その3はコチラ


第4部

2005年のデビューの翌年、サンレモ音楽祭2006の新人部門に出場し、その確かな音楽観と不思議なキャラクターの魅力を広く知らしめたL'Aura(23/Lombardia州Brescia出身)。
ファーストアルバムを2006年6月FESTAで紹介しているので、経歴はそちらをご参照ください。

L'Aura/Demianさて、そんなL'Auraのセカンドアルバム「Demian」が2007年6月に発売になりました。ノーベル文学賞を受賞したドイツの文学者へルマン・ヘッセの代表作のひとつ『デミアン』からそのアルバムタイトルが付けられたようです。

"Non è una favola(それは寓話ではない)"は、アルバムリリースに先駆けて、5月に発売された先行シングル曲。

ちなみにデビューアルバムには、"una favola(寓話)"が収められていますが、オルゴールのようなサウンドに乗せて、しっとりと歌い上げる美しい曲でした。

その否定形のタイトルを冠した今度のシングル曲は、その名の通り、全く雰囲気が異なり、電子楽器によるテクノサウンドをフィーチャーした"とんがった"POPSとなっています。

FESTAでは、そのとんがった雰囲気をよく現しているビデオクリップで紹介しました。それもそのはず、POPカルチャー系が得意な映像クリエイターMaki Gherzi(35/Friuli-Venezia Giulia州Monfalcone出身)の作品です。彼のサイトにはL'Auraの他、Tiziano Ferro(27)等、彼が手がけたビデオクリップが見れるようになっています。ぜひご覧ください。

2曲目は、"È per te(あなたのために)"。こちらはピアノの響きが美しい、しっとりした歌い方の美しい曲で、落ち着いた渋い声の持ち主Max Zanotti(37/Lombardia州Como出身)のとのデュエットが、一層その美しさに磨きをかけている感じです。

Max Zanottiは、2001年から活動を続けるバンドDeasonikaのボーカリスト。ニューウエイブバンドと形容されるDeasonikaですが、L'Auraとのデュエットでは、実に大人っぽい魅力あるシンガーに感じます。(前出のMaki GherziのサイトでDeasonikaのビデオクリップが見れます)

L'Auraのこのアルバムは、例によってイタリア語曲はわずか3曲で、他はフランス語曲が1曲。英語曲が9曲という有様ではありますが、どの言語の曲も美しく、言語の違いによる『残念さ』を感じさせない貴重なアーティストです。

ヘルマン・ヘッセが初期の牧歌的な作品から一変して、現代文明への痛烈な批判を伴った深い精神世界を描き出していく分岐点となった作品と言われている『デミアン』。この作品がなかったら、彼がノーベル賞を受賞していなかったかもしれないほど、重要な作品です。

L'Auraの「Demian」も彼女の歌手人生の中で同様の位置付けになるでしょうか? いずれにせよ、彼女も今後のイタリア音楽を牽引していく可能性のある才女だと思います。

New Trolls/Seven Seasonsちなみにこのアルバムには、2007年来日して日本のステージを踏んだ音楽家が参加しています。それはStefano Cabrea。そうNew Trollsの来日公演時にコンダクターを務めていたイケメンのチェロ奏者が、L'Auraの最新アルバムでも同様に、ストリングスのアレンジとともに、自らがチェロを演奏しています。

 


第4部2人目は、ベテランDrupi(60/Lombardia州Pavia出身)。1970年にLe Calamite(磁石=魅力的なヤツラの意)というバンドのリーダーとしてデビュー。1973年のサンレモ音楽祭に"Vado Via(僕は立ち去る)"で、ソロとして出場して最下位の結果に終わるものの、結果としてイタリアだけでなくヨーロッパや南米でも大ヒットを記録し、一気にスターとなります。

1980年代に入ると、落ち着いた活動になりますが、1982年に"Soli(ふたりぼっち)"で総合第3位にランクイン。その後1995年までに数度のサンレモ音楽祭出場を果たしています。

Drupi/FUORI TARGET久々に発売された新作アルバム『FUORI TARGET(対象外)』(2007)から2曲。

"Tu mi dirai di sì(君は僕に『はい』と言うだろう)"は、R&B調の曲。iTunesStoreイタリアにおいて、このアルバムからのDLが最も多い曲でした。60歳という年齢を感じさせないエネルギッシュな若々しい曲に仕上がっています。

