その1はこちら


PRIMAVERA ITALIANA イタリアの春・2007
第3部

第3部は来日予定アーティストの特集。

日本におけるイタリア2007春(Primavera Italiana2007)』の公式イベント『地中海音楽の夕べ』として、本場イタリアの地中海音楽のアーティストたちが5月後半より週替わりで来日公演を行います。

その第1弾となるのがRoma出身のバンドAcustimantico。ガットギター、コントラバス、ドラム、サクソフォーン、バイオリンのアコースティック楽器の音色と、柔らかで温かい癒し系の女性ボーカルのバンドで、ケルトからラテン、アラブのエッセンスが混じり合った『地中海音楽』を奏でていますが、ノリも良く、聴き易い曲が多いので、POPS要素もかなり強いバンドだと思います。2005年の愛・地球博に続く2度目の来日。

Acustimantico-1stデビューアルバム「Acustimantico」(2000)は、ミニアルバムでありながら、彼らの名前を冠したタイトルだけあって、彼らの音楽のアイデンティティが強く主張されたアルバムになっています。変形ジャケット仕様で、シート式マッチのような作りで、なぜか下部にハトメの穴が空けられています。

このデビュー盤から、"Fiori di loto(蓮の花)"をご紹介。南イタリアの伝統的音楽であるタランテッラのリズムに乗せたアップテンポのフォルクローレ調の曲で、バリトンSaxの間奏が大胆にフューチャーされていて、その低音の響きが魅力的。ヴォーカルが入ってくると、すっと引っこむものの、裏メロディとして流れているのもかっこいい。

Acustimantico-LaBellaStagione続く2ndアルバム「La Bella Stagione(美しい季節)」(2002)からは、"Lotta di classe d'amore(愛のランクの戦い)"。Areaを思い出させるコントラバスとのボーカルの絡みのオープニング、タランテッラのリズムに乗せて、アラブ的な調べを奏でるソプラノSaxがかっこいい。後半のサビの部分は、Raffaellaのボーカルにエフェクトがかかり、メガホン越しの声に。男性メンバーの声もコーラスに乗って来ます。

この2ndアルバムもまた変形ジャケットで、半透明の青い樹脂製ケースを使用し、これまた書類入れ封筒のように開閉する仕組。

Acustimantico-SantaIsabel3rdアルバム「Santa Isabel」(2004)からは、"Musica immaginaria(空想の音楽)。レトロなPOPSの装いをまとったこの曲は、誰もに、いつか、どこかで聞いたことがあるように感じさせる郷愁の要素がそこここに散りばめられています。往年のGigliola Cinquettiなんかが、アルバムの中で歌っていたような気にさせる曲調です。

しかしイントロの部分は、危機感のあるようなややおどろおどろしげな緊張感が漂うプログレっぽい感じ。サビの部分のメロディは美しく、何度か聞いていると、頭から離れ難くなる魅力を持っています。ジプシー的なバイオリンの響きがまた美しい。

この3rdアルバムも変形ジャケットで、紙製の箱型ジャケットで、インサートは1曲1枚ずつのシートになっています。そのシートを束ねるようにしているトレーシングペーパーにヨットの写真が。

後にAcustimanticoのリーダーであるStefanoに解説をいただいたところ、写真技術が普及する前の時代に撮られたもので、イタリアでもっとも古い現存する写真のひとつとのこと。またこの白い箱型ジャケットは、ややネットリとした手触り感があるのですが、ひとたび購入した者がシュリンクを破って手にすると、その人の指紋がジャケットに残り、世界にひとつだけのオリジナルジャケットになる、とのこと。



そして、来日第2弾はDaniele Sepe(47/Napoli出身)。Sax奏者でもあるDaniele SepeはJazzの分野に分類される事が多いのですが、彼をJazzの分野に入れておくのは強引過ぎるかな。確かにJazzの要素もありますが、地中海音楽でもあり、POPカルチャーでもあり、カルトミュージックでもあるので、オルタナといった方がまだ間違いは無いかな、と思います。とにかく、彼の音楽はいろんな音楽の「ごった煮」という言葉がピッタリ。

DanieleSepe-Suonarne1xEducarne100Festaでは最新アルバム「Suonarne 1 x educarne 100(100を知るために1演奏する)」(2007)から、"Zut/A/Traverso"を最初に。グルーヴ感ほとばしるサウンドで、ややマッドテイスト感も溢れている作品。

2曲目は"Bianco & nero(白黒)"。しばらくはニュース風のナレーションが続きますが、次第に緊張感ある曲が始まります。女性ボーカルがフューチャーされた起伏の大きい曲。この辺りは、初期のピチカート5に通ずる世界観。そういえば、日本のアーティストでイタリアで有名なのは、坂本龍一とピチカート5ぐらいでしたっけ・・・・・

