その2はコチラ


 

第3部

第3部は今までのFestaであまり紹介した事がないイタリアRAPのコーナー。

まずはここ数年で急速にブレイクした感のあるCapaRezza(34/Puglia州Molfetta出身)。
RAPのルーツであるアフリカ系アメリカ人のスタイルを単にイタリア語で模写したのではなく、非常に社会性の高いネタを鋭い視点でえぐり、非常にコミカルな人間性とそのパフォーマンスに裏打ちされたパフォーマンスで再現するところが、多くのイタリア人のツボにハマったようです。ミュージシャンが文化人として正当にリスペクトされるイタリアらしい風潮だと思います。

働きながらバンド活動を行っていた父と小学校の先生の母の間に生まれたCapaRezzaは、幼くして音楽に目覚めます。商学の高等教育を受けるために奨学金を得てMilanoに出てきたものの、やがて音楽への道を選ぶようになります。

RAPといえどもメロディカルな作風を特徴にしたスタイルで、Mikimixという名で芸能活動をスタートし、1995年のサンレモ音楽祭の新人部門に初出場。1997年にも再出場を果たしました。しかしながらMikimix時代はアルバム1枚をリリースできたのみで、大きな成功を得る事はできませんでした。

都会で一旗上げる夢に敗れた彼は、故郷のPugliaに戻ることになったものの、ガレージで作曲を続けていました。やがてその存在感のあるアフロヘア(地毛らしい・・・)をもじってCapaRezzaと名乗るようになります。(彼の出身地Molfetta地方の方言で、Capa Rezza=Testa Riccia、すなわち『縮れた頭』を意味します)

Caparezza/in Supposta Veritas1999年に3枚ものデモ・ディスクを完成させ、翌2000年にCapaRezza名義で再デビューを計ります。2003年にリリースしたセカンドアルバム「Verità supposte(仮想現実)」が注目され、CapaRezzaの名前と存在が急速に知れ渡るようになります。翌2004年に行われたツアーの映像を収録したDVDが「In Supposta veritas(仮想現実の中で)」(2005)として発売になっています。

Faestaではこの2005年のDVDから3曲紹介しました。1曲目は"Fuori dal tunnel(トンネルの外)"は、初めて大きな注目を集めたセカンドアルバムの中で、ある意味では、最も脚光を集めた楽曲。一律な楽しみ方を強要するナイト・スポットに対しての非難を込めた、ある種のメッセージソングになっており、それゆえ、単にダンサブルなナンバーとして安易に使用されるのをCapaRezza自身が難色を示し、TV番組やディスコテカに対して強力に抗議をしたことで、世論がヒートアップしたようです。実質はClaudio Bisioが出演する番組『Zelig Circus』にしか使用権を与えなかったようです。

2曲目は"La fitta sassaiola dell'ingiuria(絶え間ない侮辱浴びせ)"は、Angelo Branduardiの"confessioni di un malandrino(山師の自白)"のメロディを採用し、Branduardi自身とデュエットした作品。オリジナルのBranduardi版は『山師の自白』ですが、CapaRezza版は、言わば『チンピラの告白』といった内容に仕上がっています。DVDの中にBranduardiがゲスト出演した時の映像が納められていましたので、この2人のCapa Rezza(アフロヘア)のデュオのパフォーマンスをFESTAでも紹介しました。

CapaRezzaは、彼の出身地Molfetta地方の方言でパフォーマンスを行うSunny Cola Connectionというグループのメンバーとしても活動していますので、3曲目は同じDVDに収められたSunny Cola Connectionとして"skazz l'eminl"と言うノリの良い曲を紹介しました。

メンバー全員が自動車修理工のようなツナギを着ています。どうやらこれがSunny Cola Connectionのステージ衣装のようです。ライブ会場自体がMolfettaということもあって、このSunny Cola Connectionのコーナーになると、MCまでもが全てMolfetta地方の方言で進行します。DVDではそのままと言うわけにはいかないので、標準イタリア語の字幕が挿入されますが、まぁ、本当になんて異なる言語なんでしょうか! スペイン語などの方がまだイタリア語に近く感じるほど、耳だけでは理解できない方言ですねぇ。


 

第3部2人目は、『イタリアRAPの父』という異名を誇るJovanotti(41/Roma出身)。その異名どおり、初めてイタリア語でRAPを歌い、成功に導いたと目される大御所です。単なるイタリア語によるRAPではなく、常に社会的なメッセージを作風に盛り込むカンタウトーレの精神を伝承したうえに、Jovanottiならではのアングルで時代を切り取って描写したそのスタイルが、当初の若年層から一気にファン層を拡大することに繋がりました。彼の功績により、イタリアRAPがイタリア社会で広く受け入れられる事になったのが、『父』と呼ばれる偉業と言えるでしょう。

Jovanotti/CorriLore`!最近は大御所らしく豊かに髭を蓄えるようになり、サンタクロースかイエス・キリストか?といった風貌のJovanottiが、まだ『ragazzo』という呼び名がぴったりだった28歳当時の映像作品が、このたびDVD化されて発売になりました。「Corri Lorè(走れロレ)」(1994/2007)というローマ風のタイトルが付けられています。ローマでは名前のアッチェントがあるところで切捨てて呼び合う習慣がありますので、Jovanottiの本名であるLorenzoは『Lorè』になる訳です。
(例:Antonio→Antò、Alessandro→Alè)

1曲目は大ヒットシングル曲"Serenata rap(ラップ小夜曲)"をビデオクリップで。小夜曲(セレナーデ)の語源となった『serenata』とは、男が夜、意中の女性の部屋の窓の下で歌うこと、あるいはその歌のことで、ロミオとジュリエットにも登場するように中世から脈々と受け継がれた慣習ですが、この"Serenata rap"は、RAP形式を取ってはいるものの、とても落ち着いた美しい愛の歌に仕上がっています。

ビデオクリップでは、現代の住居環境が高層住宅化したことに対応して、クレーンで吊り上げられた空中ブランコ状態でセレナータを歌うJovanottiとバンドメンバーと言う設定。これは彼なりの現代社会への警鐘のメッセージが込められているのかもしれません。実に自然な映像なので、ひょっとすると本当に高層ビルディングのところでロケをしているのかもしれません。高所恐怖症じゃなくても相当スリリングなシチュエーションだと思います。

2曲目は大御所Pino Danieleとの共演で"Io ti chercherò(僕は君を探すだろう)"。Pinoとのリハーサルシーンから本番までノンストップで。この曲は全くRAPせず、ボソボソと歌うJovaと相変わらず美しい声とギターを弾くPinoの駆け引きが楽しめます。この年1994年、JovanottiはPino DanieleとEros Ramazzottiとのジョイントツアーを行っていますので、その時の映像なのでしょうね。

続けて3曲目の"Ragazzo fortunato(幸せな男の子)" これはもうJova自身のことなんでしょうね、幸せなのは。1993年のシングル曲です。
半分歌うようなメロディに乗ったRAPで、タイトルどおり実に幸福に満ちた、笑顔が可愛いJovanotti。こんなに笑顔が似合う男だったんですね。コーラスに併せて手振りをするパフォーマンスも可愛い。

 


 

イタリアRAPは、イタリア語の理解力だけでなく、イタリア文化や現代イタリア人のイデオロギーの理解力など、高度な素養が揃わないと、本格的に理解しづらい部分がありますが、まずはあまり頭で考えず、体にリズムを合わせる事から楽しんでいきたいですね。(CapaRezzaには文句付けられそうですが・・・外国人だから、許してくれぇ・・・・!)

Continua alla prossima puntata.(続く)