"Parla con me(僕と話して)"は、ミドルテンポのバラード作品。Drupiの気だるい感じの歌い方が、曲調にぴったり合います。昔からの彼の楽曲に漂う特徴である、ゴスペルっぽい(黒っぽい)エッセンスをほのかにまとっていて、耳残りのする良いメロディを持った美しい曲です。後半になると、一部ラップが入るところが現代的なところかな。

この曲はビデオクリップを重ねて紹介しました。60歳という年相応になったルックスのDrupiの映像が楽しめました。

時間があったので、1973年当時のビデオクリップで、大ヒット曲"Vado Via"をご覧頂きました。当時流行していたサイケデリックなシャツに身を包み、アイドル然とした白の細いデニムパンツをはいた、26歳当時のDrupiは、やはり当時その王子様然としたルックスで人気モノだったRiccardo Fogli(60)にソックリの風貌でした。
#少しLigabue(47)のワイルドさを加えた感じかな?

確かに国を超えてヒットしただけのあって、美しさとエネルギーを兼ね備えた魅力ある楽曲ですね。

それにしてもオドロキなのは、1973年当時のイタリアで、カラー映像でビデオクリップが制作され、それがキレイに保存されている事。当時、人気のイタリアのアーティストの映像作品は、ほとんどが低画質なモノクロなのですから、いかにDrupiの映像にお金をかけられていたかを想像する事ができました。すなわち、それだけ大きなマーケットで勝負できる歌手として期待されていた訳ですね。

ちなみに僕の友達にPavia出身のイタリア女性が居るのですが、彼女の父親はDrupiとは、昔からの釣り仲間だそうです。
同じPavia出身のMax Pezzali(40)も今でも地元に住み、気さくに住民と触れ合っているので、Paviaは気さくな風土に育まれているのかもしれませんね。

なお、このDrupiのアルバムには隠しトラックが仕込まれているのですが、どう聴いても絶対にDrupiの声に聴こえない、もっと若々しいボーカルなんですね。隠しトラックゆえ、アルバムには何のクレジットも載っていないのです。

アコースティックなサウンドに乗せて、ワイルドながら伸びのあるボーカルが心地良いので、調べてみたくなり、歌詞を耳で聞き取ってネット検索をかけて、やっと見つけることが出来ました。

The RoxというインディーズバンドのボーカルのValentineことValentino Negriのパフォーマンスで、曲名は"Suono piano(優しく弾くよ)"でした。
彼もまたPavia出身とのことなので、同郷の大先輩Drupiがメジャーへのアピールの手助けをしているようですね。



8月FESTA最後のアーティストは、大ベテランLucio Dalla(64/Bologna出身)

2006年暮れに待望の公式3枚組アルバムをリリースしただけでなく、そのライブ映像を、JAZZ編とクラシック編の2エディションも収録して2枚組みDVDとしてリリース。
2006年1月Festaレポートを参照ください)

改めて彼の作り出す楽曲の魅力に気付かされたその余韻も覚めやらぬうちに、新作アルバム「Il contrario di me(僕とは正反対)"(2007)がリリースされました。Lucio Dalla/Il contrario di me

"Lunedì(月曜日)"は、ややエスニックなアレンジが施された、速いテンポの曲。Franco Battiato(62)っぽい感じの楽曲です。コーラス隊との絡みも耳ざわりが良いです。

8月FESTAのラストは、イタリアを代表するバイクレーサーValentino Rossi(28/Marche州Urbino出身)に捧げられた楽曲"Due Dita Sotto Il Cielo(空の下で指二本)"

ライダーたちの間では、追い越し時や、対向車線でのすれ違い時に指二本でピースサインを作って挨拶を交わす習慣があり、そこから引用されたタイトル。(1969年制作の映画「イージーライダー」がその作法のネタ元らしい・・・)

Valentino Rossiの何がスゴイかというと、4クラス(125cc、250cc、500cc、MotoGP)で世界タイトルを勝ち取った

至上唯一のレーサーということだそうです。

Lucio Dallaは以前にもF1レーサーだった故アイルトン・セナ(1960-1994/34歳没/ブラジル生まれ)に捧げる楽曲を作っていますので、レーサーシリーズ第2弾といった趣向の曲になります。

8月Festaを締めくくるに相応しい、落ち着いた美しい楽曲で、淡々とLucio Dallaがつぶやくようなボーカルで聞かせてくれます。そこにValentino Rossiのレースシーンの映像を重ねてお送りいたしました。


9月FESTAは9/15(土)16:30-20:30、新宿CLUB ACIDで開催予定です。