第3部ラストは、イタリア語曲ではないものの、ノリの良いところを買って"Hasta siempre"。ラテン音楽らしいエモーショナルな楽曲。

注:Daniele Sepeの来日そのものが中止となり、公演も中止となりました。


第4部

再び2007年の新作を。

現在のイタリアで人気&実力とも最高潮のBiagio Antonacci(44/Milano出身)の新作アルバム「Vicky Love」(2007)より、シングルカット曲"Lascia stare(放っておいて)"。ゆったりと軽やかに曲が始まり、つぶやくようなBiagioのヴォーカルが入ってきます。徐々に盛り上がっていき、サビの部分でおおらかに解放されたようなメロディ。ところどころファルセット気味になるBiagioの声が魅力的です。

そしてアルバムタイトル曲"Vicky love(ヴィッキー ラヴ)"。Biagioお得意の愛のバラード。男の盲信的なVickyへの愛情が淡々と、狂おしく歌われています。

どちらの曲も、男女の間の細かな心のやりとりが綴られた歌詞で、この繊細な愛の歌詞が、多くのイタリア女性の心を魅惑するようです。



AvionTravel-DansonMetropoliメンバーが3人となり、"Piccola Orchestra"という冠が外れて、シンプルにAvion Travel名義となった、サンレモ音楽祭優勝歴もある実力派グループの新作アルバム「Danson Metropoli: Canzoni di Paolo Conte」(2007)。タイトル通りベテランカンタウトーレPaolo Conteのカバーアルバムとなっていますが、Conteの曲の中で、それほどメジャーではない曲を取り上げています。

1曲目は"Un vecchio errore(古い過ち)"。ノスタルジー感をたっぷりと漂わせたアレンジが施された、哀愁感溢れる曲。初秋の夕暮れ、琥珀色のグラスを傾けながら聞いていたいような曲調でしょうか。

2曲目は"Elisir(エリキシール)" エリキシールとは、本来は霊薬を意味する天然エキスですが、日本では健康食品として知られていますが、イタリアでは同名のリキュールもありますね。この曲は何と言っても、女性ボーカルにGianna Nanniniと、オリジナルのPaolo Conteが参加していて、このアルバムの目玉とも言える曲。

Gianna Nanniniは近作が1年以上にも渡って大ヒットを続けていることからも、イタリアを代表する女性歌手の地位を不動のものにしたと言えますが、そのためか、デュエットでも引っ張りだこのようですね。Giannaのボーカルが入った途端に、Gianna Nanniniブランドの曲になってしまうところが、すごい。CDという音だけの世界で、しっかりと存在感が主張できるのは、真の実力派スターの証。

ちなみにAvion TravelのこのCDは、1曲に1枚ずつの歌詞カードの仕様になっており、表面にはエンジ色を主体とした油彩画が入れられていますが、これはすべてPaolo Conteの筆によるもの。そう、Conteはベテランカンタウトーレでもありますが、画家でもあります。

 



PaoloConte-NelCuoreDiAmsterdamDVD
Paolo Conte(70/Piemonte州Asti出身)は、今までのFESTAでほとんど紹介していませんでしたので、5月FESTAのラストは彼のライブ映像で。
1989年の彼のライブが収められたDVD「Nel cuore di Amsterdam…」より、"Gli impermeabili(レインコート)"。タキシードを着こなし、口髭を蓄えた52歳当時のダンディなConteがグランドピアノを小粋に奏で、時折歌い崩しながら渋いボーカルを聞かせます。

曲が終わると、バックミュージシャンたちが楽器を置いて、Conteの周りに集まってきます。そしてここで名曲"Azzurro(紺碧)"が始まります。Adriano Celentanoのヒット曲として有名な曲で、イタリアサッカーのナショナルチームが、そのユニフォームの色から"Azzurri"と呼ばれる事からか、いつしかイタリアチームの応援歌のような位置付けになり、今では幼稚園児の時から歌う定番ソング。それゆえイタリア人では知らない人はいません。

そのイタリア大衆の国歌ともいえるこの曲を作曲したのが実はPaolo Conteなのです。しかしながら、Conteはセルフカバーのバージョンを録音する事をしなかったため、ライブでのみ聴くことのできる貴重なバージョン。

独特の歌い崩し方で歌い出すConte。すぐに会場の大合唱が沸き起こるかと思えば、歌い崩し過ぎているためにナカナカ一緒には歌わせてくれません。
やがてサビの部分になるとお馴染みのメロディを、ピアノの周りに集まったバンドメンバーが高らかに歌い上げていきます。ここでようやく聴衆も大声で歌うことができます。

こうして、DVD内のConteのライブが大団円を迎え、5月FESTAも終了となりました

 


二次回

今回は8名で、亀戸名物『パンダ』の中華食べ放題に行って来ました。超大盛りで有名なパンダですから、4人未満ではなかなか行く勇気が湧かないのですが、今回は8名ですから怖くありません。華僑が営むお店ですから、味は本場モノ。値段は安い。紹興酒を3本も空け、料理もたっぷりと食べて、とうとうお店のラストの客集団になってしまいました。

 


6月FESTA予定

6月9日(土)15:00〜19:00 ミュージックラウンジ♪バーン(東京都江東区・西大島)にて開催予定です。