESTAで作者のEnrico Ruggeriバージョンで紹介していますので、歌の世界観はそちらをご参照ください。歌いだしの部分は低くて、女性にも男性にも苦しいのですが、サビからはその覚えやすく暖かな雰囲気で、DVDで見たライブ会場さながら、会場中で歌い上げて楽しみましたね。

 


 

練習曲の3曲目は、第1部で紹介したRenato Zero。彼の初期のヒット曲の中から、"Triangolo(三角関係)"(1978)を用意しました。前出のように当時のRenato Zeroは、ニューハーフそのものの衣装と化粧を好み、非常にメロディアスな楽曲を、時代が求めるディスコ調のリズムに乗せ、ルックスに似合わない超低音ボーカルで歌い、一世を風靡しました。

この"Triangolo"と言うタイトルは、英語のトライアングルの語源になった単語で、本来ならば『三角』のことですが、この歌の場合は『三角関係』の内容を歌っています。通常の三角関係は、男女間でのトラブルなのですが、そこはRenato Zero。ナント男同士の三角関係をテーマにした内容なのが、エキセントリックにして傑作たる所以でしょうか。

あるイイ男を狙っているRenato。彼の住所もゲットしたし、彼の跡もつけてみたし、あとは電話をして夜を誘うだけ。ところが彼の傍には知らない男が・・・一緒に居る・・・そこでRenatoのジェラシーにまみれたオネエ言葉の歌詞が展開していきます。

あの男は誰! どうしてアイツを"お持ち帰り"するの!?
アタシはアンタと一人で出会いたかったわ・・・アイツは誰?
もうアタシがアンタとヤルことは難しいのね・・・アイツと別れてよ!

アタシはもっと普通の関係が良かった・・・・
まだチャンスがあるかしら・・・
どんな態度を取ったらいいか、教えてよ
暗闇の中で危うくアイツの腕に抱かれるところだった・・・
あんなヤツ、アタシのタイプじゃないのに・・・・

三角関係? いいえ!
そんなの良く考えたことなんてなかった・・・
仕方ないわ、やってみるしかないわね
幾何学自体は罪じゃないし・・・・

この男同士の関係で、『Un rapporto un po' più’normale(もっと普通の関係)』っていうのが、どういうものなのか、良く判りません(笑)・・・それに『La geometria, non è un reato…(幾何学は罪ではない)』という、言葉尻で無理やり三角関係を幾何学にこじつけしているのも面白い理屈ですね。

歌はアップテンポで言葉を乗せていくのが最初はちょっと難しいですが、歌詞中に良く現れ、サビを構成する『Lui chi e'』という部分は歌い易く、コーラスも付け易かったようで、ステップを踏みながらも楽しんで歌えましたね。

 

 



練習曲の最後は、883の"Come mai(なぜ)"(1993)。こちらはノーマルな男女間の愛ですが、自分が万能だと信じていた男が、信じられないぐらい恋に盲目になってしまったという歌。その狂信的ゆえ、ややストーカーまがいの行為にも及びますが、そこは情熱ゆえのこととお考えください(笑)。

 

 

 


帰り道に朝日がやってきても 夜は終わりはしない
彼女を家まで送っていくとき 美しい調べが流れている
気が付くと、何キロにもおよぶ長い手紙を書いていた
君にまたココで会えるようにと願って

僕がそんなことを話すなんて 君には理解できないだろうな
夜明けになるまで君の跡をついていく 君がどこへ行くかを確かめるために
僕は少し子供になった気がするよ でも君と一緒なら
映画の中で確かめ合う夢は 終わらないってことは判ってるよ

君は突然現れた 誰がこんな運命を決めたのだろう 
君は僕をいつも強く捉えて離さない
日々の合理的な戦いは 彼女と付き合うように僕を仕向けてくれる

なぜなんだろう 僕と出会った君は誰なんだろう
夜になると君を待つ そう君を待っているんだ!
なぜだか言ってくれ 僕をココに居させてくれる君は誰なんだろう
ココで椅子に座って 君の良い返事だけを願っている

友達がこんな僕を見たら 信じられないだろう・・・・
僕がほとんど神だと信じていたからね
なぜ僕は決して立ち止まらなかったのだろう
誰かのために 愛のために死ぬなんて 無意味な物語だと

 

 



そして最後はいよいよカラオケタイム! PIU'ITALIA STUDIOのRoberto校長が彼らのカラオケイベントで好評だった曲をエンドレスにドンドンかけてくれるので、思わず歌いたくなるようなメロディを持つ曲が矢継ぎ早に掛かる状態・・・

 

Laura Pausini、Andrea Bocelli、Gigliola Cinquetti、Domenico Modugnoなどのお馴染みのラインから、Mina、Fausto Leali、Toto Cutugno、Loretta Goggi、Gianni Morandiなどの鈍い光を放つ名曲などなど・・・・

これはもうイタリアのライブ会場さながら、会場全員が大合唱! PIU'ITALIA STUDIOの気さくなイタリア人教師たちは、日本人参加者の肩を抱いて、一緒に歌ってくれているので、初めて曲を聴く参加者でも、気持ちよく口ずさめたと思います。

Cantiamo col Karaoke

Cantiamo col Karaoke

Cantiamo col Karaoke

 

暗い会場に歌詞がプロジェクターで投影されているので、歌い易いうえに、気恥ずかしさもなく、イタリアPOPSを充分楽しめました。やっぱりイタリアPOPSは聴くだけでなく、歌ってみてその魅力がしっかり体に浸みていくのを味わってもらえた参加者も多かったようです。

そした最後はPIU'ITALIA STUDIOでのカラオケイベントで、いつしかエンディングテーマとなった"Ma'ndo Hawaii"(1973)。これは2人の映画スターAlberto SordiとMonica Vittiのデュエット曲ですね。能天気な領域まではみ出した陽気なイタリアの雰囲気に溢れて、12月FESTAを終了に導きました。

 


 

今回は試験的にPIU'ITALIA STUDIOと合同で企画した特別FESTAでしたが、大好評につき、当面合同企画のスタイルで継続する事にしました。2008年の最初のFESTAも音楽鑑賞+ミニ講座+カラオケの三部構成で1/12(土)開催を計画しています。